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2021年7月

2021年7月31日 (土)

「バイエル」ここに完結(ひとまず)

Title:バイエル
Musician:ドレスコーズ

以前、ここでも紹介したドレスコーズこと志磨遼平の「成長するアルバム」である「バイエル」。4月に配信オンリーで、インスト版の「バイエル(Ⅰ.)」がリリースされ、さらに同じ月にピアノ弾き語りオンリーで歌も載せた「バイエル(Ⅱ.)」がリリースされました。本作はそれに続く第3弾。ほぼピアノのみの弾き語りだった「(Ⅱ.)」がさらに進化し、バンドサウンドなども加わり、本作で「バイエル」シリーズはひとまずの完結となったそうです。

事実上第3章となる本作はCDのパッケージという形でのリリースとなり、「バイエル」の完成版と言える内容。ほぼピアノ弾き語りだった「(Ⅱ.)」からバンドサウンドが加わり成長した形になっていますが、ただ楽曲によってその「成長の度合い」に差があります。例えば1曲目「大疫病の年に」はもともと「(Ⅱ.)」からオルガンで荘厳な雰囲気のアレンジになっていたのですが、こちらに関しては本作でもアレンジにあまり差はありません。「はなれている」も「(Ⅱ.)」からベースラインが加わったものの、基本的には「(Ⅱ.)」のアレンジを踏襲したつくりになっており、大きな差はありませんでした。

後半の「しずかなせんそう」なども「(Ⅱ.)」のデモ音源風のシンプルな弾き語りアレンジが、そのまま「完成形」となっていますし、「不要不急」も、基本的にピアノ弾き語りがそのまま「完成形」に。ここらへんはシンプルな「(Ⅱ.)」のアレンジが、楽曲にもっとも合っていた、という判断でしょうか。

もちろん、大きな進化を遂げていた曲もあり、具体的には3曲目の「ちがいをみとめる」。こちらはピアノ弾き語りから一転、分厚いバンドサウンドが加えられ、ウォール・オブ・サウンドの様相のある心地よいアレンジになっています。「(Ⅱ.)」ではデモ音源のようだった「不良になる」も、しっかりとバンドサウンドが加えられて、完成形へと進化していました。

ただ、そういった「進化」がしっかりとみられていた反面、アルバム全体としてはこの完成形でも比較的荒々しい、デモ音源っぽいアレンジといった感触の作品になっていました。特に「(Ⅱ.)」からアレンジがほぼそのままだった曲も少なくありませんでしたし、後半になるにつれて、そのような「そのまま」の曲が目立つようになり、正直、若干「ネタ切れ??」とすら感じてしまう部分もありました・・・。

もっとも今回のアルバム、志磨遼平としてもあくまでもシンプルな「メロディー」と「歌詞」を重視した結果、アレンジの部分はシンプルで、時として「デモ音源」的な部分もある弾き語りのアレンジが最適、と判断したのかもしれません。実際、大きな進歩を遂げた「ちがいをみとめる」や「不良になる」にしても、バンドアレンジがより「メロディー」や「歌詞」にマッチしているように感じましたし、逆に上記のように「不要不急」や「しずかなせんそう」はシンプルなアレンジがゆえに、より「メロディー」や「歌詞」がつたわってくるアレンジになっていたように感じます。

実際、今回の「バイエル」は、以前の感想でも書いた通り、メロディーは狂おしいほどの美メロが並んでおり、歌詞にしても、このコロナ禍の中でのミュージシャンの叫びのような歌詞が並んでいます。そういったメロディーや歌詞を生かすため、このアルバムのようなシンプルなアレンジをほどこすというのは、方針として大成功だったのではないでしょうか。

ちなみに本作、初回盤ではDisc3で「こどものバイエル」と題して、この「バイエル」収録曲の中の何曲かを児童合唱団の歌により収録した曲が並びました。こちらも子供の曇りのないシンプルな声が楽曲に非常にマッチ。楽曲のもともと持つシンプルなメロディーの良さが際立つアレンジになっていました。また、初回盤ではDisc2として、「バイエル(Ⅰ.)」が収録。ただ、残念ながら「(Ⅱ.)」については配信も終了し、現在、既に聴く手段がありません・・・ここらへん、「(Ⅰ.)」もそうだけど、成長の過程として聴き比べるためにも、配信は残しておいてほしかったな・・・。この点は非常に残念です。

この成長していくアルバムというユニークな企画である「バイエル」ですが、これで完結。ただ、今後はライブなどの中でさらなる進歩を遂げるかも、という話です。せっかくこのような形で成長してきた作品なだけに、さらなる進化を期待したいところ。次は是非、ライブなどで進化を遂げた曲を、ライブ盤なり取り直しなりで第4章としてリリースしてほしいなぁ。「バイエル」の物語は、まだまだ続きそう・・・・かも?

評価:★★★★★

ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
Hippies.E.P.

オーディション
平凡
ジャズ
バイエル(Ⅰ.)
バイエル(Ⅱ.)


