コロナ禍でのTHE BAWDIES
Title:BLAST OFF!
Musician:THE BAWDIES
前作「Section#11」から約2年ぶりとなるTHE BAWDIESのニューアルバム。いわばコロナ禍が起こったのち、はじめてリリースされることになった彼らのニューアルバム。THE BAWDIESといえば、ライブにも活動の重点を置くロックンロールバンドである中、ライブ活動も制限される中、どんなアルバムがリリースされるのか、注目されました。
その結果、リリースされた本作は、一言で言うと、非常に疾走感ある陽気なロックンロールナンバーがつまったアルバムに仕上がっていました。とにかくアップテンポで陽気なナンバーが目立つ本作。ホーンセッションも入って軽快な「YA! YA!」からスタートし、続く(似たようなタイトル)の「OH NO!」も同じような陽気なロックンロールナンバー。さらに「T.Y.I.A」も軽快で疾走感あるバンドサウンドの中、ROYのシャウトが響く、ガレージテイストの強い楽曲へと続いていきます。まるでコロナ禍の中、自由にライブが出来なくなったうっ憤を晴らすかのような、陽気な楽曲が続いていきます。
ただ、その後の楽曲で言えば、彼らのアルバムの中では比較的バラエティーに富んだ作風なのが特徴的でした。「I DON'T WANNA」はかなり分厚いのギターロックになっており、むしろオルタナ系ギターロックからの系譜を感じますし、「DO IT」はもっとファンキーなリズムが特徴的。「RUN AROUND」などもヘヴィーなバンドサウンドが鳴り響く中、ハイトーンで刻むリズムは、むしろ打ち込みのダンスナンバーに通じるサウンドを感じさせます。最後を締めくくる「END OF THE SUMMER」もアコギも入りつつ、みんなで歌い上げるミディアムテンポのシング・ア・ロング系の楽曲。コロナ禍の中で、ライブは再開してもライブ会場でみんなで声を出すことが出来ない状況の中、あえてこういう曲を作ってくるあたりに彼らの意思を感じることが出来ます。
もっとも後半に至っても、「ROLLER COASTER」のような軽快で疾走感あるロックンロールナンバーがあったりと、序盤のイメージは後半まで続いていきます。また、この曲もそうですし、例えば「SUN AFTER THE RAIN」などもそうですが、軽快でメロディアスなポップチューンが目立つのも本作の特徴。特に「SUN AFTER THE RAIN」などはポップな曲調がJ-POP的ですらあり、良くも悪くも彼らの作品の中では「軽い」という印象を受けました。
非常に明るく軽快でライブ映えしそうなロックンロールナンバーが並んだ本作。こういう作品をコロナ禍の中で作ってくるのはあえて、ということなのでしょうか。一方ではバラエティーに富んだ作風になった点は、ライブ主導ではなく、ステイ・ホームの環境の中、曲に向き合って作品を作り上げたから、ということも言えるのかもしれません。正直言って、全体的に非常にポップで軽い作品になっており、個人的にはもうちょっと「黒さ」を感じさせる作品が好みだったかも・・・とは思うのですが、勢いのある陽気なロックンロールナンバーが素直に楽しめるアルバムだったことは間違いありません。コロナ禍の中とはいえ、徐々にライブも戻ってきている現状、少々暗い世の中で、彼らのロックンロールが陽気に鳴り響きそうです。
評価:★★★★★
THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE
1-2-3
GOING BACK HOME
Boys!
「Boys!」TOUR 2014-2015 –FINAL- at 日本武道館
NEW
THIS IS THE BEST
Thank you for our Rock and Roll Tour 2004-2019 FINAL at 日本武道館
Section#11
ほかに聴いたアルバム
Case/Creepy Nuts
人気急上昇中のHIP HOPユニットCreepy Nutsのフルアルバム。前作でも感じたのですが、ハードコア風な作品からポップな作品まで幅広いHIP HOPを聴かせてくれ、全体的に器用なユニットという印象を受ける作品。今回もトラップ的な要素を入れた作品からロック的なトラックの作品、ソウル風の作品やポップな作品まで幅広いHIP HOPを聴かせてくれます。毎作恒例なのですが、通常盤は「ラジオ盤」といって、曲の間に2人のトークが入るスタイル。これはこれでおもしろいのですが、ただ、バラバラな作風の曲が並んでいると、素直に曲だけ通して聴いてみたらどんな印象になるのかな?とも思ってしまいました。まあ、トーク部分を飛ばして聴けばいいだけの話かもしれませんが。
評価:★★★★
Creepy Nuts 過去の作品
クリープショー
かつて天才だった俺たちへ
STEREO 3/山崎まさよし
山崎まさよしの約2年ぶりとなるニューアルバム。全体的にシンプルなギターサウンドを主軸として、しっかりと歌を聴かせるポップソングが並ぶ作品に。正直、ここ最近の彼の作品は、一時期に比べて勢いがなく、地味な印象を受ける作品が続いています。今回の作品もアルバム全体としてはこれといった核となるような曲もなく、地味という印象を受けるのですがアコギを爪弾きつつメランコリックに聴かせる「Prelude」をはじめ、メロディーラインの良さにグッとくるような曲も少なくなく、山崎まさよしの実力を再認識させられる部分もありました。ここ最近のアルバムの中では一番の出来かも。
評価:★★★★
山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
COVER ALL-HO!
IN MY HOUSE
HOBO'S MUSIC
Concert at SUNTORY HALL
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]
FLOWERS
HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~
ROSE PERIOD ~the BEST 2005-2015~
UNDER THE ROSE ~B-sides & Rarities 2005-2015~
FM802 LIVE CLASSICS
LIFE
山崎×映画
Quarter
ONE DAY
山崎×CM
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