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2021年9月11日 (土)

意外とポップなメロと幅広い音楽性が魅力的

Title:GLOW ON
Musician:Turnstile

アメリカはボルチモア出身の5人組ハードコアバンド、Turnstile。これが3枚目となるフルアルバム。2018年にリリースした前作「Time&Space」が話題となり、その年の各種メディアのベストアルバムの上位にランクインしてきたそうです。ただ、実は私は2018年にリリースした前作はノーチェック。音源を聴くのも初めてならば、バンドの名前を聴くのも今回がはじめて。どんなミュージシャンか、全く事前の情報なしで聴いてみた作品でした。

で、スタートした冒頭「MYSTERY」は、まずきらびやかなエレクトロサウンドでスタート。最初はエレクトロ主体のバンドかな?と思いきや、いきなりヘヴィーなギターの音が切り裂き、ロック好きとしては否応なくテンションが高まるスタートとなります。基本的にこの1曲目「MYSTERY」はハードコアテイストの強い作品。日本で言えば、eastern youthあたりの哀愁感も兼ね備えたようなサウンドがまず耳を惹きます。

ただこのバンドで耳を惹いたのは、単純にズシリと来るそのハードコアなサウンドだけではありませんでした。印象的だったのは続く「BLACKOUT」。ハードコアというよりもメロコア的な要素も強い疾走感あるサウンドが印象的。ギターサウンドにはどこかPixies的な香りを感じつつ、メロディーラインはかなりポップで、キャッチーという印象すら受けるもので、ちょっとイメージはTHE OFFSPRING??なんてことも感じるほどのポップなメロが大きな魅力に感じました。

その後もハードコアなサウンドをベースとしつつ、「HUMANOID/SHAKE IT UP」は序盤の疾走感あるサウンドがむしろパンクのテイストを感じさせますし、「ALIEN LOVE CALL」ではヘヴィーなサウンドは封印し、メランコリックなメロを聴かせるミディアムチューン。バンドのメロディーメイカーとしての実力が垣間見れる作品になっています。さらに「DANCE-OFF」はカウベルで軽快なリズムを打ち鳴らすリズミカルなナンバー。こちらもハードコアというよりも、オルタナ系のギターロックの色合いが強い楽曲になっています。

最後を締めくくる「LONELY DEZIRES」も疾走感あるパンキッシュなナンバーで、こちらも意外とポップなメロが印象的。どこか80年代のインディーロックの雰囲気も感じさせる楽曲で、最後は冒頭に流れてきたエレクトロサウンドが再び流れ出し、アルバムの締めくくりとなります。

そんな気持ちの良いヘヴィーなハードコアサウンドを軸としつつ、メロディーはポップで、時としてキュートですらある点が非常に魅力的なバンド。サウンド的にもハードコアやメロコア、パンク、インディー系ギターロックの影響まで垣間見れる幅広いもので、勢い一辺倒ではないウィットさも感じさせます。はじめて聴いたのですが、これはすっかりはまってしまいました。今年のベスト盤候補の1枚かも。幅広い層のロックリスナーにお勧めできる1枚。本作も前作に引き続き、大きな話題になりそうです。

評価:★★★★★

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