ほかに聴いたアルバム

Superspin/KUZIRA

PIZZA OF DEATH所属の3人組ポップスパンクバンドの、フルアルバムとしてはこれが1枚目となるアルバム。今回、はじめて音源を聴いたのですが、勢いのあるパンクロックで、ちょっと切なくメランコリックなメロディーラインも魅力的。いかにもフェスで盛り上がりそうなタイプのバンドで、広い層に支持されそうなポピュラリティーがあります。コロナ禍の中ではフェスもままならない状況ですが・・・今後、さらに人気を伸ばしそうな予感のあるバンドです。

評価:★★★★

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2021年7月30日 (金)

本当に久しぶりのライブ!!!

the pillows  RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.3「このツアー、まだ1公演もチケット買えてない人を先ずは優先!皆んなの良心を信じてるぞぉーとメンバーが言ってますライブ! もし余ったら手のひら返して話は変わるでSHOW!」

会場 ボトムライン 日時 2021年7月19日(月)19:00~

Img_02082020年、世界を襲った新型コロナウイルスのパンデミック。その影響は今なお続いています。特にライブにおいては、多くの人が一か所に集合することもあり、新型コロナ発生当初はクラスターの発生源ともなり、軒並み中止に追い込まれました。ただ、その後、コロナ禍の中でもライブを開催するガイドラインなどが制定されるなど、徐々にライブが復活。現在も、状況により一部ライブが中止になるなどの影響はあるものの、開催されるライブも増え、徐々に戻りつつあります。

そんな中、私は2020年中はずっと配信ライブでの参加となっていたのですが、本当に久しぶりとなる、ライブハウスでのライブに参戦してきました!the pillowsのワンマンライブ。ライブとしては、実におととしの12月のレキシのライブ以来となります。ガッチリと二重マスクで身を固め、おそるおそるながらも(?)会場に足を運びました。

この日はボトムラインながらも、ガイドライン上、定員の半分しか入れられないという制約もあり、この日は椅子席でのライブ。自由席でギリギリの会場入りだったのでほぼ最後列だったのですが、ステージ真正面という比較的よい場所を確保し、ライブを待ちます。ちょっと意外なことにドリンクは通常通りの販売で、もちろんビールを注文しました。

ライブはほぼ定時通りにスタート。全員がマスクをする中、普段よりも少な目とはいえ歓声もあがり、メンバーの登場となりました。さて、この日のライブ、2001年にリリースされたアルバム「Smile」、そして翌年にリリースされた「Thank you,my twilight」からの全曲ライブという企画。どちらももう20年近く前にリリースされたかなり懐かしいアルバム。最近のライブではあまり披露されていない曲も多いだけに、非常に楽しみにしていました。そのため、1曲目はまずは「Smile」の1曲目「Good morning good news」からスタート。さらに「WAITING AT THE BUSSTOP」「FUN FUN FUN OK!」「WINNING COME BACK!」とアルバムの中でもアップテンポなナンバーが続きます。さすがにコロナ禍の中でのライブということもあり、一緒に歌う人はいませんでしたが、心の中では思いっきり彼らの曲を口ずさみつつ、手を振り上げながら盛り上がります。

前半はほぼMCなしで、一気にどんどんと曲を進めていきます。「Skim heaven」に、レア曲という「Monster C.C」へ。「Vain don(in rain drop」へと続き、インスト曲「THUNDER WHALES PICNIC」もしっかり披露。そしてアルバムの最終曲である「Calvero」へ。ここではフロントの3人、山中さわお、真鍋吉明、そしてサポートの有江嘉典の3人がギターを縦持ちしてユニークに演奏していました。

その後はようやく長めのMCに。この「Smile」ではなぜか、まだ今から考えると若かったにも関わらず、終わりを意識したような曲が多かったそうです。それから20年、当時思っていたよりもずっと若々しかったという話をしつつ、今の自分たちの方が歌詞の内容がよりマッチしている、という「日々のうた」へと続きました。

「Smile」からの曲の終盤はタイトルチューン「Smile」に、今や彼らの代表曲の1つとなった「この世の果てまで」を歌い上げ、ここでも大歓声が。そして、「Smile」からの曲は全曲終了となります。

そして後半戦は「Thank you,my twilight」からのナンバー。まずはアルバムの曲順に「RAIN BRAIN」「ビスケットハンマー」「Rookie Jet」と続きます。さらに簡単なMCで「今までライブとかであまり演らなかったけど、今回、演ってみて、実は人気曲だったんじゃないかと思った」というダンスチューン「My Beautiful Sun(Irene)」へ。こういう新たな気づきがあるところが、この手の「アルバム全曲ライブ」のおもしろいところですね。確かに彼らの曲の中では決して有名ではない曲ながらも、軽快なダンスナンバーでライブでも盛り上がりやすい曲。この日もみんな踊りつつ、かなり盛り上がっていました。

