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2021年10月 3日 (日)

CKBのルーツをカバー

Title:好きなんだよ
Musician:クレイジーケンバンド

今年、デビューから40周年を迎えたクレイジーケンバンドの横山剣。今回リリースされたのは、彼のルーツである音楽をカバーした、彼ら初となるカバーアルバム。「好きなんだよ」というタイトルがあまりにもストレートですが、その名前の通り、横山剣が好きでたまらない曲ばかりを収録した作品となっています。

取り上げられている作品は主に70年代から80年代の歌謡曲やニューミュージックがメイン。誰もが知っている名曲が数多く収録されていますが、そこはクレイジーケンバンド、自分たちの色をそれなりに出しつつ、卒ないカバーとなっています。矢沢永吉の「時間よ止まれ」は、歌い方もまるっきり永ちゃんっぽい感じになっていますし、ユーミンの「やさしさに包まれたなら」は軽快なリズムでAyeshaとのデゥオでうまくカバー。「横須賀ストーリー」はホーンセッションを入れて、スカ調での軽快なカバーなのもユニーク。「よこはま・たそがれ」「空港」では力強いこぶしを聴かせてくれており、迫力あるボーカルが耳を惹きます。

また、コーラスのAyeshaがメインボーカルを取る曲がなかなか良い味を出していて、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」でも魅力的な歌声を聴かせてくれますが、さらにラストの「あまい囁き」ではムーディーな雰囲気が非常に魅力的。このアルバムの中で絶妙なインパクトとなっています。

ただ、基本的には原曲重視のカバー。上にも書いた通り、それなりにクレイジーケンバンドとしての色は出しているものの、原曲を大きく逸脱するようなカバーはなく、良くも悪くも予想通りといったカバーで目新しさはありませんでした。また、選曲にしてもクレイジーケンバンドのルーツを選曲ということですが基本的には予想通り。70年代80年代のムード歌謡曲がメインで、90年代の曲では中西保志「最後の雨」やオリジナル・ラブ「接吻-kiss」が取り上げられているのですが、どちらも他の曲と比べて想定の範囲内といった感じはします。

それでも、その楽曲のルーツとして、ムード歌謡曲と演歌、さらにはシティポップが等距離で取り上げられており、そういった「昭和歌謡曲」といっても雑多な音楽性を取り込んでいるのがクレイジーケンバンドの音楽の大きな魅力なのでしょう。今回のカバーアルバムで、そういったクレイジーケンバンドの魅力を感じることが出来るカバーアルバムでした。

しかし一方、カバーアルバムの内容としては選曲もカバー自体も良くも悪くも予想の範囲内。彼らなりに原曲の解釈を大きく変えてきたような曲もなく、そういう意味では若干物足りなさも感じたアルバムでした。あとちょっと残念なのが、このアルバムがオリジナルアルバムよりも売れているという事実・・・。先日の宮本浩次のカバーアルバムもそうなのですが、カバーがオリジナルより売れちゃうというのは複雑な心境になります・・・。もちろん、決して悪い作品ではないのですが、次はオリジナルアルバムを。売れたから、という理由でカバーアルバムを量産するようなミュージシャンではないとは思うのですが。

評価:★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER
フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド
Spark Plug
もうすっかりあれなんだよね
香港的士-Hong Kong Taxi-
CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界
GOING TO A GO-GO
PACIFIC
NOW

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