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2021年9月 5日 (日)

大御所ソウルグループの14年ぶりの新作

Title:Perfect Union
Musician:Kool&The Gang

1980年にシングル「Celebration」が大ヒットを記録するなど、主に1980年代に数々のヒット曲を飛ばし、アメリカを代表するソウルグループとして一世を風靡したKool&The Gang。その後もグループは解散することなく今日までコンスタントに活動を続けています。もっとも、オリジナルメンバーは既にロバート・"クール"・ベルとジョージ・ブラウンの2人を残すのみ。残りのオリジナルメンバーは既に鬼籍に入ってしまっています。ただ、残った2人もまだ57歳で、全然バリバリ現役の年なんだよなぁ・・・オリジナルメンバーの残りが全員逝去してしまっているのは、あまりにも早すぎる・・・。ちなみに現在では新たにメンバーを加えて、10人以上という大所帯バンドになっています。

そんなすっかり大御所の位置になってしまったアメリカを代表するソウルグループの新作がこちら。リリースとしては2013年のアルバム「Kool for the Holidays」以来。純然たるオリジナルアルバムとしては2007年の「Still Kool」以来、実に約14年ぶりというニューアルバムになります。

楽曲的には、ちょっと一昔前の、懐かしさを感じさせる王道路線のR&B、ソウルといった感じ。美しいハーモニーでメロウなR&Bを聴かせる「Pursuit of Happiness」からスタートし、メロウなファンクチューン「The Weekend」、軽快なファンク「Leave It on the Dance Floor」へと続きます。その後のウェットな感じのサウンドで哀愁感たっぷりの「High」、80年代を彷彿させるファンクチューン「Sexy(Where'd You Get Yours)」などなど、後半に至るほど80年代風のファンクチューンが並び、ある意味、Kool&The Gangの本領発揮といった感じの楽曲が並びます。

ちょっと懐かしい感じのする楽曲が並ぶだけに耳ざわりはよく、広い層が楽しめそうな作品が並びます。もっともその一方で目新しさはほぼゼロ。そういう意味では残念ながら、挑戦心という要素は薄かったように感じます。ただ「目新しさはゼロ」といっても、この王道路線を築き上げたのは彼らなわけで、だれかの模倣ではなく、彼らがいままで演ってきたことを、普通に演ってきただけ、とも言える訳で。長年のファンに対して、ファンが期待するような作品をしっかりと出してきた、とも言えるかもしれません。

また「Pursuit of Happiness」ではラップを取り入れるなど、それなりに今の音楽にアップデートしている点もちゃんと言及しておいた方がよいのかもしれません。ここらへんは大御所の彼らとはいえ、最近の音楽の動向を無視できないということのあらわれかもしれませんが・・・ただ、やっつけ程度にチグハグな感じでラップを取り入れている・・・のではなく、しっかりと違和感なく楽曲の中に組み込んでいるのはさすがとも言えるかもしれません。

全体的には目新しさはないかもしれませんが、ベテランらしい丁寧な仕事ぶりで、難しいこと抜きにしてそのメロウでファンキーな楽曲を楽しめる作品と言えるでしょう。往年の彼らと比べると、確かに勢いの衰えは否めませんが、かつて彼らを好んで聴いていたファンならば、まずは楽しめる作品だったように思います。

評価:★★★★

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