「Come on,ghost」「ROBOTMAN」「ウィノナ」と続き、再びMCへ。ここではメンバーそれぞれのコーナーに。真鍋さんが山中さわおにいじられていたり、意外と、というか有江嘉典のMCがかなり真面目だったり、佐藤シンイチロウは相変わらずな感じだったりと(笑)賑やかなMCの後はシングル曲「白い夏と緑の自転車 赤い髪と黒いギター」「バビロン 天使の詩」へと続いていきます。

そして終盤は「Thank you,my twilight」を歌い上げ、そして本編ラストは「Ritalin202」へ。アルバム屈指の疾走感あるライブ向けのギターロックで、会場は大盛り上がり。最高潮のテンションの中、本編終了となりました。

ただ、アンコールは比較的短めでメンバーは再登場。アンコールではこれまたレア曲「そんな風にすごしたい」へ。アルバム未収録ながらも、シングル「白い夏と緑の自転車 赤い髪と黒いギター」のカップリング曲ですので、今回の選曲になったんでしょうね。この1曲で再びメンバーはステージを去ります。もっとも、すぐに山中さわおはステージに再登場。MCではこの2枚のアルバムのことを語ります。楽曲は、この当時好きだったミュージシャンの影響を強く受けていること。特にブリーダーズの影響を受けているそうです。ただ一方、歌詞については、当時も今も歌っている内容はほとんど変わっていないことも語っていました。でも、その歌詞の世界観がthe pillowsの大きな魅力ですよね!

ここで終了・・・かと思えばダブルアンコールへ!(おそらくコロナ禍の影響で9時に終了する必要があるため)再び比較的早くメンバーが再登場。最後は、これまたアルバムと同時期にリリースされたベスト盤「Fool on the planet」に収録された「Fool on the planet」へ。これまたレア曲の登場に少々驚きつつ、全曲2000年代序盤にリリースされた懐かしいナンバーで構成されたライブは、約2時間弱のステージで幕を下ろしました。

そんな訳で、実に約1年8か月ぶりとなるライブ。コロナ禍の中でのライブということで、歓声はちょっと少な目、合唱はなしというステージでしたが、とはいえ、思いっきり腕を振り上げ、一緒に盛り上がった、最高に楽しいライブでした!家でおとなしく見る配信ライブに物足りなさを感じつつ、やはり久しぶりにライブに足を運ぶと楽しいなぁ!!ということをあらためて実感しました。もちろん、そう感じたのもまた、the pillowsのステージが素晴らしかったから。特に今回は「Smile」「Thank you,my Twilight」の全曲ライブということもあり、懐かしい曲やレア曲の連続。「このアルバムからもう20年近くもたってしまったんだ・・・」という感じもしつつ、あらためて名曲揃いのアルバムだったんだな、ということも実感したステージでした。あらためてライブ最高!the pillows最高!!ということを実感した、そんな2時間でした。

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2021年7月29日 (木)

今週はジャニーズ系アイドルが1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はジャニーズ系アイドルグループが1位獲得です。

今週1位を獲得したのはKing&Prince「Re:Sense」。彼ら3枚目となるニューアルバムです。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位獲得。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上45万8千枚で1位初登場。前作「L&」の初動55万5千枚からはダウンしています。

2位はPRODUCE 101 JAPAN SEASON2「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」。韓国のアイドルオーディション番組「PRODUCE 101」シリーズの日本版「PRODUCE 101 JAPAN」の続編で登場した楽曲を収録したアルバム。最終メンバーは今年中に「INI」という名前でデビューするそうです。CD販売数2位、PCによるCD読取数12位。オリコンでは初動売上5万9千枚で2位初登場となっています。

3位にはSEKAI NO OWARI「scent of memory」が初登場でランクイン。今回は「香り」をコンセプトとしたアルバムだそうです。CD販売数3位、ダウンロード数及びPCによるCD読取数5位。オリコンでは初動売上4万6千枚で3位初登場。直近作はベスト盤「SEKAI NO OWARI 2010-2019」で、同作の初動6万9千枚からはダウン。オリジナルとしての直近作はEnd of the World名義でリリースした「Chameleon」で、同作の初動1万8千枚(6位)よりはアップしていますが、SEKAI NO OWARI名義のオリジナルアルバムとしての前作「LIP」「EYE」(2枚同時リリース)の初動7万7千枚(1位)、7万5千枚(2位)からはダウンという結果となっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にRYUJI IMAICHI「CHAOS CITY」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数15位、PCによるCD読取数39位。三代目J SOUL BORTHERSの今市隆二によるソロ3枚目のアルバムで、本作は80'sをテーマに制作されたそうです。オリコンでは初動売上1万5千枚で4位初登場。前作「ZONE OF GOLD」の3万4千枚(4位)からはダウンしています。

