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2021年8月13日 (金)

名古屋発期待のガレージロックバンド

Title:愛とヘイト
Musician:ビレッジマンズストア

名古屋を拠点に活動するガレージロックバンド、ビレッジマンズストアのフルアルバムとしては2枚目となるアルバム。「ヘイト」という単語を使うあたりは、「今風」という感じがする一方、「愛とヘイト」というタイトルは、非常にシンプルであり、なおかつ、直訳すると「愛と憎しみ」というある種ベタなタイトルとも言えます。ただ、彼らの奏でるロックンロールは、シンプルなガレージロックという、シンプルかつ、見方によっては「ベタ」なもの。そういう意味では今回のアルバムタイトルは彼ららしい、とも言えるかもしれません。

ただ、アルバム全体としてはシンプルなガレージロック路線を主軸として、バラエティーに富んだ幅のあるサウンドを聴かせてくれています。イントロ的な1曲目「ラブソングだった」ではミディアムテンポのバラードナンバーからのいきなりのスタートとなるのですが、序盤はシャウト気味のボーカルに疾走感あるリズムが特徴的なガレージロックナンバーが続きます。「猫騙し人攫い」「クロックワーク・パインアップル」「Poeple Get Lady」と迫力あるガレージロックが続き、本作の中でもっともロックバンドとしての神髄を感じられたのがこの前半でした。

一方、中盤は比較的ポップな路線の楽曲が続きます。ヘヴィーなバンドサウンドやギターリフが入ってくるあたり、しっかりロックバンドとしての矜持を感じさせてくれるのですが、「アダルト」「名前しか無い怪物」など、ある意味J-POP的なポップなメロが流れる曲があったり、「御礼参り」などはメランコリックなメロがちょっとビジュアル系(?)っぽさを感じたり。前半の硬派な路線と比べると、ポップな彼らの側面を感じられるのが中盤でした。

さらに後半は、よりメロコアやパンクロックからの影響を感じさせるような曲が並びます。「黙らせないで」「Love me tender」などはよりメロコア的な色合いが強く、良くも悪くも、ここ最近の「夏フェス向け」といった感じの曲になっています。ライブでは盛り上がりそうな感じもするのですが、序盤と比べると、ちょっと軟派なイメージもする終盤になっていました。

このバラエティー富んだ振れ幅のある作風については、良い意味では彼らの音楽性の広さと言えるかもしれません。ただ一方で個人的にはちょっと統一感のなさも感じました。特に前半の硬派なガレージロック路線が非常にかっこよかっただけに、後半ももっとこの路線を貫いてほしかった感もあります。前作「YOURS」でも感じたのですが、ちょっとポップ寄りに傾きすぎている感が・・・。いや、ポップなメロを奏でられるというのも彼らの魅力ではあるとは思うのですが、そのバランスがちょっと悪かったように感じます。

とはいえ、全体的には非常にかっこよいバンドであることは間違いなく、個人的に地元名古屋のバンドという点も含めて、より応援したくなるバンドであることは間違いありません。ちなみに時折、「名古屋のバンド」であることを主張する固有名詞が登場するのも特徴的で、本作でも「ラブソングだった」の中に

「消えていく後ろ姿は桜通の
地下に消えていく」
(「ラブソングだった」より 作詞 水野ギイ)

という歌詞が登場。ここで言う「桜通」というのは、名古屋の中心部を東西に貫く大通りのうちの1本。こういうふとした地元描写はやはりうれしくなりますね。

評価:★★★★

ビレッジマンズストア 過去の作品
正しい夜明け
YOURS


ほかに聴いたアルバム

貴方を不幸に誘いますね/ツユ

ボカロPなどで活躍していたぶすを中心として結成した、イラストや動画担当も含めて5人組となる音楽ユニット。アルバムタイトルからもわかるように、自意識肥大的な「中2病」的な要素も強い歌詞がインパクト。サウンドは過剰気味な部分やマイナーコード主体の節回しはいかにもボカロ出身といった感じなのですが、爽やかな感じにちょっとシティポップ的な要素も感じられるメロディーラインは悪くはなく、さらなる成長も期待できそう。「中2病」的な歌詞はちょっと痛さも感じるのですが、変に日和ることなく、このまま突き進めばおもしろいかも。

評価:★★★★

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