グラミー賞ノミネートの注目のSSW
Title:Collapsed in Sunbeams
Musician:Arlo Parks
今回紹介するミュージシャンもまた、2021年のベストアルバムとして取り上げられたアルバムのうち、まだ聴いていなかった作品を後追いで聴いた1枚。今回もamassで「100の主要な音楽メディアの「2021年の年間ベスト・アルバム」を集計 TOP50リスト発表」で紹介されていたアルバムで9位に紹介されていたアルバム。イギリスのシンガーソングライター、Arlo Parksのデビューアルバムです。
彼女はイギリスはサウス・ロンドン出身の20歳のシンガーソングライター。イギリスで新人ミュージシャンの登竜門としておなじみのBBC Sound of 2020にもノミネートされて話題となりました。さらになんとグラミー賞の主要4部門のうち2部門にノミネート。世界的に注目のミュージシャンとなっています。
楽曲としてはメロウなネオソウルの影響を感じる作風の曲が並んでいます。ただ、全体的な作風としては、ソウルやR&Bの色合いが強いとはいえ、ポップなメロディーで聴かせる楽曲が並びます。ピアノでメロウに聴かせる「Hope」やアコギでしんみり聴かせ、むしろフォーキー的な色合いも強い「Black Dog」など、ネオソウル的なサウンドのようなグルーヴ感を聴かせるサウンドというよりも、アコースティック的な暖かさを感じさせるポップという印象を強く感じます。彼女の優しい歌声もそんなサウンドにピッタリとマッチしており、非常に暖かみのあるメロディーとサウンドが耳を惹くアルバムとなっています。
また、意外な影響としては、彼女自身、熱烈なRADIOHEADのファンらしく、「Eugene」のサウンドなどは、まんまRADIOHEADじゃん!!というようなサウンドなっています。どちらかというとソウル系の曲が並ぶ中で意外な組み合わせといった感もあるのですが、ただ、アルバムの中の1つのパーツとしてしっかりと当てはまっているのはユニークなところです。
そしてもうひとつの大きな特徴と言えるのが歌詞。彼女はもともと自作の詩を書いていたそうで、その詩にビートをつけたのがもともとミュージシャンへの第1歩だったそうです。アルバムでも冒頭のタイトル曲でもある「Collapsed in Sunbeams」はポエトリーリーディングになっており、詩に主眼を置いていることがわかります。
その他でも「Hurt」では歌詞の中に出てくるチャーリーという人物が、鬱やアルコール中毒に悩まされながらも乗り越えていこうという物語的な歌詞が印象的。「Black Dog」でも同じく、おそらく鬱に悩んでいる人のために"I Would do anything to get out your room"(あなたを部屋から連れ出すために何でもします)という前向きなメッセージ性の強い歌詞になっています。残念ながら日本人にとっては英語の歌詞なので、ストレートに訴えかけてはこないものの、コロナ禍の中で、非常に鬱々とした状況になっている世界の中で、それを乗り越えようとする前向きなメッセージを感じることが出来ます。
決して目立った明るさや派手な曲調が並ぶようなアルバムではないものの、暖かい歌声とサウンド、そしてメッセージに優しさと、そしてある種の力強さを感じさせる作品。ポップな作風なだけに広い層が楽しめるアルバムになっていますし、世界的な注目を受けるのも納得のアルバムです。グラミー賞がコロナ禍で延期になってしまった影響で、ノミネート作の動向はまだわかりませんが、今後、日本でも注目を集めること間違いなしのミュージシャン。年間ベストに各種メディアでランクインしてくるのも納得の作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Etemete/Rahel Getu
こちらも各種メディアの2021年ベストアルバムの後追い企画。こちらはミュージックマガジン誌ワールドミュージック部門で2位を獲得した女性シンガー。哀愁たっぷりのメロディーをこぶしの利いたメロで聴かせる楽曲。エチオピアの歌謡曲というと、日本の演歌っぽい、というのは以前もここでも書いたと思うのですが、エキゾチックながらもどこか日本人の琴線に触れるようなメロと歌いまわしが印象的な作品となっています。ただ本作、歌詞の内容は内戦下のエチオピアにあって、政府側のプロパガンダ的な様相を呈しているとかで、その部分は賛否がある模様。エチオピア内戦については、詳しく知らないので、何とも言えないのですが・・・。
評価:★★★★
Barn/Neil Young&Crazy Horse
Neil Young&Carzy Horse名義では約2年ぶりとなるニューアルバム。全編メランコリックなメロが耳につく作品で、今回の作品はバンドサウンドを前に押し出したダイナミックなギターロックがメイン。比較的、王道的な印象を受ける作風になっています。ちなみにニール・ヤングといえば、最近、コロナワクチン否定論者の論説をアップしているという理由からSpotifyからの楽曲を引き上げました。そのため、本作も現在、Spotifyでは配信されていません。ちなみに私もSpotifyを利用しているのですが、他のサービスへの移管を検討中。AmazonもAppleもサービスにほとんど差異がなくなったから、サービスの移管に抵抗感はほとんどないんですよね。ニールの言うことは最もなので、サービスを切り替えようかなぁ。
評価:★★★★
Niel Young 過去の作品
Fork In The Road
Psychedelic Pill(Neil Young&Crazy Horse)
Storytone
The Monsanto Years(Neil Young+Promise Of The Real)
Peace Trail
The Visitor(Neil Young+Promise Of The Real)
Colorado(Neil Young&Crazy Horse)
Homegrown
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