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2021年11月 9日 (火)

ソロとして複雑な気持ちに・・・

Title:縦横無尽
Musician:宮本浩次

昨年、初となるソロアルバム「宮本、独歩。」をリリース。さらにカバーアルバム「ROMANCE」もリリースするなど、ソロとして好調な活躍を見せるエレファントカシマシのボーカリスト、宮本浩次。この勢いにのり、オリジナルアルバムとしては約1年7ヶ月ぶりの2ndアルバムがリリースされました。アルバムのスパンが1年7ヶ月というのはオリジナルアルバムとしては短すぎるという印象はないものの、その間にカバーアルバムのリリースを挟んでいることを考えると、かなりハイペースなリリースぶりがうかがえます。

そんな彼の2作目のソロアルバムなのですが、アルバムの出来としては決して悪い訳ではありません。柏原芳恵の「春なのに」のカバーをはじめととして「ROMANCE」同様、歌謡曲にグッと寄った哀愁感あふれる作品や、エレカシから考えると、かなりポップという印象を受ける作品が目立ちつつ、宮本浩次の無骨ながらも力強いボーカルをしっかりと生かしたアルバムになっており、彼らしさがしっかり生かされたソロアルバムになっていたと思います。

ただ、聴いていて非常に複雑な気分にさせられるソロアルバムになっていました。まず1点目としてポップ路線ということなのですが、ちょっとあまりにもポップすぎるんじゃないの?という点。モータウンビートで軽快な「十六夜の月」だったり、歌謡曲路線で哀愁たっぷりに聴かせる「shining」などは、まあこれはこれでいいかも、とは思うのですが、「この道の先で」などはサビへの入り方など、かなり90年代な要素を感じるJ-POP的なポップスになっていますし、「passion」などもベタな前向き歌詞も含めて、ポップなメロでJ-POP的。ラストの「P.S.I love you」に至っては、サビ先というベタな売れ線J-POP路線。90年代にドラマ主題歌としても流れても不思議ではないくらいの曲になっていました。しかしこれらの曲、ポップな路線も悪くはないとはいえ、ちょっとあまりにもJ-POPすぎない??ということを感じてしまいました。

そしてもうひとつの点、むしろこちらの方が強く気になったのですが、今回のアルバムの中の曲には少なからずエレカシとして演れたのではないか、という曲が含まれていました。「stranger」はノイジーなギターサウンドでロッキンな作風ですし、「浮世小路のblues」など、哀愁感あふれるメロディーがダイナミックなバンドサウンドにのるスタイルなど、完全にエレカシでは?と思ってしまいます。さらに「Just do it」も疾走感あふれるガレージロック路線。これもむしろエレカシとして演った方がよかったのでは?とも思ってしまいました。

前作「宮本、独歩。」はソロアルバムらしく、エレファントカシマシでは演れなさそうな曲が目立ったアルバムになっていました。しかし、2作目の本作は、かなりの部分、エレカシの曲としても問題なかったのでは?と感じてしまう曲が並んでいます。皮肉にもそういう曲がまた宮本浩次のボーカルにもピッタリマッチしていたのですが、それならエレカシとしての活動を再開してもいいんじゃない?とも思ってしまい、それでもソロを続けているという点に、複雑な心境を抱いてしまいました。

さらに複雑な印象を受けてしまうのが、このソロアルバムがエレカシのアルバムよりも売れているという事実。結局、こういうJ-POP的なポップス路線の曲が聴きたかったってこと??なんか、このままポップ路線、もしくは歌謡曲路線にシフトしていきそうで、かなり危惧しているのですが・・・次はやはりエレカシとしてのアルバムを聴きたい・・・と前作の時も書いたんだよなぁ。

評価:★★★

宮本浩次 過去の作品
宮本、独歩
ROMANCE


ほかに聴いたアルバム

Amulet/SHE'S

4人組ピアノロックバンドのニューアルバム。「追い風」「Spell On Me」がドラマ主題歌にも採用され、そのタイトル通り「追い風」が吹いているような彼ら。爽やかなメロディーラインは良くも悪くも「売れ線」という印象も受けるのですが、ただ、ピアノロックバンドというスタイルながらも、あまりピアノを効果的に生かしたような作品もなく、消化不良な感じ。前作同様、悪くはないのですが、これといった特徴もない感じで・・・。彼らのアルバムを聴くのはこれが2作目なのですが、正直、次聴くかどうかといわれると微妙かなぁ・・・。

評価:★★★

SHE'S 過去の作品
Tragicomedy

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