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2021年7月17日 (土)

早くも10年

Title:BACK THE WAY WE CAME:VOL.1(2011-2021)
Musician:NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

ご存じ90年代から2000年代にかけて世界中で大旋風を巻き起こしたロックバンドoasisのメインライターとして活躍し、oasis解散後も、ソロ名義「NOEL GALLAGER'S HIGH FLYING BIRDS」として活躍を続けるお兄ちゃんことノエル・ギャラガー。解散直後は若干、失速気味だった弟、リアムも、最近はソロアルバムで高い評価と人気を獲得しており、兄弟そろって活躍を続けるあたり、ギャラガー兄弟のすごさを感じてしまいます。そして、HIGH FLYING BIRDSの活動開始から早くも10年が経過したところにも、時間の速さを感じてしまいます。そんな活動開始から10年の区切りとして、初となるベストアルバムがリリースされました。

ベスト盤リリースの区切りとして10年というのは決して短くはないのですが、ただ、その間、彼がリリースしたオリジナルアルバムは3枚。で、デラックス盤だと3枚組・・・ちょっとベスト盤のリリースとしては早くないかい??という感もしたのですが、3枚のうち1枚はボーナスディスクとしてリミックスや、日本盤だとフジロックの音源が収録された内容で、ベスト盤としては事実上、2枚組。また、長さも2枚まとめて80分弱という、無理をすればCD1枚に収録できた内容を無理やり1枚にまとめた内容。また、HIGH FLYING BIRDSの新曲のリリースとしても、2019年以降、3枚のEPをリリースしており、今回のベスト盤にはこちらのEPも収録されており、そういう意味では、ベスト盤とオリジナルアルバムのバランスとしてはちょうどよいと言えるかもしれません。

また、今回のベスト盤、2枚組にした理由も明確で、ほぼリリース順に並んでいるのですが、1枚目はoasisのイメージを引き継いだようなギターロックの作品が並んでおり、一方、2枚目はoasisのイメージをグッと変えるような作風の曲が並んでいます。レコード盤のA面、B面を意識したのかもしれませんが、この2枚のCDでHIGH FLYING BIRDSの音楽の多様性を、より強調したような構成になっています。

特に1枚目に関しては、初期の作品が多く、当初はoasisに提供することを想定した曲もあるそうなので、余計「oasisらしい」と感じさせる曲が目立つのでしょう。「The Death Of You And Me」のレトロ感あふれるサウンドから、抜けるようにポップなサビに展開していく構成もoasisらしいですし、「If I Had A Gun...」のようなメランコリックに聴かせるメロディーラインも、oasisのノエルボーカル曲としてピッタリきます。「Ballad of the MightyⅠ」などリズミカルでグルーヴィーなナンバーなど、リアムボーカルで聴いたら・・・なんて想像もしたくなります。

ただ一方で「AKA...What A Life!」のようなリズミカルなナンバーも収録されており、ここらへん、四つ打ちのリズムはノエルの次へのステップへの布石としても感じることが出来ます。1枚目では、oasisを彷彿させつつも、どこかoasisとは異なる雰囲気も、随所に感じることが出来ました。

そしてグッとoasisのイメージから異なるのが2枚目。冒頭の「Black Star Dancing」からいきなりエレクトロの四つ打ちダンスチューンからスタート。「This Is The Place」「It's a Beautiful World」はいずれも打ち込みのサウンドが前に押し出されたエレクトロポップに仕上がっています。新たな一歩としてエレクトロ路線、というのはよくありがちな手であるのですが、やはりoasisとは異なる方向性に新鮮味を覚えます。

さらにこの新たな方向性はエレクトロ路線だけではありません。「Holy Mountain」ではホーンセッションなどを取り込んだ分厚く、祝祭色の強いポップ路線が気持ちよい作品。oasisといえばシングアロング路線の楽曲でライブで大盛り上がり…という魅力を持ったバンドでしたが、この曲はこの曲で、スタジアムレベルでのライブでの盛り上がりを想像できる、あらたなライブでの定番曲といった印象を受けます。さらに「A Dream Is All I Need To Get By」はメロウでラテンの雰囲気もあるムーディーなナンバーに。ここらへんもoasis時代の曲とはちょっと異なる味わいがあり、ノエルの音楽的な新たな挑戦を感じさせます。

ちなみにボーナスディスクは、リミックスやアコースティックバージョンなどを収録。リミックスはトランシーなエレクトロアレンジが多いのですが、そもそも原曲がエレクトロアレンジなので、さほど目新しさは感じません。むしろアコースティックアレンジの、例えば「The Man Who Built the Moon」などはまんあoasisといった感じで、oasisとして聴いてみたかったな…という(ちょっと後ろ向きな)気分に感じさせる楽曲になっていました。

そんな訳でデビューから10年。いまだにoasis復活を待ち望む人は私を含めて多いのですが、ただこのベスト盤を聴いていると、ノエルは確実に前に進んでいますし、万が一oasisの復活があったとしても、すぐに喧嘩別れしそう。やはりノエルのあのたぐいまれなメロディーセンスを持って、oasisにとらわれない新たな音楽性をどう模索していくのか、今後のソロ活動が楽しみに感じるベスト盤になっていたと思います。とはいえ、やはりoasis復活は待ち望んでしまうのですが・・・。

評価:★★★★★

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
CHASING YESTERDAY
Who Built the Moon?
Wait And Return EP
Black Star Dancing
This Is The Place
Blue Moon Rising


ほかに聴いたアルバム

Jordi/Maroon5

約3年7カ月ぶりとなるポップスバンドMaroon5のニューアルバム。軽快なエレクトロのビートに本作ではよりメランコリックさが増したメロディーラインが印象的。デビューから20年近くが経過したベテランバンドの彼らですが、そのエレクトロサウンドを含めて、楽曲的には、いかにも「今風」のポップスにちゃんとまとめ上げている点はさすが。しっかし時代に対してアップデートしていく彼らの姿を感じることが出来ました。

評価:★★★★

Maroon5 過去の作品
OVEREXPOSED
V
Red Pill Blues

CultureⅢ/Migos

Migos

「Culture」「CultureⅡ」がいずれも高い評価を集めたアメリカのHIP HOPユニットの、「Culture」シリーズの第3弾。いままでの作品と同様、終始軽快なトラップのリズムとダークなサウンドが印象的。また、全編にわたるメランコリックな雰囲気も大きな魅力となっている作品。基本的にいままで2作から大きな変化はなく、そういう意味ではあまり目新しさはなかったのですが、ただそのリズミカルなサウンドとメランコリックな雰囲気に惹かれた1枚でした。

評価:★★★★★

Migos 過去の作品
Culture
CultureⅡ

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