7位8位にはスタァライト九九組「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 劇中歌アルバム vol.1」「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 劇中歌アルバム vol.2」がそれぞれランクイン。メディアミックス作品「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の映画の劇中歌を集めたアルバムで、同作品はミュージカルとアニメのミックスをコンセプトに始まった企画だそうです。ちなみにCD販売数はVol.1が10位、Vol.2が9位となっていながら、ダウンロード数はVol.1が6位、Vol.2が8位と逆転。またPCによるCD読取数もVol.1が18位、Vol.2が19位と並び、結果、7位がVol.1、8位がVol.2となっています。ちなみにオリコンではVol.2が9位、Vol.1が10位という結果に。ただし、初動売上はそれぞれ9,058枚、9,045枚と13枚差という僅差。Vol.2を買いながらVol.1を買わなかった13人の人には、その理由を是非、聴いてみたい気もします(笑)。(まあ、推定値なので、本当に13枚差なのかはわかりませんが)

9位にはシンガーソングライター清水翔太「HOPE」がランクイン。CD販売数は14位に留まりましたが、ダウンロード数で7位にランクイン。PCによるCD読取数58位と合わせて、総合順位ではベスト10入りを果たしました。オリコンでは初動売上6千枚で13位初登場。直近作はミニアルバム「period」で同作の3千枚(22位)からはアップ。ただし、オリジナルアルバムとしての前作「WHITE」の初動1万枚からはダウンしています。

最後10位にはWACK所属の女性アイドルグループGO TO THE BEDS「BLOOD COMPACT」がランクイン。CD販売数6位ながらも他は圏外となり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上1万3千枚で5位初登場。前作「REINCARNATION」の9千枚(5位)からはアップしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2021年7月28日 (水)

再びBTSが・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週はジャニーズ系アイドルが1位を獲得しましたが、今週は再びBTSが1位返り咲きとなりました。

今週は「Permission to Dance」が先週の2位からランクアップ。ベスト10入り3週目にして初の1位獲得となりました。ストリーミング数、ラジオオンエア数、You Tube再生回数1位、ダウンロード数2位、Twitterつぶやき数43位。またBTSは「Butter」が先週から同順位の3位をキープ。これで10週連続のベスト10&ベスト3入りとなっています。また「Dynamite」は8位から9位にダウン。これで49週連続のベスト10ヒット。BTSは3曲同時ランクインとなっています。

そんなBTSに挟まれて2位に初登場してきたのはKinki Kids「アン/ペア」。CD販売数1位、ラジオオンエア数12位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数15位。作詞作曲はKinki Kidsとも音楽的なつながりが強い堂島孝平が担当。オリコン週間シングルランキングでは初動売上17万枚を記録し、1位初登場。前作「KANZAI BOYA」の18万7千枚(1位)から若干のダウンとなっています。

続いて4位以下のランキングですが、今週は初登場曲はゼロとなっていました。ただそんな中、millennium parade×Belle「U」が先週の9位から4位に一気にランクアップ。ダウンロード数は先週と変わらず1位だったほか、先週まで奮わなかったストリーミング数が40位から10位、You Tube再生回数も36位から2位へと一気にアップ。今度のロングヒットが期待できそう。

またロングヒット組は優里「ドライフラワー」は先週から変わらず5位をキープ。これでベスト10ヒットは36週連続に。カラオケ歌唱回数が25週連続1位となっています。ただ、ダウンロード数は6位から9位、You Tube再生回数は4位から5位と若干の下落傾向に。

YOASOBI「夜に駆ける」が6位から10位にダウン。これで通算63週目のベスト10ヒットとなりましたが、さすがに後がなくなってきました。一方、6位には「三原色」が先週の4位から2ランクダウンながらもベスト10をキープしており、今週も2曲同時ランクインとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2021年7月27日 (火)

99日後に消えるアルバム

Title:NINE
Musician:SAULT

Nine

めっちゃカッコいいバンドによる、とびぬけて異色ともいうべきアルバムがリリースされました。紹介するのは、2020年の私的ベストアルバムにも2枚同時にランクインさせたグループ、SAULTのニューアルバム。このグループ、ロンドンを拠点として活動する謎のユニットで、昨年リリースした「Untitled(Black is)」「Untitiled(Rise)」も大きな話題となりましたが、そもそもバンド名からして「ソー」なのか「ソールト」なのか不明・・・という、謎めいたユニットだったりします。

そんな彼らが今年発表したアルバムも、非常にユニーク。普通にCD、アナログ盤がリリースされ、ストリーミング配信もダウンロード配信も行われているのですが、その期間がわずか99日!リリースは6月25日のようですので、おそらく10月2日あたりには消えてしまう計算となります。このようなリリース形態とした理由は不明ですが、もっとも、CDしろアナログにしろ「媒体」としてアルバムを「所有」すれば永続的に聴けるわけですから、ストリーミングのような聴き方が一般的となっている今のシーンに対するアンチという姿勢、なのかもしれません。

