話題作から早くも10年・・・
Title:BORN THIS WAY THE TENTH ANNIVERSARY
Musician:Lady Gaga
このジャケット写真のインパクトは一度見たら忘れられません・・・Lady Gagaが2011年にリリースし、大ヒットを記録。日本でもお茶の間レベルで「Lady Gaga」の名前が知れ渡るきっかけとなったアルバム「BORN THIS WAY」。このアルバムリリースから早くも10年が経過し、このたび10周年を記念したスペシャルアルバムがリリースされました。
アルバムはDisc1、Disc2の2枚組から構成されています。そのうちDisc1については、10年前のアルバム「BORN THIS WAY」がそのまま収録。ちなみに「BORN THIS WAY」についてはリリース当初、当サイトでも取り上げています。久しぶりに同作を聴いてみたのですが、感想としてはその時の感想と大きな違いはありません。奇抜なジャケット写真やアーティストイメージとは異なり、楽曲自体は至ってオーソドックスなポップス。インパクトはあるものの決して目新しさはある訳ではありません。ただ、その当時は「飽きられるのも早いかも」ということも書いたのですが、最新アルバム「Chromatica」も全米チャート1位を獲得するなど、すっかり大物ミュージシャンの仲間入りを果たしており、この予測は幸いなことに完全に外れてしまいました。
それだけ長いこと人気を持続しているというのは、なにより楽曲のポップミュージックとしての普遍性が強いということなのでしょうか。それを感じたのは本作のDisc2です。今回、10周年記念盤で追加されたこの2枚目のCDは、彼女の曲を様々なミュージシャンがカバーしたカバーアルバム。ただ、ここに登場するミュージシャンたちはLGBTQIA+コミュニティーを代表・支持するミュージシャンたちばかりだそうです。そのため、正直言うと、日本人にとってなじみありそうなのはカイリー・ミノーグくらいでしょうか。何よりもこのセレクション自体にLady Gagaの力強いメッセージを感じさせます。
そしてそのカバーなのですが、Big Freediaによる「Judas」はラテン風のカバーだったり、Orville Peckの「Born This Way - The Country Road Version」は渋い男性ボーカルでのカントリーによるカバーだったりと、原曲に彼らなりの味付けが加えられていますが、楽曲の印象としては全く変わりません。それだけ原曲のポップミュージックとしての普遍性が高いという証拠でしょう。そして、それがLady Gagaの人気が、いかにも飽きられそうなデビュー当初の奇抜な外見とは裏腹に、長く続いている大きな要因のように感じました。
評価:★★★★
そして、そんな「BORN THIS WAY」の10周年企画盤と同時リリースだったのがこちら。
Title:Dawn Of Chromatica
Musician:Lady Gaga
こちらは、彼女が昨年リリースした、現時点での最新アルバム「Chromatica」を様々なミュージシャンがリミックスしたリミックスアルバム。ArcaやMura Masaという顔ぶれがリミックスに参加しているほか、「Free Woman」ではRina Sawayamaも参加しています。
ここでも以前取り上げた通り、「Chromatica」は彼女の初期作品を彷彿とさせるようなポップなエレクトロダンスナンバーが中心の作品に仕上がっていました。また、いつもの彼女の作品と同様、インパクトのあるポップな作品が並ぶという点も同様。ただ、「BORN THIS WAY」もそうなのですが、非常に普遍性のあるメロディーラインを持った曲が並ぶだけに、リミックスに関しても、どんなミュージシャンによるリミックスでも原曲の魅力を失わないリミックスに仕上がっていたように感じます。
基本的にどの曲も、軽快なエレクトロアレンジに仕上がっており、あのArcaがリミックスを手掛けた「Rain On Me」でも、ポップなメロを生かした聴きやすい作品にまとまっています。斬新なリミックス・・・といった感じの曲がありませんでしたが、いい意味で聴きやすいエレクトロアルバムに仕上がっていたようにも思います。参加ミュージシャンが気になる方やLady Gagaのファンなら聴いて損はない作品ではないでしょうか。Lady Gagaの楽曲のポピュラリティーがほどよく反映されたリミックス盤でした。
評価:★★★★
LADY GAGA 過去の作品
The Fame
BORN THIS WAY
ARTPOP
Cheek to Cheek(Tony Bennett & Lady Gaga)
Joanna
A Star Is Born Soundtrack(アリー/ スター誕生 サウンドトラック)(Lady Gaga & Bradley Cooper)
Chromatica
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