安定のカッコよさ
Title:サンバースト
Musician:The Birthday
前作から約3年4か月ぶりとなるThe Birthdayのニューアルバム。今年で結成15年目。さらにギターにフジイケンジが加入してから早くも10年目を迎えた彼ら。もう、いまさら話を出す必要がなくなってきているのかもしれないのですが、ミッシェル・ガン・エレファントは活動開始から解散まで12年だったので、ついにミッシェルの活動歴を超えてしまったんですね・・・。それだけのキャリアを重ねたからこそ、間違いなくバンドとして成熟期、いい意味での安定期を迎えた感があります。
このジャケット写真の黒をベースに4人並んだ写真も非常にカッコいいのですが、楽曲も問答無用のカッコよさを感じます。1曲目「12月2日」も最初、静寂の中、静かにギターの音が入ると、ギターとドラムスの音で一気に切り込んでくるイントロのカッコよさにまずは震えますし、ヘヴィーなギターリフをバックに、メランコリックに歌い上げるチバのボーカルも文句なしにカッコいい。まずはリスナーの耳をグッとつかむオープニングになります。
続く2曲目「息もできない」は悲しげなメロディーラインが印象的な作品。メランコリックなメロがサビにいくにつれグッと盛り上がる構成がいい意味でポップながらもしびれますし、語るようなボーカルとギターのリフの相性が抜群の「月光」も非常に印象に残るガレージロックのナンバーとなっています。
その後も、ちょっとユーモラスな歌詞も彼ららしい「ラドロックのキャデラックさ」も、雰囲気も含めてThe Birthdayらしいですし、またサビの部分はライブでもみんなで合唱して盛り上がりそう。強いビートで疾走感ある「レボルバー」から、「アンチェイン」「晴れた午後」は疾走感あるギターロックといった感じ。さらにミディアムテンポで「歌」を聴かせる「スイセンカ」へと続きます。ここらへんはThe Birthdayのポップな側面が強く感じさせる楽曲が並びます。
後半は再びヘヴィーなバンドサウンドを前に押し出した曲が。「ショートカットのあの娘」はダイナミックでパンキッシュなバンドサウンドが魅力的。さらにアルバムの中で強く印象に残ったのが「ギムレット」で、こちらもヘヴィーなバンドサウンドをバックにチバの語りが印象的。サビで繰り返される「小さな愛だ!」のフレーズが強く印象に残ります。そしてラストはミディアムチューンでメロディアスにメランコリックなメロを聴かせる「バタフライ」で締めくくりとなります。
全11曲46分強。1曲あたり3~4分程度の長さで、メロディアスな作品も多く、いい意味でポップな内容に。一方ではヘヴィーなギターリフとヘヴィーなバンドサウンドが印象的な作品も多く、ポップな側面とガレージロックバンドとしての側面がいい意味でバランスされている作品に仕上がっていたと思います。全体的には、いつものThe Birthdayという印象も強く、正直、目新しさはないのですが、安定したカッコよさは健在で、数多くのガレージロックバンドとは格の違いも感じさせてくれた作品でした。文句なしの傑作作品。冒頭にも書いた通り、結成から15年。いい意味での成熟期、安定期を感じさせてくれる作品でした。
評価:★★★★★
The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
VISION
GOLD TRASH
BLOOD AND LOVE CIRCUS
NOMAD
LIVE AT XXXX
VIVIAN KILLERS
WATCH YOUR BLINDSIDE 2
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