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2021年7月19日 (月)

シューゲイザー寄りの作品は魅力的だが

Title:再生する
Musician:Ivy to Fraudulent Game

アイヴィー・トゥー・フロウジュレントゲームと読むこのバンドは、本作がフルアルバムとしては3作目となる4人組ロックバンド。いままでのフルアルバムのアルバムタイトルが「回転する」「完全が無い」という、いかにもなタイトルだったり、この奇妙なバンド名だったり、バンドとして「ポストロックやシューゲイザーの影響を受けた」という売り文句になっているのですが、確かにいかにもポストロック系の様相を感じさせます。

今回のアルバム、「再生する」というタイトルは、コロナ禍の中で崩壊してしまった文化を「音楽の力で再生していく」という決意のもとに制作された作品。いかにもなジャケットも印象的で、さぞかしシューゲイザー的な轟音サウンドやポストロック的な凝ったサウンドが楽しめるんだろう・・・・・・と思って聴くと、正直、かなり肩透かしをくらうかもしれません。

彼らの作品を聴くのは私はミニアルバムを含め本作で4作目。特に前々作「回転する」はシューゲイザー的なサウンドが前面に押し出された楽曲も目立つアルバムでした。ただ前作「完全が無い」はかなりポップに振れた作品になっており、シューゲイザー的なサウンドを求める身としては物足りなさを感じてしまったのですが、今回のアルバムに関しても、基本的にはその前作の方向性を踏襲するような作品になっていました。

冒頭を飾る「旅人」も、分厚いギターサウンドが耳を惹くものの、メロディーはJ-POP的で端正なボーカルもあって、良くも悪くも、よくあるギターロックバンドといった印象を受けます。「檻の中から」も同様に、ノイジーなギターサウンドはそれなりに印象に残るものの、疾走感あるギターロックは、よくあるオルタナ系ギターロックバンドといった印象を受けます。終盤の「共鳴」も、ゆっくりノイジーに聴かせるギターサウンドは心地よいのですが、端正なボーカルもあって、メロディアスなそのメロは、良くも悪くも売れ線といった印象を受けてしまいます。

そういった売れ線ギターロック路線も、ポップなメロディーで聴きやすく、それなりに魅力的ではあるものの、正直、Ivyとしての個性はさほど感じず、これだけだとちょっと厳しいなぁ、という印象を受けてしまいます。ただ、そんな印象がガラリと変わるのが中盤、シューゲイザーやポストロックの影響を強く受けたような作品が並んでおり、特に「Twilight」などはファルセットボイスとシューゲイザー系の影響を顕著に感じるギターサウンドで幻想的な作風が大きな魅力となっていますし、さらに「番」に関しても、同様にストリングスも入ってドリーミーな雰囲気が魅力的な楽曲。ほかの作品で感じたポップなメロディーラインもしっかりと展開されており、これらの作品こそがIvyの真骨頂では?と感じました。

ポップなオルタナ系ギターロック路線も、決して悪いわけではないのですが、Ivyとしての個性に欠けているような印象を受けます。これでメロディーラインについて、圧倒的な美メロとか書いてくるのであれば、それはそれで良いし、実際、ラストを飾る「御伽」については、それなりに魅力的なメロディーラインを聴かせてくれているのですが、アルバム全体としては残念ながら、そこまでIvyとしての圧倒的な個性を感じるようなフレーズはなかったように感じます。

そういう意味でも、もうちょっと全体的にシューゲイザー、ポストロック寄りにシフトした方が、他のギターロックバンドとIvyとの差を出せたように感じるのですが・・・全体的にポップ寄りの作品が続いているのは残念。次の作品には期待したいところですが・・・。

評価:★★★★

Ivy to Fraudulent Game 過去の作品
継ぐ
回転する
完全が無い

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