« スタジアムバンド? | トップページ | メランコリックなメロが良くも悪くも »

2021年12月12日 (日)

アブストラクトな作風ながらも

Title:im hole
Musician:aya

Aya_imhole

今回紹介するのは、イギリスはマンチェスターを拠点として活動しているミュージシャン、ayaのデビューアルバム。以前は「LOFT」という名義で活動しており、EP盤をリリースしたこともあったそうですが、その後、aya名義に移行。いくつかのコンピレーションアルバムへの参加後、このたびのデビューアルバムのリリースとなりました。

本作がデビュー作であるので当たり前といえば当たり前なのですが、彼女に関しては名前を聞くのもはじめてなら音源を聴くのもはじめて。ほとんど前情報なくアルバムを聴いたのですが・・・まず強烈なビートを前面に押し出したエレクトロサウンドに耳をうばわれる作品になっていました。

まずアルバムを聴き始めると、強烈なノイズからスタートします。冒頭を飾る「somewhere between the 8th and 9th floor」ではそんなノイズを前面に押し出した不気味な作風が特徴的。さらに続く「what if i should fall asleep and slipp under」ではおなじく不気味な雰囲気のエレクトロノイズに、語りのようなラップが重なるスタイルに。彼女の作品はアブストラクトと表現されることも多いのですが、まさにそんなイメージもピッタリと来るような実験的な作風の曲が続きます。

その後は、強いビートを前面に押し出したビートミュージックの様相の強い作品が続きます。「dis yacky」では、電子音を前面に押しだしたスペーシーな作品になっていますし、「OoBrosThesis」は彼女のシャウトと強いビートが印象的な、むしろパンキッシュともいえる作風。「the only solution i have found is to simply jump higher」もハイトーンでメタリックなエレクトロサウンドがミニマル風に展開する楽曲に耳を惹かれます。

ただ、そんな実験的な作品が並ぶ本作ながらも、リズミカルなエレクトロビートが主軸となっているためか、リズムが身体になじみ、なにげに聴きやすく楽しめる作品になっているようにも感じます。後半の「Emley lights us moor」も、ウィスパー気味の彼女のボーカルで静かにスタートするのですが、清涼感あるそのボーカルもあって、意外と聴きやすい作品になっていますし、続く「tailwind」もテンポよいリズムの羅列という実験的な作風なのですが、どこかユーモラスさもあって意外と聴きやすい作品となっていました。

強烈なビートとノイズがさく裂するアブストラクトな作風ながらも、意外とポップで聴きやすさも同居する作品。特にテンポよいリズムについつい聴き入ってしまう作品になっていたと思います。今後はさらに注目が集まっていくかも。ただ、ミュージシャン名はどうにも検索しにくいのが難点なのですが・・・(笑)。

評価:★★★★★

|

« スタジアムバンド? | トップページ | メランコリックなメロが良くも悪くも »

アルバムレビュー(洋楽)2021年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« スタジアムバンド? | トップページ | メランコリックなメロが良くも悪くも »