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2021年7月 9日 (金)

自然の音色をバックに

数多くのCMソングや映画音楽などを手掛けるミュージシャン、高木正勝。2018年から2019年にかけて、「Marginalia」と名付けたプライベイトなピアノ曲集を2作リリースしましたが、続けて今年、第3弾と第4弾をまとめてリリースしてきました。

Title:MarginaliaⅢ
Musician:高木正勝

Title:MarginaliaⅣ
Musician:高木正勝

前作「Marginalia」「MarginaliaⅡ」と同様、バックに自然の音が流れるフィールドレコーディング的な録音状態に、ほぼピアノの音だけが静かに流れるという作品。京都の山村を拠点にしているそうなのですが、彼の身の回りの音を録音したということなのでしょうか。「#61」「#66」などでは女の人の声が入ってくるのですが、それ以外はピアノの音色が流れるのみ。静かな森の中で、高木正勝のピアノの演奏会を静かに聴いている、そんな感覚に陥るようなアルバムでした。

今回のアルバムも前作同様、楽曲は全て「Marginalia #〇」と、「〇」の部分に数字が入るスタイル。「MarginaliaⅢ」は「#48」からスタートし、数字はほぼ順番に並んでいるのですが、所々番号が飛んでいたり、ラストはなぜか「#76」の次に「#83」と飛んだあと「#57」と戻る構成になっています。一方「MarginalⅣ」では「#89」からスタートし、連番が続き、最後は「#103」で終わります。

ピアノ曲といいつつバラエティー富んだ作風になっていた「Marginalia」「Ⅱ」と比べると、「Ⅲ」「Ⅳ」は比較的シンプルなフレーズの曲が並んでいました。ただ、だからといって飽きてくるということは全くなく、美しいピアノのフレーズが強く印象に残る作品になっています。そんな中でも異なる2つの旋律が交差し、ちょっとフリーキーな要素のある「#59」は印象に残りますし、「#68」のようなメランコリックなフレーズ、さらには「#71」のような軽快でポップな作風のピアノ曲と、そのフレーズが印象に残るピアノ曲も少なくありません。

一方、「Marginalia」「Ⅱ」ではちょっと物足りなさを感じていたフィールドレコーディングという要素があまり生かされていなかった点ですが、今回の作品では、これでもかというほと自然の音が多く録音されています。森の葉音や風の音、虫の声や川のせせらぎ、さらには鳥の鳴き声など・・・これらの自然の音が、ピアノと同じく楽器のように、演奏の一部として機能しているようにすら感じられました。

特に「Ⅳ」の方では、この自然の音の方が前に押し出されたようになっており、むしろ、この音の方が「主」であり、ピアノのフレーズの方が「従」であるような、そんな錯覚に陥るようなバランスになっていました。そのため、正直言うと、「Ⅳ」の方に関しては自然の音がただ流れる環境音楽のような感じになってしまい、美しいピアノ曲を楽しめた「Ⅲ」と比べると、最後まで聴きとおすにはちょっと辛い部分があった点も否定できません。

もっともそんな中でも「#98」のような美しいフレーズが流れる曲があったり、「#102」のような蝉の声が流れる夏を彷彿とさせる曲の中で清涼感あるピアノの音色が流れるといった、爽やかな曲があったりと、聴かせる曲ももちろん少なくありませんでした。今回もその美しいフレーズに聴き惚れるピアノアルバムに仕上がっていました。ボリュームたっぷりのチルアウト的なアルバムですが、最後まで楽しめたアルバム。このシリーズ、まだ続くのでしょうか?次の作品も楽しみです。

評価:「Ⅲ」★★★★★
「Ⅳ」★★★★

高木正勝 過去の作品
Tai Rei Tei Rio
TO NA RI(原田郁子+高木正勝)
おむすひ
かがやき
Marginalia
MarginaliaⅡ

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