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2021年11月15日 (月)

Coldplayと宇宙の旅

Title:Music of the Spheres
Musician:Coldplay

Coldplayの最近の話題といえば、日本でもヒットを記録した韓国のアイドルグループBTSとのコラボでしょう。そのコラボ作「My Universe」はアメリカのビルボードチャートで1位を獲得したほか、日本でもビルボードで最高位3位に食い込むなど、ヒットを記録しました。そのBTSとのコラボ作も目立つ、彼ら2年ぶりとなるアルバムですが、今回のアルバムではその他にもコラボが目立ちます。「Let Somebody Go」では女優としても活躍しているセレーナ・ゴメスとコラボ。「Human Heart」では女性コーラスグループのWe Are Kingとイギリスのミュージシャン、ジェイコブ・コリアーとのコラボも行っています。

さてそんな数多くのミュージシャンとコラボした今回のアルバム、まず非常に特徴的だったのがスペーシーなサウンドの作品が多かったという点。アルバム自体「Spheres」=天体というタイトルですし、BTSとのコラボ作も「My Universe」。今回、楽曲表記について何曲かはイラストになっていたのですが、1曲目のタイトルチューン「Music of the Spheres」は土星のイラスト、「Alien Choir」は輝く星のイラスト、さらに「Music of the Spheres II」は地球のイラストが用いられています。

もうひとつ大きな特徴として、スペーシーなサウンドとも通じる部分があるのですが、バンドサウンドの楽曲が極端に少なくなり、全体的にポップな楽曲が大半を占めるアルバムになっていたという点でした。そもそもドリーミーなオープニングからスタートし、実質的な1曲目である「Higher Power」からアップテンポなエレクトロポップ。セレーナ・ゴメスを迎えた「Let Somebody Go」もAORチューンとなっていますし、そもそも「My Universe」もスケール感あるエレクトロポップな作品。唯一「People of The Pride」のみバンドサウンドを取り入れたダイナミックな作風となっていますが、それ以外はどの曲も、Coldplayのバンド色が皆無なポップ路線が続いています。

まあ、もともとColdplay自体、ロックなサウンドを聴かせるバンドというよりは、ポップなメロディーラインを聴かせて人気を確保してきたバンドなだけにこの方向性自体は決して意外といった感じではないのかもしれません。ただ、今回のアルバムで一番問題なのは、その肝心のポップな作品について、メロディーラインが全然良くない、という点でした。

はっきりいって大ヒットした「My Universe」にしてもヒットした要因はBTSのアイドル人気ということ以上でも以下でもない、Coldplayとしても平凡なポップス。その他の曲についても、Coldplayらしい胸に響くような美メロ的な要素は皆無であり、全く面白みを感じません。あえていえばラストの「Coloratura」で彼ららしい切ない美メロが聴けるのですが・・・この曲も10分という長尺になった結果、妙に間延びした感が否めませんでした。

全体的にスペーシーなサウンドがコンセプチュアルで、いわばColdplayと音楽で宇宙旅行をしているような、そんな楽しみのある作品という部分はこの作品の美点ではありました。メロも彼らにしてはいまひとつといってもそれなりに完成度は高いだけに、決して聴いていてつらい、というレベルの作品ではないのですが・・・ただ、やはりColdplayとしては物足りなさが否めない凡作。かなり残念な1枚でした。

評価:★★★

COLDPLAY過去の作品
Viva La Vida or Death And All His Friends(美しき生命)
Prospekt's March
LeftRightLeftRightLeft
MYLO XYLOTO
Ghost Stories
A HEAD FULL OF DREAMS
Kaleidoscope EP
Live In Buenos Aires
Love In Tokyo
Everyday Life

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