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2021年8月23日 (月)

話題のインディーミュージシャンが数多く参加

Title:Bills&Aches&Blues

インディー・レーベル・・・と言われて、おそらくラフ・トレードなどと共に真っ先に名前をあげられるであろうイギリスの老舗インディーレーベル、4AD。もともとは70年代にコクトー・ツインズなどの活躍でその名を知られるようになり、その後、かのPixiesも所属。The BreedersやBon Iver、さらにDeerhunterやGrimesなど、現在に至るまで途切れることなく話題のミュージシャンを輩出し続けているインディーレーベルです。そんなレーベルも設立40周年を迎え、その記念としてリリースされたのが本作。現在、所属する18組のミュージシャンが、4ADの過去の名曲をカバーするオムニバスアルバム。個性派揃いの18組のミュージシャンが、それぞれ思い思いのスタイルで4ADの名曲の数々をカバーしています。

この18組のミュージシャンは、まさに今を時めく話題のミュージシャンも目立ちます。U.S.GirlsやDry Cleaning、Helado Negro、Jenny HvalにBig Thiefなど、当サイトでも紹介したことのあるミュージシャンたちもズラリと並んでいます。その中でも目を惹くのが、4ADの大御所中の大御所、The Breeders。現在でも現役の4ADの看板ミュージシャンである彼女たちは、今回のアルバムにカバーされる側でもカバーする側での名前を連ねているのが非常にユニークです。

そんなThe BreedersがカバーするのはHis Name Is Aliveの「Dirt Eaters」。静かなギターサウンドをバックに静かに聴かせるカバー。決して派手なスタイルではないものの、原曲の雰囲気に沿った形で、しっかりとベテランらしい卒のないカバーに仕上げています。

さてそんなアルバムがスタートしてまず耳を惹くのが1曲目。ジンバブエ出身オーストラリア育ちの女性ラッパーTkay MaidzaによるPixiesの代表曲「Where Is My Mind?」のカバー。エレクトロサウンドをバックにしつつ、ゆっくりと歌い上げるスタイルのカバーで、原曲のポップな側面をより強調したカバーに仕上げています。まさに冒頭を飾るにふわさしいPixiesの魅力をしっかりと伝えるカバーになっています。

続くU.S.GirlsによるThe Birthday Partyの「Junkyard」のカバーも秀逸。こちらの原曲は今回、これを機にはじめて聴いてみたのですが、非常にダークな雰囲気の原曲をU.S.Girlsは見事に自己流に調理。トライバルなリズムを入れることにより、ダークで妖艶という原曲の持つ雰囲気とポップな要素を見事に融合させたカバーに仕上げています。

Dry CleaningによるGrimesの「Oblivion」のカバーも個人的にはお気に入りのカバー。エレクトロアレンジだった原曲の雰囲気が一転、ノイジーなギターと気だるいボーカルによるシューゲイザー的なカバーに生まれ変わっており、個人的にはこちらもかなり好みなアレンジ。もっとも原曲の持ちポピュラリティーは本作でもしっかりと健在です。

原曲のイメージをガラリと変えているという点ではDeerhunterのリードシンガー、Bradford CoxによるThe Breedersの「Mountain Battles」も耳を惹きます。中盤にメロディアスな歌は登場するものの、最初と最後は、サイケな音の塊が襲ってくるアバンギャルドなアレンジに。原曲の雰囲気を完全に解体しつつ、彼らしいカバーに仕上げています。

そしてアルバムのトリを飾るのはBig Theifの、これまたThe Breedersのカバー「Off You」。彼女たちらしいアコースティックなサウンドでのフォーキーなカバーに仕上げており、完全にBig Theifらしい楽曲に仕上がっている本作。The Breedersの本来持っていたポップなメロの魅力を存分に生かしたカバーに仕上がっています。

そんな訳で、どのカバーも、原曲の雰囲気をそのまま残したようなカバーもあれば、完全に自分たちのフィールドに引きずり込んだカバー、さらには原曲を完全に解体したようなカバーもありつつ、しかし、どのミュージシャンもしっかり自らの個性をカバーに付与している作品ばかりとなっていました。それだけ所属しているミュージシャンがみんな、非常に力を持ったミュージシャンばかりということなのでしょう。偉大な先輩たちの楽曲に、まったく引けを取らないカバーを聴かせてくれています。まだまだこれからも4ADのミュージシャンたちの活躍が続きそう・・・そう確信できるオムニバスアルバムでした。

評価:★★★★★

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