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2021年10月30日 (土)

美しいボーカルが魅力的

Title:Colourgrade
Musician:Tirzah

前作「Devotion」が大きな話題となったロンドンのアンダーグラウンドシーンで活躍する女性シンガーソングライターによる2作目。いわゆる「エクスペリメンタル・ポップ・アーティスト」という肩書からもわかるように、アンダーグラウンドシーンというイメージからもピッタリくるような実験的な作風が特徴的なミュージシャンとなっています。

その話題となった前作「Devotion」も、ダウナーでミニマルなサウンドが大きな特徴に感じました。今回のアルバムに関しても、ダウナーなサウンドは特徴的。さらに今回のアルバムに関して印象的だったのは、それに加えてメタリックな要素やサイケな要素がより加わったような印象を受けます。イントロ的な1曲目、タイトルチューンでもある「Colourgrade」から、まずはダウナーでメタリックなミディアムチューンからのスタートとなりますし、その後も「Recipe」もダークでメタリックな不穏なノイズが楽曲の背後に流れていますし、「Beating」も淡々としたメタリックなビートが特徴的な楽曲となっています。

サイケな要素というと「Sleeping」でしょうか。彼女の美しく聴かせる歌声の背景に、ノイジーなギターが静かながらも不気味な音色を奏でています。続く「Crepuscular Rays」もボーカルにエフェクトを重ねながら、不気味でサイケな作風が印象的な楽曲に。ラストを飾る「Hips」もスペーシーながら、どこか不気味な雰囲気を奏でるエレクトロチューンで締めくくられます。

一方、前作で大きな魅力に感じられた彼女の美しく聴かせるボーカルはもちろん健在。全体的にメタリックで不気味な雰囲気の増した本作だからこそ、より彼女の美しい歌声が光る構成になっていました。前述の「Sleeping」ではしんみりと美しい歌声を聴かせてくれますし、「Send Me」のささやくようなボーカルも魅力的。ラストの「Hips」でもエレクトロサウンドの中で、はっきりとした彼女の歌声を楽しむことが出来ます。

ただ、リアルな歌声を耳元で聴く感じの強かった前作に比べると、今回のアルバムでは「Sleeping」で若干そんな生々しさを感じたのですが、全体的にはそんな雰囲気は薄れてしまったような感じがします。どちらかというとボーカルもサウンドのひとつとして埋没してしまった感も否めず、「歌」よりも「サウンド」をより前に押し出したような構成になっていました。

そのため、前作のような「実験的なようで、実はポップで聴きやすい」という要素が今回のアルバムでは薄れてしまった感も否めません。前作はアンダーグラウンドシーンで活躍という枕詞に反して、アングラ臭はほとんど感じられなかったのですが、今回のアルバムでは逆に、そのアングラっぽい雰囲気も感じるアルバムになっていました。

そういう意味では個人的には前作を超えるアルバムではなかったかな、とは思うのですが・・・ただ、その点を差し引いても、全10曲、それぞれスタイルの異なる実験性を感じられる曲の数々はやはり非常に魅力的。本作も前作に引き続き傑作アルバムであることは間違いないかと思います。本作も彼女の実力をしっかりと感じられる作品でした。

評価:★★★★★

Tirzah 過去の作品
Devotion


Love For Sale/Tony Bennett&Lady Gaga

かのLady Gagaが、アメリカの大御所中の大御所シンガー、トニー・ベネットと組んでリリースするジャズアルバムの約7年ぶりとなる第2弾。基本的に、スウィングやビッグバンドなどの要素を入れつつ、王道のジャズボーカル路線の曲を聴かせてくれます。前作同様、Lady Gagaの正統派なボーカリストとしての実力を存分に発揮した作品であると同時に、御年95歳(!)でありながら、全く衰えていないトニー・ベネットのボーカルのすごみも感じます。というか、とても90歳を超えた人の声とは思えない、艶のある声なんですが・・・。まさか第3弾もあったりして?

評価:★★★★

LADY GAGA 過去の作品
The Fame
BORN THIS WAY
ARTPOP
Cheek to Cheek(Tony Bennett & Lady Gaga)
Joanna
A Star Is Born Soundtrack(アリー/ スター誕生 サウンドトラック)(Lady Gaga & Bradley Cooper)
Chromatica
BORN THIS WAY THE TENTH ANNIVERSARY
Dawn Of Chromatica

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