バラエティー富んだ楽しいポップ
Title:SOUR
Musician:Olivia Rodrigo
今回も、2021年のベストアルバムとして紹介されていたアルバムを後追いで聴いた作品。Japanse Breakfast同様、amassで「100の主要な音楽メディアの「2021年の年間ベスト・アルバム」を集計 TOP50リスト発表」で紹介されていたアルバムで第5位にランクインしていたのが本作です。もともと女性としてデビューしていた彼女が、2021年にミュージシャンとしてシングル「drivers license」をリリース。同作が全米全英のシングルチャートで1位を獲得するなど世界的な大ヒットを記録し、一躍、話題のミュージシャンの仲間入りをしました。私自身もリアルタイムで彼女のことが話題となっていたことは知っているのですが、なんとなくアルバムはスルー。ただ、非常に高い評判を得ていることを知り、遅ればせながらアルバムを聴いてみました。
さて、そんな彼女のアルバムですが、まずアルバム全体の感想として強く感じるのは、ポップスのアルバムとして非常によく出来た作品だ、という点でした。まず非常にバラエティーに富んだ作風の展開に最後まで飽きさせません。冒頭を飾る「brutal」はヘヴィーなギターリフのロックチューンですし、大ヒットした「drivers license」は感情こもったボーカルで伸びやかに聴かせるスケール感あるミディアムチューン。「deja vu」は静かなエレクトロポップかと思えば、後半からはダイナミックなサウンドに変化していきますし、「enough for you」ではアコギ1本でしんみり聴かせるフォーキーな作品と、実にバラエティー豊か。
その後もピアノをバックにしんみり聴かせる「happier」にミディアムテンポのエレクトロサウンドにバンド色を加えて、インディーポップっぽい仕上げとなっている「jealousy,jealousy」、最後はストリングスを入れて重厚に聴かせる「hope ur ok」まで、最後の最後までバラエティーに富んだ展開がリスナーの耳を飽きさせません。
もちろん、このバラエティーに富んだ展開は、ある種の節操のなさにもつながるわけで、J-POPのアルバムでも、バラエティー富んだ楽曲を詰め込んだら、ミュージシャンとしての軸がなくなりチグハグで中途半端な作品になってしまった・・・というケースは少なくありません。実際、彼女のアルバムに関しても、そういう側面がない訳ではありません。
ただ、それ以上に今回のアルバムに関してはポップミュージックとしての楽しさが勝った作品だったように感じます。前述の「brutal」してもロックチューンながらもメロディーライン自体は非常にポップでキュート。大ヒットした「drivers license」にしてもちょっと切なさを感じるメロディーラインが耳に残ります。さすが話題となったアルバムなだけに、まずはポップミュージシャンとしての勢いを感じさせる作品になっていました。
しかし以前に紹介したJapanese Breakfastもそうですし、テイラー・スウィフトや例えばBTSなどもその範疇なのかもしれませんが、ここ最近はポップミュージシャンに勢いがありますね。コロナ禍で先行きが不透明な中では、ポップミュージックのような純粋に聴いていて楽しくなるようなミュージシャンが求められるのでしょうか?その是非はともかくとして、確かに本作は素直に聴いていて楽しくなるアルバムでした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
BBC Sessions/GREEN DAY
これはいい!パンクバンドGREEN DAYが1994年から2001年の間に行ったイギリスはBBCで収録されたライブの模様を収録したライブ盤。今となってはかなり懐かしい、初期のGREEN DAYの演奏が聴けるのですが、若さあふれる勢いのある演奏で、サウンドもかなりパンキッシュ。特に1994年にリリースされたアルバム「Dookie」や、そこに収録された彼らの代表曲ともいえる「Basket Case」は日本でも大ヒットを記録したのですが、いまさらながらあらためて聴いてみると、メロディーラインのフックの強さといい、パンクバンドとしての勢いといい、今聴いてもずば抜けたものを感じます。GREEN DAYの原点として、彼らの魅力をあらためて実感できたアルバムでした。
評価:★★★★★
GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)
UNO!
DOS!
TRE!
爆発ライブ~渋谷編
DEMOLICIOUS
Revolution Radio
Greatest Hits:God's Favorite Band
Father of All...
An Orchestrated Songbook/Paul Weller
こちらも同じくBBCがらみのライブ盤。昨年5月に無観客で行われたロンドンのバービカン・センターでのイギリスBBC交響楽団との共演コンサートの模様を収録したライブアルバム。ほぼ全編、オーケストラアレンジで聴かせるアルバムで、終始爽やかさを感じるサウンドが特徴的。特に前半は、オーケストラを率いた盛大なアレンジがメインの一方、後半はアコギベースのしんみり聴かせる曲も目立ちます。いずれにしろ、彼の楽曲の、特にメロディーラインの良さを再認識できるアルバムに仕上がっていました。
評価:★★★★
Paul Weller 過去の作品
22 DREAMS
Wake Up The Nation
Sonik Kicks
A Kind Revolution
True Meanings
In Anohter Room
Fat Pop
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