そのような限られた期間のみリリースされる本作ですが、その事実があまりにももったいなく感じるほどのカッコいいアルバムに仕上がっています。アルバムはまず、トライバルなコーラスによるイントロ的なナンバー「Haha」からスタートするのですが、そこから続く「London Gangs」のレトロな雰囲気のあるファンキーなギターリフへの入りがまず、鳥肌が立つほどカッコいい!この「London Gangs」も、女性ボーカルが重なり、レトロ・ファンクな曲調ながらも、ループするサウンドが今風という、グルーヴィーなサウンドに思わず踊り出してしまうようなナンバー。続く「Trap Life」もトライバルなパーカッションが加わりつつ、ファンキーなサウンドがカッコいいナンバー。後半になると一転、シンセのリズムにレトロな雰囲気も加わり、独特のグルーヴ感を醸しています。

このファンキーでグルーヴィーなリズムがカッコいい前半から一転、インターリュード的な「Mike's Story」を挟んで後半は、メロウなトラックが心地よいナンバーが続きます。「Bitter Streets」はメロウな女性ボーカルが、こちらもレトロな懐かしさを感じさせるナンバー。メロウな歌モノながらも、そのバックに流れるベースラインとドラムスのグルーヴが、また非常に心地よさを感じさせる楽曲に仕上がっています。「Alcohol」も同じくメロウな女性ボーカルで、こちらはタイトル通り、大人の雰囲気を存分に醸し出すムーディーなナンバーに。こちらも独特の甘い雰囲気がたまりません。

そんなレトロでムーディーなナンバーが並んでいたかと思えば「You from London」もまた、メロウなトラックながらも女性ボーカルが入り、サンプリングも取り入れたHIP HOPなナンバーに。懐かしいガールズポップのようなタイトルチューン「9」をメロディアスに聴かせた後、ラストの「Light's in Your Hands」は力強い女性ボーカルで歌い上げるソウルやゴスペルなどの要素を取り入れた楽曲と、後半はメロウなトラックの歌モノを軸としつつ、バリエーションの富んだ作品の並ぶ構成になっていました。

終始、懐かしいレトロな雰囲気を醸し出しつつ、一方ではループするサウンドやサンプリング、HIP HOPなどの今どきな要素を取り入れ、かつファンク、エレクトロ、ポップ、ソウル、ゴスペルなど多彩な音楽性を上手く楽曲の中に取り入れている・・・さらに全体に流れている独特なグルーヴ感も文句なしでカッコいいアルバム。前作も文句なしの傑作でしたが、続く本作も間違いなく本年度を代表する傑作アルバムに仕上がっていたと思います。

惜しむらくはこのアルバム、99日で消滅し、年間ベストに選んでも、来年はじめの時点では聴く手段がなくなってしまう事実・・・・・・。まあ、それがミュージシャンの意図なので仕方がないのでしょうが。ただ、間違いなく傑作アルバムですので、聴くのなら今のうちに急げ!!文句なしにカッコいいアルバムでした。

評価:★★★★★

SAULT 過去の作品
Untilted(Black is)
Untitled(Rise)


ほかに聴いたアルバム

Fatigue/L'Rain

ニューヨークはブルックリン出身のマルチインストゥルメンタル奏者、L'Rainによるニューアルバム。30分弱という長さに対して、14曲入りという構成になっており、1曲あたり平均2分弱という内容に。ソウルやゴスペル、ジャズなどの要素を取り入れたエクスペリメンタル的な作風の楽曲が、短い時間で次々と繰り広げられることが魅力的。かなりアバンギャルドなエレクトロチューンからドリーミーなポップ、ムーディーな歌モノまで、挑戦的な作風の曲から聴きやすいポップな作風の曲までの振れ幅もユニーク。めくるめく構成に時間があっという間に過ぎ去るアルバムでした。

評価:★★★★★

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2021年7月26日 (月)

次のEGOの方向性も示唆?

Title:あまい
Musician:中納良恵

ご存じEGO-WRAPPIN'のボーカリスト、中納良恵の、ソロとしては約6年ぶりとなるニューアルバム。ソロとしては久しぶりとなるアルバムになるのですが、EGO-WRAPPIN'としても2019年にアルバムがリリースされた前は2013年のリリースまでアルバムリリースは遡ることになり、ある意味、ソロもEGOとしての活動もスローペース。文字通り、マイペースな活躍が目立ちます。

さて、そんな彼女のソロアルバム。前作「窓景」もEGOとは異なる、彼女の演りたい音楽を自由に織り込んだ作品に仕上がっていましたが、今回のアルバムもまた、EGOではできないような作品が並ぶ、非常に自由度の高い作品になっていました。

まずは基本的に挑戦的、ポストロックなどからの影響も感じる作品が目立ちます。冒頭の「オムライス」もボーカルにエフェクトをかけ、ドリーミーに聴かせる不思議な感触のアカペラチューン。続く「オリオン座」も、ピアノをバックにシンプルな歌を聴かせるミディアムチューンなのですが、終始流れるハイトーンの打ち込みのリズムが独特のグルーヴを作っています。さらに終盤「ポリフォニー」はシンプルなエレクトロビートでトライバルに聴かせる作品で、複雑なサウンドが目立ちますし、「真ん中」もピアノと打ち込みのリズムで、疾走感あるポップながらもどこかアバンギャルド的な作風に。ラストの「おへそ」もエレクトロサウンドでドリーミーな作風になっており、ある意味、1曲目の「オムライス」と対になっているような作品。EGO-WRAPPIN'の作風とは異なる挑戦的な楽曲が目立つ構成になっています。

