驚異の大ヒット作
Title:Certified Lover Boy
Musician:Drake
先日、Kanye Westがリリース後1日の驚異的なストリーミング回数を記録した、というニュースをここでも取り上げました。その時点で、Kanye Westのニューアルバム「Donda」がSpotifyで2021年において24時間で最も再生アルバムと認定されたのですが、それからわずか1週間もしないスパンで、その記録がDrakeにより更新。リリース当日のイギリスのシングルチャートでは1位から21位まで彼の曲で独占されるというとんでもない記録も打ち立てたりしています。
一部のミュージシャンに極端に人気が集中してしまう傾向にはちょっと気になる部分はあるのですが、Drakeのニューアルバムを聴くと、確かにその絶大な人気の理由もわかるように感じます。ジャンル的にはもちろんHIP HOPながらも、アルバム全体に流れるのはメランコリックな歌。JAY-Zをゲストに迎えた「Love All」も、その歌声が耳に残りますし、特に印象的なのがピアノをバックに女性シンガーYebbaがメロウに歌い上げる「Yebba's Heartbreak」。Yebbaの切ないボーカルも印象的ですし、ピアノ1本で美しく奏でるトラックも強く心に残る楽曲に仕上がっています。また、少々不気味な雰囲気を醸し出すエレクトロトラックをバックにメロウに歌い上げる「Fucking Fans」もその歌がまずは印象に残ります。
もちろんDrakeのラップ自体もまるで歌うようなスタイルがメインとなっており、しっかりとポップに聴かせてくれます。そんな「歌うようなラップ」といえば、トラップのリズムをバックに聴かせる「TSU」や哀愁感たっぷりのピアノをバックに哀しげなラップを聴かせる「Knife Talk」あたりでしょうか?またKid Cudiをゲストに迎えた「IMY2」もドリーミーなサウンドをバックにメランコリックに聴かせるラップが印象的です。
また、そんな全体的にポップにまとめあげつつ、トラップのリズムも積極的に取り入れ、特に「Fair Trade」ではTravis Scott、「Way 2 Sexy」ではFutureとYoung Thugとトラップの代表格とも言えるラッパーとも前作に引き続きしっかりとコラボ。まあ、トラップもヒットシーンの中心に躍り出てからもう久しいのですが、そこらへんも今の音の壺はしっかりと押さえた作品に仕上げていました。
正直言って、全体的には決して目新しさもなく、いつものDrakeといった印象も受けます。ただ、メランコリックでポップな作風はいつも以上に冴えわたっており、個人的にはここ最近の作品ではもっとも出来の良い傑作に仕上がっていた印象を受けます。1時間20分というかなりのボリュームだったのですが、最後まで飽きることなく楽しむことも出来ました。もっとも、カニエのアルバムみたいに、あと20分近く長かったら、さすがに飽きてきそうにも思うので、そういう意味ではちょうどよいバランスだったようにも思います。おそらく、特に売上という面では今年を代表する1枚となった本作。しかし、その理由も納得の、いい意味での聴きやすさのあるアルバムでした。
評価:★★★★★
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