ロックンロールへの敬愛あふれる
Title:ツイス島&シャウ島
Musician:UNICORN
UNICORNの新作のタイトルは、実に彼ららしいと言えるユニークなものになっています。言わずと知れたビートルズの曲としても有名で、ロックンロールのスタンダードナンバーとしても知られる「Twist&Shout」から取っているアルバムタイトル。いかにも一昔前のアニメのイラストのようなジャケット写真も印象的ですが、今回のアルバムは、ロックンロールやオールディーズを、UNICORN流にユニークに解釈した作品が並んでいました。
1曲目「ZG」は疾走感あるハードロックナンバー。題材として自動車を持ってくるあたりも、古き良きロックンロールらしさを感じさせます。さらに続く「ミレー」はホーンセッションとピアノで軽快なジャンプブルースのナンバー。奥田民生作詞作曲&ボーカル曲なのですが、奥田民生のシャウトも冴えまくっています。
さらに軽快なロックンロールナンバー「紅CAR」、ハードロックチューンの「スペースカーボーイズ」、軽快なEBIのボーカルが曲調にマッチしている「西の外れの物語」に、同じロックンロールナンバーでも手島いさむボーカルで泥臭さを感じさせる「Go Back Is Alright!」という変化も、メンバー全員がボーカルを取る彼ららしさが良く出ている感があります。
その後もヘヴィーなブルースロックながらもユニークな歌詞が耳を惹く「RRQ」やベンチャーズの雰囲気を感じさせるエレキロックの「米米米」など、ロックンロールやオールディーズへの敬愛を感じさせつつも、彼ららしいユニークな解釈をする楽曲が並びます。ラストを締めくくるのはタイトルチューンの「ツイス島&シャウ島」。メンバー全員がコーラスで参加するロックンロールなナンバー。こちらも彼ら独自のユニークな「ロック誕生史」?が語られるのですが、それを含めてロックンロールへの敬愛ぶりが感じられます。
もともと以前から、特に再結成後の彼らは、いい意味でベテランらしい余裕と遊び心を強く感じられるアルバムが続いていましたが、今回もまさにそんなロックンロールへの敬愛を、彼ららしい余裕と遊び心であらわしたアルバムだったと思います。同じロックンロールを題材としながらも、ブルースやハードロック、ロックンロールやブルースロックなど多種多様にわたっているのもユニークですし、またメンバー全員が作詞作曲を手掛けているUNICORNらしい構成と言えるのかもしれません。
そんな訳で、実に彼ららしいユニークな作品で最後まで一気に楽しめる傑作アルバムでした。ここ最近は、大人の余裕と遊び心から自由度が高すぎて暴走気味の作品も続いていましたが、今回のアルバムはロックンロールというテーマがあったからでしょうか、全体のまとまりも十分にあったと思います。ただ・・・ここ最近、UNICORNのアルバムが続いているだけに、奥田民生のソロもそろそろ聴きたいような・・・というのも素直に感じてもしまいました。
評価:★★★★★
ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best
イーガジャケジョロ
ゅ13-14
半世紀No.5
D3P.LIVE CD
UC100V
UC100W
ほかに聴いたアルバム
Star Made/コブクロ
先日、黒田俊介の不倫報道があった中、絶妙のタイミングでリリースされてしまったコブクロの約5年ぶりとなるニューアルバム。別にミュージシャンの不倫なんてニュースは音楽性に全く関係ないので、どうでもいいニュースといえばニュースなのですが、さすがにコブクロのように大上段に構えて純愛を歌うようなタイプのミュージシャンの曲を、不倫報道の後に聴くと、白々しく感じる点は否定できません。
その点を差し引いても、正直、楽曲はどの曲も過去の楽曲の焼き直しのような曲ばかりで、聴いていてかなり厳しい内容に。曲のバリエーションもいまひとつだし、これといってインパクトのあるフレーズも歌詞もありません。不倫報道以前に問題として、ユニットとしてかなり厳しい状況になっているような・・・。いろいろな意味で今後に不安の残る1枚でした。
評価:★★★
コブクロ 過去の作品
5296
CALLING
ALL COVERS BEST
ALL SINGLES BEST2
One Song From Two Hearts
TIMELESS WORLD
ALL TIME BEST 1998-2018
BYE/ビッケブランカ
9月リリース予定のアルバムからの先行配信となる4曲入りのEP盤第2弾。軽快なエレクトロチューンが並んだ第1弾「HEY」から変わり、本作では爽やかながらもちょっと切ない雰囲気のナンバーが並びます。ただ、前作「HEY」と同様、彼の楽曲にしてはちょっとフックが弱いような感じが気になります。ポップスとしてはそれなりの強度もあり、悪いナンバーではないのですが、これが先行配信となると、アルバムの出来が若干気になってしまうのですが・・・。
評価:★★★★
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