« こちらも日本の男性アイドル勢が・・・ | トップページ | 美メロが耳を惹くポルトガルのSSW »

2021年7月24日 (土)

シンプルに「歌」を聴かせる

 Title:I Know I'm Funny haha
Musician:Faye Webster

Faye

クリクリっとした目のキュートなルックスが目を惹く彼女は、アトランタを拠点に活動する、23歳のシンガーソングライター。本作が4枚目となるアルバムなのですが、徐々に注目を集め、本作はアメリカのヒートシーカーズチャートで9位、ビルボードのアルバムチャートでも35位にランクインしており、本作も各種メディアで絶賛。まさにブレイク寸前の様相を見せているミュージシャンとなっています。

さて、そんな彼女ですが、ジャンル的にはインディーフォーク。シンプルなサウンドをベースとして非常にシンプルで暖かみのある、メロディアスな歌を聴かせてくれる点が大きな特徴。もっと言うと、この手の「インディーフォーク」とカテゴライズされるミュージシャンは、基本的にフォーキーなサウンドをメインとして、突如、サイケなサウンドを挟んできたりして、「ちょっと変わった」サウンドを作り出しているミュージシャンが少なくありません。もちろん、それはそれで魅力的なのですが、彼女の場合はそのようなサイケなサウンドもなく、最初から最後まで至ってシンプルな歌を聴かせるアルバムとなっています。

もちろん、シンプルな歌モノの中でもバラエティーある作風は魅力的で、メロウなギターの「Better Distractions」からはじまり、アコギが入って、よりフォーキーな雰囲気の強い「Sometimes」へと続きます。よりメランコリックに聴かせる「In A Good Way」やブルージーなギターが魅力の「Kind Of」に耳を奪われつつ、中盤のインパクトとなるのが「Cheers」でしょう。ヘヴィーなカッティングギターが印象的な作品で、MVでもギターをかかえる彼女の姿が印象的な、本作でも特にロックテイストの強いナンバー。フォーキーな作品が並ぶ中で、ちょうどよいインパクトとなっています。

後半も、ストリングスが入りつつ、メロウに聴かせる「A Stranger」や、さらにこのアルバムの中で一番ドリーミーな雰囲気が魅力的な「A Drema With a Baseball Player」などが並びますが、後半、特に日本人にとって耳を惹くのが「Overslept」でしょう。なんと本作、カクバリズム所属の日本のシンガーソングライター、mei eharaが参加。さらにしっかり日本語詞でフォーキーな歌を歌っています。これ、アメリカ人にとってはどのように聴こえるのでしょうか?日本人にとっては、いたってシンプルなフォークソングで、聴いていて全く違和感がありません。アルバムの中でも特に暖かいメロディーラインが魅力的な曲になっており、もっと日本でも注目されてもいいのに、とも思ってしまいます。

アコギとピアノでフォーキーに聴かせるラストの「Half of Me」に至るまで、いたってシンプルなサウンドとメロディーで構成された本作。派手なメロディーラインこそありませんが、暖かさのある歌がしっかりと心に響き、ほどよくバリエーションのある楽曲もあって、最後まで全く飽きることがありません。日本で言えば、空気公団あたりのイメージでしょうか?いい意味で広い層が楽しめる良質なポップアルバムに仕上がっていました。

どちらかというと「かわいい隣のお姉さん」的なキュートなルックスも良いですし、日本でも今後、さらに注目を集めそうな予感のあるアルバム。実際、CD屋の店頭でもプッシュされていましたし、もっともっと知名度が高まる予感がします。アメリカでもブレイクか?ポップ好きなら、是非とも聴いてほしい傑作でした。

評価:★★★★★

|

« こちらも日本の男性アイドル勢が・・・ | トップページ | 美メロが耳を惹くポルトガルのSSW »

アルバムレビュー(洋楽)2021年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« こちらも日本の男性アイドル勢が・・・ | トップページ | 美メロが耳を惹くポルトガルのSSW »