一方、特に中盤では様々な作風のポップスも目立つ、バラエティーに富んだ作品になっています。「Dear My Dear」はピアノの弾き語りで切なく聴かせるポップス、「SA SO U」もピアノで軽快にスタートしつつ、後半は賑やかなミュージカル風に、「同じ穴のムジナ」では歌い上げるゴスペルの要素も感じる軽快なポップスに仕上がっています。

そんなソロならではの挑戦心に富んだ作品の中、特に耳を惹くのが「待ち空」でしょう。折坂悠太とのデゥオとなる本作は、ピアノをベースとした伸びやかで、和風のテイストを感じる郷愁感あふれる作風が大きな魅力。中納良恵作詞作曲のナンバーながらも、世界観や曲調も折坂悠太のボーカルにピッタリマッチしており、2人のボーカリストによる絶妙なハーモニーを聴かせてくれる非常に魅力的な傑作に仕上がっています。

ソロアルバムらしい、自由度あふれる内容になっており、EGO-WRAPPIN'とは異なる中納良恵の魅力を堪能できる傑作アルバム。ただEGO-WRAPPIN'の直近作「Dream Baby Dream」も、いままでのEGOと比べてバラエティーに富んだ作品になっていたので、中納良恵のソロでの活動が、ひょっとしたら反映されたのかもしれません。そんなこともあって今回のソロアルバムの内容も、次のEGOのアルバムにも反映されるかも。そういう意味では中納良恵のソロ、というだけではなく、EGOの今後の方向性も垣間見れるアルバムと言えるかもしれません。バラエティー富んだ作風に最後まで一気に楽しめた傑作でした。

評価:★★★★★

中納良恵 過去の作品
ソレイユ
窓景


ほかに聴いたアルバム

Presence/STUTS&松たか子 with 3exes

STUTSの新作は、フジテレビ系ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌を収録した企画盤。このドラマでは、松たか子が歌モノ部分のボーカルを担当する「Presence」の様々なバージョンがエンディングとして毎回、起用されているそうで、本作は、そんなエンディング曲集を収録した作品。ちなみに「3exes」は同ドラマに登場する3人の元夫である岡田将生、角田晃広、松田龍平がコーラスとして参加。また松たか子のコーラスパートの歌詞とメロディーはシンガーソングライターのbutajiとの共作となっています。

その「Presence」自体は、松たか子がメインボーカルをつとめる歌モノのパートと、ラップ部分から構成される曲で、ある意味、一昔前に流行ったラップ+女性ボーカルのサビという着うた系ヒットの典型的なパターン。ある意味、「今さら」感もあるのですが、ただサウンド的には今風の爽快なサウンドが耳を惹き、メロディーラインもほどよく切なくインパクトのある楽曲になっており、非常に耳を惹く良質なポップソングとして仕上がっています。さすがに同じ「Presence」がバージョン違いとはいえインストを含め7曲も並んでいると、若干飽きてくるのですが、ただドラマを見ていなくても素直に楽曲を楽しめるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

STUTS 過去の作品
Eutopia
Contrast

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2021年7月25日 (日)

美メロが耳を惹くポルトガルのSSW

Title:PRIVATE REASONS
Musician:Bruno Pernadas

ポルトガルの首都、リスボンを拠点に活動するシンガーソングライター、ブルーノ・ペルナーダスのニューアルバム。どんなミュージシャンなのか調べていく中で、「ジャズ・ミュージシャン」というカテゴリーで紹介されていたりもしたのですが、あまりジャズミュージシャンというイメージはありません。ほかにも「ポルトガルのスフィアン・スティーブンス」という紹介をされていたりもしましたが、イメージ的にはこちらに近い感じでしょうか。ジャズ的な要素も感じられるものの、基本的にはネオ・フォークというイメージの強いミュージシャンのような印象を受けました。

特に「美メロ」とも称することが出来るような美しいメロディーラインのポップスが耳を惹く作品で、まず前半では「Theme Vision」。ちょっとレトロな雰囲気もあるフォーキーなポップス。後半、エレクトロノイズも登場するなど、若干サイケな様相も感じる点もユニークですが、そのメロディーラインにまずは耳を惹かれます。さらに後半では「Brio 81」もまた、美しいメロディーラインと分厚いサウンドが心地よさを感じるポップチューン。「Step Out Of The Light」も前半のピアノとストリングスでの美しくも物悲しいインストと、後半の美メロな歌モノの展開が見事な作品。まずはこのメロディーラインの美しさが耳を惹く内容になっていました。

