夢のコラボ!
Title:RESPECT (Original Motion Picture Soundtrack)
Musician:Jennifer Hudson
2018年に惜しまれつつこの世を去ったソウルの女王、アレサ・フランクリン。おそらくその直後から、彼女の死を悼むべく、様々なプロジェクトが立ち上がっていたのでしょう。当サイトでも紹介しましたが、5月には映画「アメイジンググレイス」も公開されて大きな話題となりました。そして今年8月に全米公開となった映画が彼女の伝記映画「RESPECT」。日本でも11月に公開を予定していますが、その主演、ジェニファー・ハドソンが歌う映画のサントラ集が先行リリースされました。映画のサントラ、といっても事実上、ジェニファー・ハドソンがアレサの名曲の数々のカバーしているカバーアルバムとなっています。
ジェニファー・ハドソンといえば、ご承知の通り、映画「ドリームガールズ」で映画デビュー。類まれなる歌唱力と演技力が話題になり、主演のビヨンセを食ったともいわれるほどの名演技で、アカデミー賞の助演女優賞を受賞。さらにその後はシンガーとしても活躍を続け、グラミー賞を受賞するなど、アカデミー賞、グラミー賞を両方受賞するという快挙を達成しています。
今回、アレサの伝記映画において、アレサ役として彼女が抜擢されたというのは、アレサ本人が生前に彼女を指名したとか。その話も十分納得ですし、また、アレサの映画で、歌唱シーン込みで主演をはれるのは彼女しかいないのではないでしょうか。それだけ納得のいく人選のように思います。
とはいうものの、カバーの相手はかのソウルの女王、アレサ・フランクリン。歌唱力に定評のあるジェニファー・ハドソンといっても苦戦するのでは?というのは聴き始める前の予想としてありました。実際、アルバムの冒頭「There Is A Fountain Filled With Blood」や「Ac-cent-tchu-ate The Positive」は、聴いていると正直、どこか線の細さも感じて、さすがにジェニファー・ハドソンでもアレサの前では物足りなさを感じてしまうのか・・・と感じてしまいました。
しかし、そんな印象が変わっていくのも中盤以降。ムーディーに歌い上げる「Do Right Woman,Do Right Man」もアレサに負けず劣らずのボーカルを聴かせてくれるのですが、映画の表題曲ともいえる「Respect」も耳を惹くものがあります。もともとオーティス・レディングの曲として有名だった同曲をアレサがカバー。もともと単なるラブソングだったこの曲を、女性に対する敬意を求める歌へと変貌させ、原曲以上にアレサのバージョンがスタンダードナンバーとなりました。その曲をジェニファーは見事に歌いこなしており、実に素晴らしいカバーに仕上げています。
映画「ブルース・ブラザーズ」の中で歌われていることでも有名な「Think」も、アレサに負けず劣らずのパワフルなカバーに仕上げていますし、「I Say A Little Prayer」も感情たっぷりのボーカルが胸をうちます。今年公開された映画での、アレサのボーカルに思わず涙してしまった「Amazing Grace」も、決して負けていません。聴いていてグッと胸に響いてきました。最初は少々不安に感じた同作でしたが、聴き終わった頃には、アレサの歌に決して負けていないジェニファーの歌声に聴き惚れる作品になっていました。
もっとも、基本的にアレサの自伝映画で使われたカバーなだけに、ジェニファー自身の解釈はほとんどなく、アレサのボーカルスタイルに沿った形でのカバー。そういう意味では、当たり前といえば当たり前ですが目新しいものはありません。ただ、それでもやはりジェニファーのボーカリストとしてのすごみすら感じさせる作品になっており、その内容は圧巻の一言。ジェニファーのアルバムとして考えても、実に素晴らしい傑作に仕上がっていました。
これは是非とも映画も見てみたいですね!11月公開予定なので、そのころにはもうちょっとコロナもおさまっていればよいのですが・・・まあ、映画館はよっぽどのことがないと大丈夫だとは思うのですが・・・。ジェニファーのファンはもちろん、アレサのファンも文句なしにお勧めできる傑作でした。
評価:★★★★★
JENNIFER HUDSON 過去の作品
JENNIFER HUDSON
I REMEMBER ME
JHUD
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