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2021年12月27日 (月)

コンセプト異なる2枚同時作

ちょっと久しぶり、約3年半ぶりとなるスキマスイッチの新作は、コンセプトの異なる2枚のミニアルバムを同時リリースという意欲作となりました。

Title:Hot Milk
Musician:スキマスイッチ

まず「Hot Milk」。「タイアップ楽曲満載の“今、求められているもの”をテーマに、スキマスイッチのPOPサイドを収録した1枚」と位置付けられた1枚となっています。そしてもう1枚は・・・

Title:Bitter Coffee
Musician:スキマスイッチ

「Hot Milk」と対となる本作は「“今、メンバーが作りたいもの”をテーマにスキマスイッチの魅力であるシニカルな世界観や、今までにない挑戦的な楽曲を収録した1枚」。

そんな訳で対となる2枚のアルバムの同時リリースとなった本作。スキマスイッチというミュージシャンが持つ様々な音楽性を反映させたアルバムを目指した訳ですが、率直に言ってしまうと、どちらのアルバムも良くも悪くも非常にスキマスイッチらしいアルバムに仕上がっていました。

まず「Hot Milk」ですが、こちらは彼らの狙い通り、スキマスイッチの王道を行くような曲が並んでいます。まず1曲目の「OverDriver」ですが、最初にスタートするサビのメロディーからして、まさにスキマスイッチらしいメロににんまり。ギターの音やストリングスも入ってスケール感ある作品に仕上がっています。さらに彼ららしいのが「青春」。学生時代を描写するジュブナイル的な歌詞が彼ららしい作品で、切ないメロと歌詞も含めて、まさにスキマの王道を行くような作品に仕上がっています。さらに実に彼ららしいと言えるのが「スイッチ!」でしょう。爽やかでアップテンポなナンバーは、スキマスイッチが好きなら間違いなく一発で気に入りそうな楽曲になっています。

一方、「Bitter Coffee」の方ですが、確かに彼らが作りたいものに挑戦した、ような感じのする楽曲はありました。1曲目の「I-T-A-Z-U-R-A」にしても、彼らとしては珍しいベースラインを聴かせる楽曲で、よりファンキーな楽曲に。彼らにしては非常にヘヴィーなアレンジとなっている「G.A.M.E.」やシティポップ風の「フォークで恋して」など、彼らなりの挑戦も感じられました。

ただ正直なところ、こちらの作品にしても基本的にはスキマスイッチらしい楽曲が並ぶ内容になっていました。「いろは」「SINK」などはまさにスキマスイッチの王道を行くようなナンバーに。アルバム全体としても、「Hot Milk」に比べると、若干サウンドがヘヴィーで、歌よりも目立つ部分があるかな、という印象は受けるのですが、彼ららしい作品という印象を強く受ける内容になっていました。

結果としてはどちらのアルバムも良質な、安定感あるポップチューンが並んでおり、既にベテランの域に入りつつある彼らの実力を感じさせる作品になっていました。ただ一方、「Hot Milk」に関しては、いままで聴いたことあるような・・・という印象を受ける作品が多く、かつ昔の曲と比べると若干インパクトの欠ける印象に。「Bitter Coffee」に関しては、言うほど挑戦的な感じもせず、個人的にはもっと「こんな曲も出来るのか?」と思わせるような挑戦的な作品があった方がおもしろいのでは?と感じてしまうような内容になっていました。

またアルバムの中で一番良かったのがラストの「あけたら」で、こちらも既発表曲だったという点もちょっと残念だったかも。もちろん、アルバム全体としてはスキマスイッチの魅力をよく出せている良作だったと思います。ただ、良くも悪くも、ちょっとおとなしすぎたかな?

評価:どちらも★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"
SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~
スキマスイッチ TOUR 2019-2020 POPMAN'S CARNIVAL vol.2
スキマノハナタバ ~Smile Song Selection〜
スキマスイッチ TOUR 2020-2021 Smoothie


ほかに聴いたアルバム

セカンド/THE KEBABS

もともとthe pillowsの活動30周年記念映画「王様になれ」の中の架空バンドとして結成された、a flood of circleの佐々木亮介とUNISON SQUARE GARDENの田淵智也を中心とするバンド。よっぽど相性があったのか、映画の企画に留まらず継続的に活動を続け、2枚目となるアルバムリリースとなりました。前作同様、佐々木亮介のシャガレ声のボーカルをバックとしたガレージロックながらも、UNISON SQUARE GARDENに通じるようなキュートなメロが特徴的なアルバム。ただ、さすがに2枚目ともなると目新しさがなくなった感もあり、今回はさらにポップ寄りにシフトした結果、前作ほどのインパクトは欠けてしまったかな、といった感はあります。とはいえ、いいバンドには間違いないだけに、今後もコンスタントに活動を続けてほしいなぁ。

評価:★★★★

THE KEBABS 過去の作品
THE KEBABS

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