« ユニークな2バンドの共演 | トップページ | あか抜けた感のある新作 »

2021年12月20日 (月)

リアルタイムでは衝撃的でした・・・。

Title:KID A MNESIA
Musician:RADIOHEAD

今回紹介するRADIOHEADの作品は、彼らが2000年にリリースしたアルバム「KID A」と、2001年にリリースしたアルバム「Amnesiac」をまとめ、さらに未発表音源や当時のシングルB面曲、さらにはデモ音源をまとめて収録した3枚組のアルバム。発売21周年を記念してリリースされたアルバムだそうです・・・なんじゃい、21周年って?

さて、「KID A」というアルバムから、もう21年という月日が経過したことに驚かされると同時に、このアルバムがいろいろな意味で大きな話題になったことを今でもよく覚えています。まずは作品として非常に衝撃的でした。ギターロックバンドというカテゴリーで語られていたRADIOHEADが、エレクトロニカという、当時、尖ったようなリスナーが聴いていた(ような印象があった)ジャンルを大胆に取り入れた作品。21年前、まださほどいろいろなタイプの音楽に詳しくなかった私は、ある意味、聴いたことのないようなエレクトロサウンドに大きく驚かされました。

また、そんな音楽とは直接関係ないのですが、かのrockin'on誌が、トム・ヨークへのインタビューの中で彼が語った「ロックはゴミだ」という、ちょっとしたつぶやきを、やたらめったら神格化して取り上げたり、田中宗一郎が宗教的とも言えるほど絶賛をしたりと、今から考えれば気持ち悪さも感じるのですが(笑)、良くも悪くもサブカル系の音楽メディアが元気よかったな、と今から考えると懐かしさすら感じ、思い出してしまいます。

ただ、このアルバムをきっかけとして、様々なミュージシャンがエレクトロサウンドを導入。エレクトロニカといったジャンルやいわゆるビートミュージックの知名度が一気に増し、エレクトロサウンドを取り入れるロックバンドが急増したことを覚えています。「KID A」からの直接的な影響は微妙ですが、くるりの「TEAM ROCK」やスーパーカーの「Futurama」といったエレクトロサウンドを取り入れたロックのアルバムがリリースされたのも2000年や2001年。今から考えると、あの時期は猫も杓子もエレクトロだったな、という印象を受けるのですが、「KID A」というアルバムは、そんな時代の象徴的な1枚でした。

そんな「KID A」、さらにその翌年にリリースされた「Amnesiac」を聴くのは今回、久しぶりなのですが、今聴いて感じるのは、意外とポップでメロディアス、かつ意外とギターロックの要素が多分に入っているなぁ、ということでした。当時はエレクトロサウンドに強いインパクトを受け、無機質ともいえるそのサウンドに耳を奪われていたのですが、今から聴くと、例えば「KID A」の冒頭を飾る「Everything in Its Right Place」にしても、エレクトロサウンドを取り入れつつ、メロディーラインは非常にメランコリックで意外とメロディアス。中盤の「Optimistic」「In Limbo」にしても基本的にギターロックの曲となっており、今から聴くと、思った以上「ロック」なアルバムになっていたように感じました。

また今回の3枚組の目玉はなんといっても3枚目、「Kid Amnesiae + b-sides」で未発表曲「If You Say the Word」も収録。メランコリックに聴かせる同曲は文句なしの名曲で、なぜ未発表だったのか不思議なほど・・・。さらに終盤には「The Amazing Sounds of Orgy」「Trans-Atlantic Drawl」とシングルのB面曲が並ぶのですが、非常に挑戦的な作風で聴きごたえがあります。また同じくB面曲の「Cuttooth」はダイナミックなギターロックのナンバーで、なにげに隠れた名曲なのでは?

そんな3枚目も聴きごたえある今回の3枚組なのですが、ちょっと残念だったのは既発表の「KID A」「Amnesiac」がリマスター音源などではなく、オリジナル音源そのままだったという点。そのため、その2枚を持っているファンとしては、買いなおすのはちょっともったいない感はあるのですが・・・ただ、これを機に久しぶりに聴きなおして、リアルタイムで聴いたときとはちょっと異なる印象を持つこともでき、ある意味、このアルバムの別の魅力をより感じることが出来ました。そういう意味でも価値のある企画だったかもしれません。時代を経て、音楽的な新鮮味は薄れた感は否めませんが、ただそれでもあらためて名盤だと感じた2作。いままで聴いたことない方も聴く価値ありの作品です。あらためて彼らの実力を再認識しました。

評価:★★★★★

RADIOHEAD 過去の作品
In Rainbows
The Best Of
ROCKS:Live In Germ
THE KING OF LIMBS
TKOL RMX 1234567
Radiohead Live at Tramps June 1,1995
A MOON SHAPED POOL
OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017

|

« ユニークな2バンドの共演 | トップページ | あか抜けた感のある新作 »

アルバムレビュー(洋楽)2021年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ユニークな2バンドの共演 | トップページ | あか抜けた感のある新作 »