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2021年7月16日 (金)

人気女優によるカバーアルバム

現在、女優といて人気上昇中の上白石萌音。以前から歌手としても活動を続けていましたが、このたび、70年代から90年代の日本のヒット曲をカバーしたアルバムが2枚同時にリリースされ、話題となっています。

Title:あの歌 -1-
Musician:上白石萌音

こちらは70年代の歌謡曲を中心に収録したカバーアルバム。全編、鳥山雄司がアレンジャーをつとめています。

Title:あの歌 -2-
Musician:上白石萌音

こちらは90年代のJ-POPを中心として収録したカバーアルバム。こちらは曲によってアレンジャーをかえており、そのアレンジャーの仕事ぶりの比較も楽しめます。

さて、この2枚のベストアルバム、なぜかMusic Magazine近辺では表紙を飾るなど、大絶賛で迎え入れられているのですが、率直な印象としては、事務所に大切に育てられている女優さんが、ちゃんとお金をかけてしっかりとしたスタッフをつけられた結果生まれた、よい仕事ぶりのカバーアルバム、以上でも以下でもない、という感想を抱きました。

「あの歌-1-」は全編、歌謡曲の選曲なのですが、全体的にはおなじみのヒット曲を無難にそろえた、良く言えば卒のない、悪く言えば無難な選曲といった印象を受けます。上白石萌音のボーカルは、清涼感あるボーカルなのですが、良くも悪くも癖のないボーカルなので、さらっと聴いていると、さらっと聴きながせてしまうボーカル。それだからか、鳥山雄司のアレンジは、全体的に原曲の良さをいかしつつ、アコースティックテイストを残してさらっとまとめた感のあるアレンジになっており、彼女のボーカルを殺さないような配慮を感じるアレンジにプロとしての仕事ぶりを感じました。

逆に「あの歌-2-」は、比較的最近の曲だから、ということもあって、彼女のより強い思い入れのある選曲なのでしょう、おなじみのヒット曲もある一方、「知る人ぞ知る」的な選曲もあったりして、ここらへんは彼女のこだわりも感じます。また全10曲のうちユーミンの曲が3曲もあり(「制服」「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」「まちぶせ」)、何気に彼女の好みも垣間見れます。

ただ、「歌」がメインであった70年代の歌謡曲と比べると、90年代のJ-POPは原曲を誰が歌うか、誰が演奏するのか、という「意味」がより強い曲が増えた結果、彼女の卒ないボーカルが、良くも悪くも「違和感」を生じていました。

具体的に言うと、Fishmansの「いかれたBABY」。GLIM SPANKYによるアレンジなのですが、原曲の持つ独特の浮遊感やグルーヴ感は皆無。Fishmansの持っていた原曲の魅力が出ていたか、と言われるとかなり疑問なカバーになっていました。また、ブルハの「青空」のカバーも、やはりヒロトが歌うことにより生まれる独特の味わいがなくなっており、かなり薄味という印象は否めませんでした。

もっとも逆に、原曲の持つ雰囲気から無理やり「歌」が無理やり切り離されたことにより、癖のないポップソングとして新たに生まれ変わった、という解釈も出来、そういう意味では原曲の持つメロディーラインの良さが、シンプルなボーカルとアレンジゆえにしっかりとあらわれていた、というポジティブな解釈も出来るといえばできるカバーになっていたように感じます。

そんな訳で、良くも悪くも「癖」がなく、女優として求められるスタイルにしっかり答えることが出来る上白石萌音のボーカルにより、良く言えば聴いていて純粋に「歌」が楽しめるカバーに、悪く言えば、無難に仕上がっているカバーにまとまっていた作品に仕上がっていました。全体的にアレンジャーの優れた仕事ぶりは目立ちますし、彼女の清涼感あるボーカルも魅力的ですし、純粋に歌が楽しめるカバーアルバムとしてよく出来た仕上がりだとは思いますが・・・悪い意味で癖がなく、斬新な解釈もなく、そういう意味で「アーティスティック」な部分があまり感じられないカバーなのは、良くも悪くも主軸が「女優」だからなんだろうなぁ、とも感じてしまいました。

評価:どちらも★★★★


ほかに聴いたアルバム

スキマスイッチ TOUR 2020-2021 Smoothie/スキマスイッチ

おなじみスキマスイッチのライブアルバム。昨年12月24日に行われた東京・中野サンプラザでのライブ音源をCD化しています。コロナ禍の中、なかなかライブも行えず、ライブでも声出し禁止という制限された状況の中でのステージなのですが、基本的に彼らのステージはいつもと一緒。原曲と比べてさらにスケール感も増し、さらに楽しげなアレンジにバージョンアップしています。また、MC集も収録。何も注釈もなく「今池」という名古屋の地名も登場してくるので、おそらく名古屋でのライブのMCなのでしょう。MCも含めて楽しめるライブ盤でした。

評価:★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"
SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~
スキマスイッチ TOUR 2019-2020 POPMAN'S CARNIVAL vol.2
スキマノハナタバ ~Smile Song Selection〜

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