ベスト盤的なセットリストで
Title:Live at Levitation
Musician:Primal Scream
日本でも高い人気を誇るイギリスのロックバンドPrimal Scream。そのライブにも定評のある彼らですが、このほどライブアルバムがリリースされました。今回のアルバムは、リリース元のThe Reverberation Appreciation Societyが主催する、アメリカはテキサス州、オースティンで行われたフェスティバル「Levitation」での模様を収めたライブアルバム。「Live At Levitation」としてシリーズ化されているものの第3弾だそうで、2015年に行われたPrimal Screamのライブの模様を収録したアルバムとなります。
Primal Screamのライブとして個人的に非常に強く印象に残っているのは2000年のフジロックでのパフォーマンスです。4回目、苗場にうつってからは2度目となるフジロックですが、この年はヘッドライナーのうち2組は日本人、さらに最終日のヘッドライナーであるPrimal Screamも、いままでの出演者と比べてしまうと人気の面で若干見劣りがしてしまう感もあり、客の入りはさほど芳しくない年でした。もっとも、日本人ヘッドライナーといってもミッシェルとブランキーで、今考えると、とんでもなく豪華なのですが、当時は洋楽偏重が今より強かったため、結構不満の声も少なくなかったように覚えています。
私がはじめてフジロックに足を運んだのがこの年だったのですが、Primal Screamのステージの時も、比較的、余裕を持ってパフォーマンスを見ることが出来、事前に場所取りなどしなくてもかなり前方でライブを見ることが出来たことを覚えています。そして、そのようにして臨んだパフォーマンスの素晴らしかったこと!!この年は、彼らの傑作アルバム「XTRMNTR」がリリースされた年だったのですが、まさに脂ののりまくった迫力あるパフォーマンスが圧巻。我を忘れて踊りまくっていたことを、20年以上(!)たった今でも鮮明に記憶しています。
本作のライブはそこから15年後のパフォーマンス。まず驚いたのが、すっかりベテランの域に入った彼らのパフォーマンスですが、20年以上前のステージからライブ音源を聴く限りだとほとんど劣化していない、という点でした。非常に分厚いバンドサウンドで迫力あるパフォーマンスを繰り広げられており、その熱狂ぶりはライブ音源を通じても伝わってきます。ライブバンドとしてのその実力は、音源を通じても十分に伝わってきます。
また、この日のライブは彼らの過去の代表曲を披露するベスト盤的なセットリストになっているのも魅力的。もう6年前のステージですが、この間、彼らがリリースしたアルバムは2016年の「Chaosmosis」の1枚のみですので、現時点においてもほぼベストなセレクトと言えるでしょう。
Primal Screamといえば、アルバムによってそのスタイルを大きく変えてくるバンドですが、その結果、本作においてはサイケ色の強かった「Screamadelica」の「Loaded」や、エレクトロ期の「Accelerator」「Kill All Hippies」、さらにその後のギターロックチューンである「Country Girl」のような曲まで同列に並んでいます。ただ、それで素晴らしいのは、結果として全体がバラバラになるのではなく、バンドサウンドを軸として統一感あるパフォーマンスをしっかり見せていること。Primal Screamの楽曲としてそれぞれの曲が根底は類似したものであるんだな、ということを感じます。また、それにも関わらず原曲の魅力はしっかり残している点、ライブバンドとしての彼らの実力を強く感じました。
彼らのライブアルバムを聴いて、あらためてPrimal Screamのライブに行きたくなってしまったアルバム。コロナ禍の中、さらにオミクロン株のため、再び悪化している現状において、彼らのパフォーマンスがいつ日本で見れるのかわかりませんが・・・コロナが落ち着いたら、是非!あと、アルバムも5年、リリースしていないため、次はオリジナルアルバムが聴きたいなぁ。
評価:★★★★★
primal scream 過去の作品
Beautiful Future
Screamadelica 20th Anniversary Edition
More Light
Chaosmosis
Give Out But Don't Give Up:The Original Memphis Recordings
MAXIMUM ROCK ‘N’ ROLL: THE SINGLES
Demodelica
ほかに聴いたアルバム
The Bridge/STING
コンピ盤やセルフカバー作が続いたため、オリジナルアルバムとしては「57th&9th」以来、実に5年ぶりとなるニューアルバム。ミディアムテンポのナンバーで、メランコリックな作風の曲が並んでおり、ベテランらしい渋みのある楽曲を聴かせてくれる作品。派手さはありませんし、ある意味、目新しさもないのですが、ただ、現在70歳という年齢も感じさせない力強さも感じます。大人のミュージシャンとしての魅力を感じさせる1枚でした。
評価:★★★★
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