とにかく楽しい企画盤
Title:Hail Satin
Musician:The Dee Gees/Foo Fighters
Bee GeesならぬThe Dee Geesなるバンドが、非常に陽気なダンスチューンをリリースしてきました!The Dee GeesなるBee Geesのカバーバンドが突如リリースしたアルバムが本作。Bee Geesの著名な代表曲の数々を、Bee Gees顔負けの陽気さを持って見事にカバーしています。
・・・で、このThe Dee Geesなるバンドは、実はFoo Fightersの「分身グループ」。もともと、ライブ配信などでBee Geesのカバーを取り上げたことはあるそうですが、今回はBee Geesの代表曲4曲と、Bee Geesメンバーの弟であり、70年代から80年代にかけて一世を風靡したものの1988年にわずか30歳という若さで急逝したアンディ・ギブの「Shadow Dancing」の全5曲が収録されています。
さて、この5曲のカバーですが、これがもう笑ってしまうほどそのままのカバーになっています。デイヴ・クロールは、完全にファルセットボイスでバリー・ギブになりきっています。バンドサウンドもフーファイらしい泥臭いサウンドは鳴りを潜め、軽快なディスコチューンを奏でています。あえて言えば「Tragedy」が原曲に比べて若干泥臭さを感じさせるアレンジとなっており、隠しきれないフーファイらしさがちょこっと表に出た、といった感じなのですが、この曲にしても基本的には原曲から大きく逸脱することはありません。正直、「カバー」というより「コピー」といった感じのアルバムになっており、そういう意味ではフーファイらしさという面は薄いのですが、ただ、フーファイのBee Geesへの敬愛ぶりがよくわかりますし、何よりも聴いていて難しいこと抜きに純粋に楽しいアルバムに仕上がっていました。
あえていえば個人的には「メロディーフェア」や「愛はきらめきの中に」のように聴かせるタイプのBee Geesの曲も好きなので、そこらへんの曲も1曲カバーしてほしかったかも、という感じはするのですが。まあ、全体的にはディスコチューンで統一した、ということなのでしょうか。普段のフーファイでは聴くことの出来ない、陽気なディスコチューンの楽しめるアルバムでした。
ちなみに本作はレコードストアデイの企画によりリリースされた作品で、フィジカルはレコードのみでのリリース。ただし、ストリーミングでは普通に配信されているので、ストリーミングで手軽に楽しめます。なお、レコード盤ではA面、B面とわかれており、A面はこのThe Dee Geesとしての作品5曲が収録。B面には彼らの最新アルバム「Medicine at Midnight」からのライブ音源が収録されています。ストリーミングだと、途中から急に曲調がガラッと変わってしまうため、ちょっと違和感があるかもしれません。
そのFoo Fightersとしてのライブ音源5曲も申し分ない傑作ぞろい。ライブ音源らしく、より迫力ある緊迫感ある演奏が楽しめます。ここらへん、王道のロックバンドとしてはここ最近、最も安心して楽曲を楽しめるバンドなだけに、ライブ音源も文句なしの出来栄えとなっていました。また、この前作「Medicine at Midnight」はフーファイ流パーティーロックともいえる楽しいアルバムに仕上がっていましたが、ひょっとして今回のBee Geesのカバーは、そんな前作の流れを引き継いでいるのかもしれません。そういう意味でも、本作のB面に「Medicine at Midnight」のライブ音源を入れてきたというのは、両者の聴き比べを狙ったのかもしれません(が、聴き比べると、さすがに全くタイプが違う曲調なのですが・・・)。
そんな訳で、ある意味「お遊び企画」ではあるものの、彼らのBee Geesへの敬愛ぶりと、その本気度を強く感じることの出来たアルバム。また、このBee Geesへの敬愛ぶりと直近のアルバムの方向性から考えて、ひょっとしたら次作はフーファイ流ディスコアルバムになるかも??なんてことを思ったり思わなかったり。ただ、そんな思惑を差し引いても、まずは純粋に音楽の楽しさを味わえる、そんなアルバムでした。
評価:★★★★★
FOO FIGHTERS 過去の作品
ECHOES,SILENCE,PATIENCE&GRACE
GREATEST HITS
WASTING LIGHT
Saint Cecilia EP
SONIC HIGHWAYS
Concrete and Glod
02050525
00959525
Medicine at Midnight
ほかに聴いたアルバム
The Soft Bulletin Companion/The Flaming Lips
こちらもレコードストアデイでLPリリースされたアルバム。もともと1999年にリリースされたアルバム「THE SOFT BULLETIN」リリース時に、プロモーション目的で制作された作品で、未発表曲やアウトテイク、シングルのB面などを収録したアルバム。プロモーション用だったのでメディア等にしか配布されていない「幻のアルバム」だったのですが、この度、20年以上の月日を経て、LPリリース。配信でもリリースされているほか、CDでもリリースされました。
内容的には非常に祝祭色あふれる作風にサイケなサウンドが特徴的という、The Flaming Lipsらしさがつまったアルバム。明らかなデモ音源のような、ファン向けの曲もあるのですが、アルバム全体としてはこれでひとつの作品として成り立つような楽曲が並んでおり、The Flaming Lipsのアルバムとして十分楽しめる内容になっていました。The Flaming Lipsが好きなら、間違いなくチェックして損のない1枚です。
評価:★★★★★
THE FLAMING LIPS 過去の作品
EMBRYONIC
The Dark Side Of The Moon
THE FLAMING LIPS AND HEADY FWENDS(ザ・フレーミング・リップスと愉快な仲間たち)
THE TERROR
With a Little Help From My Fwends
Oczy Mlody
GREATEST HITS VOL.1
King's Mouth:Music and Songs
The Soft Bulletin: Live at Red Rocks (feat. The Colorado Symphony & André de Ridder
American Head
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