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2021年11月 6日 (土)

良質なカバーが並ぶ

Title:What a Wonderful World with Original Love?

今年、なんとデビューから30周年を迎えたOriginal Love。デビュー当初から高い評価を受け、数多くのミュージシャンに影響を与えてきたOriginal Loveこと田島貴男ですが、今回、デビュー30周年を記念して、初のオフィシャル・カバーアルバムがリリースされました。

集まったミュージシャンたちは、まさにOriginal Loveの近辺に位置するミュージシャンばかり。かつて、ピチカートファイヴとして共に活動していた小西康陽をはじめ、斉藤和義や原田知世、さらに今のミュージックシーンの中でOriginal Loveの雰囲気を感じられそうな若手ミュージシャンであるYogee New WavesやSuchmosのYONCEが参加。ちょっと意外なところでは、ラッパーのPUNPEE、5lack、GAPPERからなるユニットPSGも参加。さらになぜか東京事変近辺のメンバーが多く、椎名林檎がソロで参加しているほか、東京事変名義でも参加。さらに東京事変の浮雲こと長岡亮介も独自に参加しており、東京事変がらみで3曲もカバーが収録されています。

さて今回のカバーアルバム、そこに収録されている曲に関しては、非常に良質なカバーが並んでいる、この一言に尽きるように思います。SOIL&"PIMP"SESSIONSとWONKのKENTO NAGATSUKAによる「MILLION SECRETS OF JAZZ」や、斉藤和義がReiと組んだ「JUMPIN' JACK JIVE」など、基本的にはジャジーなアレンジをほどこした曲が目立ちますが、一方で原田知世の「朝日のあたる道」は彼女らしい爽やかなポップソング、長岡亮介「ディア・ベイビー」はカントリー調のアレンジに、さらに小西康陽「夜をぶっとばせ」はピチカートの延長線上のようなラウンジのアレンジにしあがっています。もっとも「夜をぶっとばせ」はもともとピチカートの田島貴男時代の曲を、Original Loveがカバーした曲らしいので、いわば逆輸入といった感じですね。

そんな中で一番耳に残ったのが椎名林檎の「LET'S GO!」と東京事変の「プライマル」。言うまでもなく、特に椎名林檎によるボーカルが秀逸で、力強さと芯の強さを感じさせると同時に、女性らしいかわいらしさを兼ね備えたボーカルが楽曲にもマッチしており、彼女のボーカリストとしての魅力が存分に発揮されたカバーに仕上がっていました。

そんな訳で、全体的には良質なカバーが並んでおり、Original Loveのファンはもちろん、アルバムに参加しているミュージシャンのファンも安心して聴けるアルバムなのは間違いありません。ただ、その上で気になってしまったのですが・・・全体的にはおとなしい、良くも悪くも無難なカバーだったかな、という印象も受けました。最後のPSG (PUNPEE, 5lack, GAPPER) & Original Love名義による「I WISH/愛してます」こそHIP HOPの要素を取り入れての挑戦的なカバーだったのですが、それ以外の曲に関しては、良質なカバーであることは間違いない反面、期待通りでしたが、期待を超えた感はなかったかな、といった印象も受けるカバーで、そういう意味では良くも悪くも期待通りといった印象を受けました。

もっとも、全体的にOriginal Loveの魅力をしっかりと伝えるカバーだったことは間違いありません。ちなみにこの30周年企画、次はオールタイムベストもリリースされるということ。こちらも楽しみ。そしてその次はそろそろOriginal Loveのオリジナルアルバムを!

評価:★★★★

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