美メロが耳を惹くポルトガルのSSW
Title:PRIVATE REASONS
Musician:Bruno Pernadas
ポルトガルの首都、リスボンを拠点に活動するシンガーソングライター、ブルーノ・ペルナーダスのニューアルバム。どんなミュージシャンなのか調べていく中で、「ジャズ・ミュージシャン」というカテゴリーで紹介されていたりもしたのですが、あまりジャズミュージシャンというイメージはありません。ほかにも「ポルトガルのスフィアン・スティーブンス」という紹介をされていたりもしましたが、イメージ的にはこちらに近い感じでしょうか。ジャズ的な要素も感じられるものの、基本的にはネオ・フォークというイメージの強いミュージシャンのような印象を受けました。
特に「美メロ」とも称することが出来るような美しいメロディーラインのポップスが耳を惹く作品で、まず前半では「Theme Vision」。ちょっとレトロな雰囲気もあるフォーキーなポップス。後半、エレクトロノイズも登場するなど、若干サイケな様相も感じる点もユニークですが、そのメロディーラインにまずは耳を惹かれます。さらに後半では「Brio 81」もまた、美しいメロディーラインと分厚いサウンドが心地よさを感じるポップチューン。「Step Out Of The Light」も前半のピアノとストリングスでの美しくも物悲しいインストと、後半の美メロな歌モノの展開が見事な作品。まずはこのメロディーラインの美しさが耳を惹く内容になっていました。
ただ、このメロディーラインを大きなインパクトとしつつ、エレクトロサウンドやトライバルなサウンド、さらにはサイケなサウンドを要所要所に取り入れているのが彼らのもうひとつの大きな魅力。例えば冒頭を飾る「Family Vows」も、最初は男女デゥオで爽やかでフォーキーなメロとサウンドを聴かせるのですが、後半はサイケデリックなサウンドが展開されます。前述の通り、美メロが印象的な「Theme Vision」も後半ではエレクトロノイズが展開されますし、「Jory Ⅱ」ではエキゾチックなテイストのサウンドが耳を惹きます。ラストの「Far Beneath Your View」もラストはスペーシーなエレクトロノイズで締めくくられており、ある意味、柔らかいフォーキーなサウンドとメロとは対極的なサウンドが要所要所に流れてくる点が非常にユニークな作風となっています。
さらにアルバムの中で特にユニークだったのが「Lafeta Uti」で、トライバルなビートとエレクトロサウンドが軽快なサウンド。アルバムの中でもちょっと異質な様相を持つこの曲。このアルバム自体、「未来主義的なアフロビート」をテーマとしたそうですが、正直なところアフロビートを明確に感じたのはこの曲くらいだったような・・・。ただ、軽快なビートが魅力的なナンバーだったのは間違いありません。
そんな美しいフォーキーなメロを軸にバラエティー富んだサウンドを楽しめる傑作アルバム。ポルトガルのミュージシャンでワールドミュージック的なカテゴリーで語られることもあるかもしれませんが、ポップなメロディーラインは間違いなく広い層に支持されるミュージシャンだと思います。美メロ好きには文句なしにお勧めできる1枚です。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
CALL ME IF YOU GET LOST/Tyler,the Creator
約2年ぶりとなるTyler,the Creatorのニューアルバム。Tylerといえば、以前はかなりヤバイ雰囲気のダークなラップが特徴的で、本作も「LEMONHEAD」や「LUMBERJACK」など、ダークな雰囲気の作品もしっかりと収録されています。ただ、その一方でメロウなサウンドを聴かせるような作品も目立ち、特に印象的だったのが「SWEET/I THOUGHT YOU WANTED TO DANCE」。タイトル通り、1曲の中で2部構成になっているような作品で、前半(おそらく「SWEET」)はシティポップの雰囲気もあるメロウな歌モノに。後半もレゲエ的な横ノリのリズムも入ったメロウなナンバーになっていました。その他にもメロウなトラックのナンバーが目立ちました。前作「IGOR」はポップ的な要素が強い作品になっていましたが、本作もまた、ポップ的な要素が強い作品に。ただ、ラップの要素が薄くなってしまった前作と比べると、初期を彷彿とさせるようなダークなラップの楽曲も含まれており、そういう意味では、前作のポップ路線と初期の彼の路線を上手く融合させたアルバムと言えるでしょう。さらなる音楽的な広がりを感じさせる傑作でした。
評価:★★★★★
TYLER,THE CREATOR 過去の作品
Goblin
Wolf
CHERRY BOMB
Flower Boy
IGOR
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