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Musician:Ed Sheeran
絶大な人気を誇るイギリスのシンガーソングライター、エド・シーランのニューアルバム。ここ最近、あまり表立った活動が行われず、おととし、コラボアルバムという企画盤のリリースはあったものの、オリジナルアルバムとしては実に約4年7ヶ月ぶりとなる本作。なんでも、自身の娘誕生に伴い、いままでのような積極的な活動は控えていたらしく、要するに、良いパパをやっていたということなのでしょう(笑)。ただ、本作にも収録された「Bad Habbits」は見事、全英チャートで6週連続1位を獲得するなど、エド人気の健在ぶりをアピールする結果となっています。
そんな彼のニューアルバムですが、エド・シーランのアルバムといえば、いままでも算術記号による作品が続いており、デビュー以来「+」「×」「÷」と続いたので、次回作は当然「ー」・・・・・・と思いきや、ここで意表をついて「=」となってしまいました。次回作は当然「ー」になるのでしょうか。それとも、「√」とか、ほかの算術記号に走るのでしょうか、それとも・・・・・・。
さて、そんなエド・シーランの久々となるニューアルバムなのですが、まず感じたのは、ここ最近のポップの流行に敏感に対応した作品になっているな、という点でした。「Bad Habbits」などは典型的ですが、メランコリックなメロとテンポよい打ち込みのリズムという作風は、ある意味、ここ最近の、特にアイドルポップに近い印象を受けてしまいます。ここらへん「Shivers」や「Overpass Graffitti」といった曲も共通。
この打ち込みサウンド+メランコリックなメロディーラインの曲が目立つ本作。いかにも今風のヒットシーンを意識した作風は、エド・シーランのシンガーソングライターとしての柔軟さを感じます。ただ一方で、正直、その売れ線を意識した作風は、少々ベタで大味にも感じられ、個人的には聴いていて、あまり楽しめませんでしたし、ソングライターとしての彼の魅力が、十分に発揮されていないようにも感じました。
むしろ、エド・シーランのシンガーソングライターとしての魅力は、そんな「売れ線狙い」のようなポップス以外で感じられました。例えば「The Joker And The Queen」など、ピアノをバックとしたシンプルなバラードなのですが、その泣きメロは絶品。アコギとピアノをバックにスケール感を持って聴かせる「Visiting Hours」も、ファルセット気味のメロディーラインで美しいメロを聴かせてくれます。
エレクトロサウンドが主体となっている今回のアルバムですが、アルバム全体として見た場合には、むしろ生音がメインの作品の方が、エド・シーランには合っているのではないか、そんなことも感じてしまったアルバム。もっとも、ポップソングとしてはどの曲もよく出来ており、いい意味ではちゃんと最近の流行をしっかりフォローしているエドには、さすが人気ミュージシャンとしての実力も感じさせます。エド・シーラン健在もしっかりと感じさせてくれた作品でした。
評価:★★★★
Ed Sheeran 過去の作品
+
÷
No.6 Collaborations Project
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