BOOM BOOM SATELLITES中野雅之との相性がピッタリ
Title:Break and Cross the Walls I
Musician:MAN WITH A MISSION
2020年は結成10周年としてベスト盤やコンピ盤のリリースなどが続いたMAN WITH A MISSION。配信を中心としてシングル曲のリリースも続くなど、積極的な活動が目立つ1年でした。ただ、オリジナルアルバムのリリースは2021年に入りEP盤のリリースがあっただけでしばらくご無沙汰していましたが、ここに来て、約3年ぶりとなるオリジナルアルバムがリリースされました。
MAN WITH A MISSIONといえば、楽曲によっては、洋楽のテイストの強い、躍動感あふれるカッコいいロックチューンを聴かせてくれたかと思えば、一方では悪い意味で歌謡曲的でベタな楽曲が出てくるなど、楽曲によって良い曲と悪い曲の振れ幅が大きいという印象がありました。特にアルバムに関しては、1曲単位では名曲を聴くことが出来るものの、アルバム全体としてはベタな路線が足を引っ張って今一つ・・・という印象を強く受けてしまっていました。
しかし、そんな彼らの作品ですが、結成から10年以上が経過し、オリジナルアルバムとして6枚目となる本作で、ようやくアルバム全体を通じてカッコいい!と感じる傑作に出会うことが出来たように感じます。今回のアルバムもベタなJ-POP路線の楽曲も並ぶ一方、アルバム全体としてはダイナミックなバンドサウンドを聴かせる迫力あるナンバーが並んでおり、いままでのオリジナルアルバムと比べるとカッコよさがグッと増したように感じます。
特にその要因として大きいように感じたのは、アレンジャーとして参加したBOOM BOOM SATELLITES中野雅之の存在。例えば1曲目を飾る「yoake」は、メロディーラインこそベタなJ-POP的になっているのですが、エレクトロを入れたダイナミックで高揚感あふれるサウンドがアルバムの1曲目として文句なくリスナーの耳を惹きつけます。さらに中野雅之の本領発揮ともいうべきなのが「INTO THE DEEP」。エレクトロビートで疾走感ふあれるデジタルロックチューンは、まさに彼の十八番ともいえる路線。BOOM BOOM SATELLITESを彷彿とさせるそのサウンドが文句なしにカッコいい作品になっています。
思えば、エレクトロビートの入ったダイナミックなロックチューンという路線は、BOOM BOOM SATELLITESに通じるものがあり、そういう意味でも両者の相性はピッタリといった感じなのでしょう。中野雅之は前作「Chasing the Horizon」から参加しているのですが、前作に引き続き参加したこのアルバムで、よりMWAMのメロディーラインとの一体感が増したように感じます。そして、それが本作を傑作ならしめる大きな要因になったように感じました。
他にもカッコよかったのが2曲目の「Thunderstruck」。AC/DCの曲のカバーだそうですが、エレクトロビートにラップも取り入れてMWAM色にしっかりとアップデート。スケール感があり非常にカッコいい楽曲に仕上がっています。洋楽テイストが強いといえば「86 Missed Calls」ではFall Out Boyのパトリック・スタンプがボーカルとアレンジャーとして参加。メランコリックなメロとヘヴィーなバンドサウンドが印象的な作品に仕上がっています。
ちなみに以前のメインアレンジャーだった大島こうすけ(元WANDS!)は本作も参加。「Remember Me」など、ギターやストリングスの使い方など、確かに良くも悪くもベタさを感じるアレンジで、良くも悪くもインパクトのある売れ線路線だなぁ、という印象は受けます。ただ、この路線はこの路線で、MWAMを人気バンドとして引き上げた大きな要因のようにも感じます。ちょっとベタな彼のアレンジも、中野雅之とのバランスにより、ほどよいインパクトして機能しているように感じました。
そんな訳でアルバムとしてグッと良くなった本作。中野雅之との相性はピッタリなだけに、今後も是非、このタッグでの制作を続けてほしいところ。文句なしの傑作アルバムとして最後まで耳の離せなかった1枚でした。
評価:★★★★★
MAN WITH A MISSION 過去の作品
Trick or Treat e.p.
MASH UP THE WORLD
Beef Chicken Pork
Tales of Purefly
5 Years 5 Wolves 5 Souls
The World's on Fire
Out of Control(MAN WITH A MISSION x Zebrahead)
Dead End in Tokyo European Edition
Chasing the Horizon
MAN WITH A "B-SIDES & COVERS" MISSION
MAN WITH A "REMIX" MISSION
MAN WITH A "BEST" MISSION
ONE WISH e.p.
ほかに聴いたアルバム
君だけが憶えている映画/筋肉少女帯
筋肉少女帯の約2年ぶりとなるニューアルバム。彼らにとってコロナ禍以降では初となるアルバムですが、タイトルそのまま「COVID-19」なんて曲を書いてしまうのはオーケンらしい感じ。マニアックな趣味を思いっきり肯定する「そこいじられたら~はぁ! ?」などもストレートな内容ながらも筋少らしさを感じます。ただ、久々の良作で、次回作に期待していた前作「LOVE」から考えると、若干インパクトは弱くなってしまった感も。筋少らしさを随所に感じさせつつも、全体的におとなしくまとまってしまった感もあるアルバムでした。
評価:★★★★
筋肉少女帯 過去の作品
新人
大公式2
シーズン2
蔦からまるQの惑星
公式セルフカバー4半世紀
THE SHOW MUST GO ON
おまけのいちにち(闘いの日々)
再結成10周年パーフェストベスト+2
Future!
ザ・シサ
LOVE
Paradise in life/To Be Continued
1994年にシングル「君だけを見ていた」が大ヒットを記録した音楽ユニットTo Be Continued。残念ながら大きなヒットはこの1曲のみで、2000年に無期限の活動休止となりました。ボーカルの岡田浩暉はその後俳優として活躍。今や数多くのドラマに出演する「売れっ子」になってしまったのでむしろ「あの岡田浩暉がかつて所属していたユニット」という説明の方がよいかもしれません。その後、一時的に再結成したのですが、この度、本格的に再結成。なんと約22年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。
今回のアルバムでは大ヒットした「君だけを見ていた」をはじめとして彼らの代表曲を再録。新曲も収録されているものの、セルフカバー的な内容になっています。ただ、彼らの作品を聴いてあらためて思うのは、良くも悪くもJ-POP的なバンドだな、という点。シティポップを志向したような作風にはなっているものの、ソウルミュージックからの影響は薄く、ルーツレスな印象を受ける音楽性。一方、メロのインパクトは一級品で、一度聴いたら忘れられないポップなメロも聴かせてくれます。ここらへん、インパクトあるメロ主体というJ-POP的な方向性を強く感じます。90年代的なサウンドといい、アラフォー世代には懐かしさを感じさせる1枚でした。
評価:★★★★
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