« 折坂悠太の様々な音楽性を内包したステージ | トップページ | みんな結局、こういうロックが好き・・・ »

2021年11月13日 (土)

「ジャンルレス」なアルバム

Title:ハレンチ
Musician:ちゃんみな

途中、EPのリリースもあったものの、オリジナルのフルアルバムとしては約2年ぶりとなるフィメールラッパー、ちゃんみなのニューアルバム。ラッパーとして活躍する反面、以前から活動のテーマとして「ジャンルレス」を標ぼうしている彼女。もちろん、その「ジャンルレス」は音楽のことに留まらず、性別や国籍という面でも言及しているのですが、ただ今回のアルバムに関しては、特に音楽性に関して彼女らしい「ジャンルレス」な展開になっていました。

1曲目「太陽」から、トラップ風のリズムながら切ないメロを聴かせる歌モノになっていますし、続く「Angel」もトライバルなリズムを聴かせる歌モノポップス。3曲目「君からの贈り物」もファンキーなリズムが印象的なポップチューンと、アルバム前半に関してはHIP HOP色が薄いポップな歌モノが並びます。

中盤以降はトラップ風のリズムにキュートな歌声を聴かせる「ホワイトキック」からスタートし、ハードコア風の「ピリオド」「Picky」など一転、HIP HOPなナンバーが並びます。一方内省的で、かつドリーミーな歌詞が印象的な「想像力」ではHIP HOPよりもむしろポエトリーリーディング的な楽曲。自らをみつめる歌詞も非常に心に残ります。

このようにHIP HOPに留まらない音楽性が特徴的だった本作。この音楽的なジャンルレスな点はちゃんみならしさと言えるでしょうし、大きな魅力にもなっていました。ただ一方で、それ以外の、特に歌詞の部分でジャンルレスを強調していたかというと、そこまで特徴的な印象は抱きませんでした。歌詞については特に前半は、切ないラブソングがメイン。正直言うと、結構「王道的」といった印象も受けました。

ただこの点も中盤以降に、より彼女らしさを発揮してきたのではないでしょうか。前述の通り内省的な歌詞が印象的な「想像力」に、さらに終盤の核となるのが「美人」でしょう。タイトル通り、女性にとっての「美」に焦点をあてて、彼女の主張をヘヴィーにつづるハードなHIP HOPチューン。かなり強烈なメッセージを帯びた作品になっており、アルバムの中でも大きな核となっています。

もっとも彼女、ジャンルレスといっても、この「美人」の歌詞もそうですが、しっかりと女性性という点を主軸に置いている印象も受けます。前半の切なさを感じるラブソングもそうなのですが、いわゆるジェンダーフリー的な部分を目指すのではなく、女性であるという点をしっかりと主軸に据えた上で、しっかりとした主張を繰り広げている感があります。決して女性であるということを捨てることなく、フィメールラッパーとしての主張をしっかりと伝える、それが彼女の大きな魅力なのでしょう。

もっとも反面、音楽性のジャンルレスはアルバム全体として焦点がぼやけてしまった印象もぬぐえません。実際、いままでの彼女の作品もそうなのですが、楽曲としてフックの弱さも感じてしまいます。そこらへん、難しい部分ではあるとは思うのですが・・・今後の彼女のさらなる成長も期待したいところなのです。

評価:★★★★

ちゃんみな 過去の作品
CHOCOLATE
Never Grow Up
note-book -Me.-
note-book -u.-


|

« 折坂悠太の様々な音楽性を内包したステージ | トップページ | みんな結局、こういうロックが好き・・・ »

アルバムレビュー(邦楽)2021年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 折坂悠太の様々な音楽性を内包したステージ | トップページ | みんな結局、こういうロックが好き・・・ »