ただ、このメロディーラインを大きなインパクトとしつつ、エレクトロサウンドやトライバルなサウンド、さらにはサイケなサウンドを要所要所に取り入れているのが彼らのもうひとつの大きな魅力。例えば冒頭を飾る「Family Vows」も、最初は男女デゥオで爽やかでフォーキーなメロとサウンドを聴かせるのですが、後半はサイケデリックなサウンドが展開されます。前述の通り、美メロが印象的な「Theme Vision」も後半ではエレクトロノイズが展開されますし、「Jory Ⅱ」ではエキゾチックなテイストのサウンドが耳を惹きます。ラストの「Far Beneath Your View」もラストはスペーシーなエレクトロノイズで締めくくられており、ある意味、柔らかいフォーキーなサウンドとメロとは対極的なサウンドが要所要所に流れてくる点が非常にユニークな作風となっています。

さらにアルバムの中で特にユニークだったのが「Lafeta Uti」で、トライバルなビートとエレクトロサウンドが軽快なサウンド。アルバムの中でもちょっと異質な様相を持つこの曲。このアルバム自体、「未来主義的なアフロビート」をテーマとしたそうですが、正直なところアフロビートを明確に感じたのはこの曲くらいだったような・・・。ただ、軽快なビートが魅力的なナンバーだったのは間違いありません。

そんな美しいフォーキーなメロを軸にバラエティー富んだサウンドを楽しめる傑作アルバム。ポルトガルのミュージシャンでワールドミュージック的なカテゴリーで語られることもあるかもしれませんが、ポップなメロディーラインは間違いなく広い層に支持されるミュージシャンだと思います。美メロ好きには文句なしにお勧めできる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

CALL ME IF YOU GET LOST/Tyler,the Creator

約2年ぶりとなるTyler,the Creatorのニューアルバム。Tylerといえば、以前はかなりヤバイ雰囲気のダークなラップが特徴的で、本作も「LEMONHEAD」「LUMBERJACK」など、ダークな雰囲気の作品もしっかりと収録されています。ただ、その一方でメロウなサウンドを聴かせるような作品も目立ち、特に印象的だったのが「SWEET/I THOUGHT YOU WANTED TO DANCE」。タイトル通り、1曲の中で2部構成になっているような作品で、前半(おそらく「SWEET」)はシティポップの雰囲気もあるメロウな歌モノに。後半もレゲエ的な横ノリのリズムも入ったメロウなナンバーになっていました。その他にもメロウなトラックのナンバーが目立ちました。前作「IGOR」はポップ的な要素が強い作品になっていましたが、本作もまた、ポップ的な要素が強い作品に。ただ、ラップの要素が薄くなってしまった前作と比べると、初期を彷彿とさせるようなダークなラップの楽曲も含まれており、そういう意味では、前作のポップ路線と初期の彼の路線を上手く融合させたアルバムと言えるでしょう。さらなる音楽的な広がりを感じさせる傑作でした。

評価:★★★★★

TYLER,THE CREATOR 過去の作品
Goblin
Wolf
CHERRY BOMB
Flower Boy
IGOR

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2021年7月24日 (土)

シンプルに「歌」を聴かせる

Title:I Know I'm Funny haha
Musician:Faye Webster

クリクリっとした目のキュートなルックスが目を惹く彼女は、アトランタを拠点に活動する、23歳のシンガーソングライター。本作が4枚目となるアルバムなのですが、徐々に注目を集め、本作はアメリカのヒートシーカーズチャートで9位、ビルボードのアルバムチャートでも35位にランクインしており、本作も各種メディアで絶賛。まさにブレイク寸前の様相を見せているミュージシャンとなっています。

さて、そんな彼女ですが、ジャンル的にはインディーフォーク。シンプルなサウンドをベースとして非常にシンプルで暖かみのある、メロディアスな歌を聴かせてくれる点が大きな特徴。もっと言うと、この手の「インディーフォーク」とカテゴライズされるミュージシャンは、基本的にフォーキーなサウンドをメインとして、突如、サイケなサウンドを挟んできたりして、「ちょっと変わった」サウンドを作り出しているミュージシャンが少なくありません。もちろん、それはそれで魅力的なのですが、彼女の場合はそのようなサイケなサウンドもなく、最初から最後まで至ってシンプルな歌を聴かせるアルバムとなっています。

もちろん、シンプルな歌モノの中でもバラエティーある作風は魅力的で、メロウなギターの「Better Distractions」からはじまり、アコギが入って、よりフォーキーな雰囲気の強い「Sometimes」へと続きます。よりメランコリックに聴かせる「In A Good Way」やブルージーなギターが魅力の「Kind Of」に耳を奪われつつ、中盤のインパクトとなるのが「Cheers」でしょう。ヘヴィーなカッティングギターが印象的な作品で、MVでもギターをかかえる彼女の姿が印象的な、本作でも特にロックテイストの強いナンバー。フォーキーな作品が並ぶ中で、ちょうどよいインパクトとなっています。

