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2021年11月 7日 (日)

美しいメロディーと歌が魅力的

Title:Friends That Break Your Heart
Musician:James Blake

セルフタイトルのデビューアルバムが大きな話題となり、一躍、時の人となってから早くも10年。ただここ最近、そのメロディーラインの美しさにさらに磨きのかかってきた感のあるイギリスのシンガーソングライターJames Blake。本作はそんな彼の、約2年半ぶりとなる5枚目のニューアルバム。話題性という意味では一時期に比べて落ち着いてきた感もあるのですが、イギリス本国のナショナルチャートでは最高位4位とここに来て自己最高位を記録するなど、確固たる人気を確保しています。

今回のアルバムに関しても、まずアルバムを聴き始めると、そのインパクトを持ちつつ、非常に美しいメロディーラインが耳を惹きます。エレクトロサウンドをバックに、清涼感ある歌声を聴かせる1曲目「Famous Like Words」も魅力的ですが、前半で耳を惹くのが2曲目「Life Is Not The Same」で、哀愁感たっぷりの泣きメロが大きなインパクト。ブルージーな雰囲気も漂う、かなりベタなメランコリック路線ながらも一方リズムトラックにはトラップの影響も感じられる今風なものとなっている点がまたユニークさを感じます。

その後も女性シンガーのSZAも参加した「Coming Back」などメロディーの美しい曲が並ぶのですが、正直言ってここらへんの前半は、メロディーラインの美しさは魅力的ではあるものの、正直なところ目新しさはなく、曲が進むにつれて、徐々にダレてきはじめてしまう・・・という印象を受けてしまい、その後の展開に不安を感じてしまいました。

そんなイメージがガラッと変わったのが中盤、ラッパーのJIDとSwaVayの参加した「Frozen」でしょう。James Blakeのファルセットボーカルでメランコリックな歌を聴かせるという本筋は変わらないものの、ダークなトラックをバックとしたラップが入ってくるという点で楽曲のバリエーションを感じさせる本作。続く「I'm So Blessed You're Mine」もトラック風のエレクトロサウンドを前面に出すという挑戦的なナンバーで、この中盤の展開にアルバムがグッと引き締まります。

後半は再びメランコリックな歌を聴かせる展開に戻るのですが、前半よりも、よりメロディーラインのインパクトが増してくる印象が。「Foot Forward」「Say What You Will」もよりポップでインパクトあるメロディーラインが魅力的ですし、女性ボーカリストのMonica Martinがゲストで参加した「Show Me」も、Monica Martinの伸びやかで美しいボーカルを効果的に用いた聴かせる泣きメロの楽曲に仕上げています。

終盤のタイトルチューン「Friends That Break Your Heart」も、アコギの音色を入れつつ、郷愁感のあるフォーキーな作風が魅力的で、彼のメロディーの良さをより強調したような楽曲に。ラストの「If I'm Insecure」は逆に分厚いサウンドで荘厳さを感じさせる展開となっています。後半もエレクトロサウンドのトラックを聴かせてくるのですが、正直なところサウンド面の印象は薄く、ただただ彼の美しいファルセットボーカルとメランコリックなメロディーラインが耳を惹く楽曲が目立ちました。

全体的にはやはり彼の歌が主軸となっているアルバム。途中、若干ダレるかも、といった感じもありませんでしたが、中盤の実験的な曲がアルバム全体を引き締め、後半は再び歌が主軸となってくるものの、バリエーションの多さもあって、最後まで一気に楽しめる、そんな傑作アルバムに仕上がっていました。個人的にはメロディーラインの美しさだけで楽しめた前作、前々作に比べると劣る印象もあるのですが、それを差し引いても彼の魅力を存分に感じることがアルバムだったと思います。その歌を十二分に楽しめた作品でした。

評価:★★★★★

JAMES BLAKE 過去の作品
JAMES BLAKE
ENOUGH THUNDER
OVERGROWN
The Colour In Anything
Assume From
Covers

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