ジャケはおどろおどろしいが・・・
Title:Any Shape You Take
Musician:Indigo De Souza
アメリカ、ノースカロライナ州はアシュビル出身の女性シンガーソングライター、Indigo De Souzaの2枚目となるニューアルバム。最近、徐々に注目を集めているそうで、このアルバムも各種メディアで高評価を獲得し、一気に期待のシンガーソングライターの仲間入りを果たしたそうです。
ただ、まず気になってしまうのは、そのあまりに不気味すぎるジャケット写真。まず100%、ジャケ買い(・・・ってもう「死語」なのかもしれませんが)されなさそうなジャケット。曲名リストにも「Darker Than Death」「Die/Cry」「Bad Dream」などといった、いかにもおどろおどろしいタイトルが並んでいます。人によっては、かなり聴いてみるのを戸惑ってしまうのではないでしょうか(人によっては、むしろ聴いてみたくなる??)。
しかし、このおどろおどろしいジャケット写真に反して、楽曲自体は意外とメロディアスで聴きやすいポップな曲調の作品が並びます。冒頭を飾る「17」もキュートなボーカルとポップなメロディーラインが印象的なエレクトロポップで、ジャケットのイメージからすると、かなり意外な雰囲気の楽曲からスタートします(逆に、ジャケットを見て聴いてみようと思った方には物足りないかも?)。
さらにアルバム全体としては、「エレクトロポップ」という様相の1曲目の方向性ともちょっと違っており、むしろオルタナティブ系のギターロックの王道を行くような作品となっています。上にも書いた「Die/Cry」もメロディアスなギターロックに仕上がっていますし、「Bad Dream」もタイトルの通り、ダウナーな雰囲気の作風なのですが、こちらもヘヴィーなギターを軸に置きつつ、ポップなメロを聴かせるギターロック。終盤の「Way Out」なども、ダイナミックなバンドサウンドを前に押し出しつつ、メロディアスな歌を聴かせるスタイルは、オルタナ系ギターロック好きには、かなり壺にはまるのではないでしょうか。
一方では冒頭の「17」をはじめ、「Pretty Pictures」や「Hold U」などでは打ち込みのサウンドも効果的に使用。ちょっとドリーミーな雰囲気も加わったり、曲にバリエーションを持たせたりする効果を出しています。ここらへんのバンドスタイルにこだわらない作風は、いかにもソロのSSWらしい感じもしますし、また、宅録っぽいといった感も受けます。そのジャケットの雰囲気とは異なり、全体的には比較的広い層のリスナーが楽しめるポップなアルバムに仕上がっていました。
また、「Darker Than Death」「Die/Cry」などといったタイトルの曲も、決してデスメタル的なおどろおどろしさのある歌詞ではなく、「Darker Than Death」では死ぬより暗い顔をしている恋人(?)に対して、「私が何か言ってしまったの?私が何かしてしまったの?」と語りかける、どちらかというと非常に悲しい感じの歌詞。「Die/Cry」も「あなたが泣くのを見るくらいならば、私は死んだほうがまし」と歌うような歌詞になっており、ジャケや楽曲タイトルとは少々イメージの異なる作風になっており、そういう意味ではメロディアスで、時としてキュートと感じられる歌にマッチした世界観と言えるかもしれません。
このように、基本的に非常にポップな作風で、いい意味で聴きやすい内容でしてので、ギターロック好きを中心に、広い層に文句なしにお勧めできる作品。特に女性ボーカルのオルタナ系ギターロック好きなら、文句なしに聴いてほしい1枚だと思います。まだ本作が2枚目という、これからのミュージシャン。今後の活躍に期待です。
評価:★★★★★
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