2021年上半期 洋楽ベスト5
毎年恒例の私的ベストアルバム上半期ベスト5。まずは洋楽編です。
5位 Vulture Prince/Arooj Aftab
聴いた当時の感想は、こちら
日本ではまだほとんど無名に近い、ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動するパキスタン出身の女性シンガーソングライター。ストリングスやアコギを用いたサウンドにトライバルな要素が加わった独特のサウンドが魅力的。そこに載る、彼女の伸びやかで美しいエキゾチックなボーカルがマッチし、その歌声とサウンドに一気にはまってしまいました。ワールドミュージック的な要素を感じつつ、一方では幅広い層にもアピールできるようなポピュラリティーも感じさせる傑作。今後は日本でもその名前を聴く機会が増える、かも。
4位 ENTERTAINMENT,DEATH/SPIRIT OF THE BEEHIVE
聴いた当時の感想は、こちら
なんともいえない馬鹿ジャケのようなジャケ写も印象に残る彼らは、アメリカ・フィラデルフィア出身のインディーロックバンド。ノイズなども取り入れたアバンギャルドなサウンドを繰り広げつつ、一方ではメロディーラインは至ってポップでキュートという点が大きな特徴的。アバンギャルドなサウンドとキュートなメロというアンバランスさはかつてのシューゲイザー系を彷彿とさせる構成でもあり、個人的にはかなりはまってしまいました。
3位 Seek Shelter/Iceage
聴いた当時の感想は、こちら
正直なところ、彼らのアルバムを聴くのは本作がはじめてとなるのですが、既にデビューから13年目を迎え、中堅の域に入るデンマークのポストロックバンドによる新作。マンチェスタームーブメントやブリットポップからの影響を感じさせる前半のグルーヴィーでサイケなサウンドもたまりませんが、後半はフォーキーだったりグラムロックの影響を感じさせる曲もあったりとバラエティー豊富な構成に。ただ全体的に流れるサウンドのグルーヴ感が非常にかっこよく、アルバムをリリースする毎に高い評価を受けているのも納得の、彼らの実力がわかる傑作アルバムでした。
2位 NINE/SAULT
聴いた当時の感想は、こちら
2020年にリリースされた2枚のアルバム「Untitled(Black is)」「Untitiled(Rise)」が2枚同時に2020年の私的ベストアルバムベスト10にランクインするなど、すっかりその魅力にはまった、イギリスの「謎」のユニット、SAULTの新作。なんと本作は、リリース及び配信期間がわずか99日という期間限定リリースの作品に。しかし本作も、前作同様、ループするサウンドやサンプリング、HIP HOPなどの今どきな要素を取り入れ、かつファンク、エレクトロ、ポップ、ソウル、ゴスペルなど多彩な音楽性を上手く楽曲の中に取り入れている文句なしにカッコいい傑作に仕上がっていました。年間ベストでも上位に食い込むこと間違いなしなのですが、その時はもう、聴けなくなってしまっているんだよなぁ・・・。
1位 ULTRAPOP/The Armed
聴いた当時の感想は、こちら
そして、上半期1位を獲得したのは、アメリカはデトロイト出身のハードコアバンドThe Armedのニューアルバム。彼らも2009年デビューという中堅バンドなのですが、今なおその勢いを感じさせます。そんな彼らの新作は、ヘヴィーでノイジーなハードコアサウンドにエレクトロのサウンドを加えてくるというカオスなサウンドが耳を惹くのですが、ところどころ、狂おしいほどポップなメロディーを入れてきている点が大きな魅力。「ULTRAPOP」というタイトルが皮肉でもなんでもない、非常に魅力的なポップのアルバムになっている作品。サウンドは狂暴なサウンドでありながらも、聴き終わった後は、ポップだったな・・・と感じてしまうような、そんな不思議な魅力あふれる傑作でした。
ほかのベスト盤候補は・・・
Chemtrails Over The Country Club/Lana Del Rey
Deacon/serpentiwithfeet
Menneskekollektivet/Lost Girls
New Long Leg/Dry Cleaning
ENDLESS ARCADE/TEENAGE FANCLUB
Afrique Victime/Mdou Moctar
Cavalcade/black midi
うーん、正直言うと、今年上半期、全体的に「これ」といった傑作は少なかったように思います。上位5枚にしても、その次のベスト盤候補にしても、確かに年間ベストに十分食い込むことが出来そうな傑作であることは間違いないのですが、ただ、これといってずば抜けた傑作は出会えなかったような・・・。率直なところ、全体的にちょっと物足りなさすら感じてしまう今年の上半期でした。
さて、あらためて上半期ベスト5を並べると
1位 ULTRAPOP/The Armed
2位 NINE/SAULT
3位 Seek Shelter/Iceage
4位 ENTERTAINMENT,DEATH/SPIRIT OF THE BEEHIVE
5位 Vulture Prince/Arooj Aftab
コロナ禍の厳しい状況はまだ続いてしますが、そんな閉塞感ある毎日の中、これらの傑作が、少なからずみなさまの心の癒しとなりますように。
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