後半も、ストリングスが入りつつ、メロウに聴かせる「A Stranger」や、さらにこのアルバムの中で一番ドリーミーな雰囲気が魅力的な「A Drema With a Baseball Player」などが並びますが、後半、特に日本人にとって耳を惹くのが「Overslept」でしょう。なんと本作、カクバリズム所属の日本のシンガーソングライター、mei eharaが参加。さらにしっかり日本語詞でフォーキーな歌を歌っています。これ、アメリカ人にとってはどのように聴こえるのでしょうか?日本人にとっては、いたってシンプルなフォークソングで、聴いていて全く違和感がありません。アルバムの中でも特に暖かいメロディーラインが魅力的な曲になっており、もっと日本でも注目されてもいいのに、とも思ってしまいます。

アコギとピアノでフォーキーに聴かせるラストの「Half of Me」に至るまで、いたってシンプルなサウンドとメロディーで構成された本作。派手なメロディーラインこそありませんが、暖かさのある歌がしっかりと心に響き、ほどよくバリエーションのある楽曲もあって、最後まで全く飽きることがありません。日本で言えば、空気公団あたりのイメージでしょうか?いい意味で広い層が楽しめる良質なポップアルバムに仕上がっていました。

どちらかというと「かわいい隣のお姉さん」的なキュートなルックスも良いですし、日本でも今後、さらに注目を集めそうな予感のあるアルバム。実際、CD屋の店頭でもプッシュされていましたし、もっともっと知名度が高まる予感がします。アメリカでもブレイクか?ポップ好きなら、是非とも聴いてほしい傑作でした。

評価:★★★★★

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2021年7月23日 (金)

こちらも日本の男性アイドル勢が・・・

都合のため、Hot Albumsの更新が1日遅れました。申し訳ありません。

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず今週のHot Albums。1位はK-POPのアイドルグループが獲得です。

1位はBTS「Butter」。CD販売数1位、ダウンロード数37位、PCによるCD読取数2位。現在、Hot100でヒット中の曲がCDリリースされ、上位にランクインしてきた形。ただ、形式的にEPという扱いですが、実質、楽曲2曲+同曲のインストという、アルバムと呼ぶにはかなり厳しい収録内容。なぜか「公式」で「EP」と言っているので、それに従ってアルバムチャートにランクインしており、なぜ「事実上のシングルだから」とシングルに加算してこなかったのかはかなり不明。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上19万5千枚で1位にランクインしてきていますが、特にオリコンでは以前はもっと厳密は、シングルとアルバムの区別をしていたようにも思うのですが・・・なぜ公式の言うままに「アルバム」として取り扱っているのか、かなり不明瞭です。また、韓国盤でありながらも、なぜかビルボードでもCD売上数がカウントされていますし・・・ビルボードチャートは、様々なランキングを取り込んでの「総合チャート」という形になっていますが、ここらへんの集計基準が若干雑なような気がしてしまいます。ちなみにBTSは今週ベスト盤「BTS,THE BEST」が10位にダウン。ただ、これで2枚同時ランクインとなっています。

2位初登場は22/7「11という名の永遠の素数」がランクイン。秋元康プロデュースによる声優アイドルグループによるデビューアルバム。タイトルが、意味深なようで実際には意味不明という点が、実に秋元康らしい感じがします。CD販売数2位、ダウンロード数12位、PCによるCD読取数19位。オリコンでは初動売上5万2千枚で2位初登場。

3位初登場はGENERATIONS from EXILE TRIBE「Up&Down」。CD販売数3位、ダウンロード数11位、PCによるCD読取数5位。EXILEの弟分のグループによる約1年8ヶ月ぶりのアルバム。オリコンでは初動売上4万6千枚で3位にランクイン。前作「SHONEN CHRONICLE」の4万9千枚(2位)から若干のダウンとなりました。

続いて4位以下ですが、K-POP勢が目立つ最近のアルバムチャートの中、日本のアイドル勢による嵐が吹き荒れました。それが4位から7位に並んでランクインしたのカップリング曲集「ウラ嵐BEST」シリーズ。配信オンリーのリリースながらもダウンロード数でそれぞれ、「ウラ嵐BEST 1999-2007」が1位、「ウラ嵐BEST 2016-2020」が2位、「ウラ嵐BEST 2008-2011」が3位、「ウラ嵐BEST 2012-2015」が4位と1位から4位を独占。総合順位でも「1999-2007」が4位、「2016-2020」が5位、「2008-2011」が6位、「2012-2015」が7位と並びました。ちなみに、これに続くダウンロード数5位は嵐のベストアルバム「5×20 All the BEST!! 1999-2019」でしたが、こちらは総合順位は惜しくも11位に留まり、5枚同時のベスト10入りとはなりませんでした。

初登場最後は9位にオムニバスアルバム「松本隆 作家活動50周年トリビュートアルバム『風街に連れてって!』」がランクイン。ご存じ日本を代表する作詞家である松本隆の、作家活動50周年を記念したトリビュートアルバム。いきものがかりの吉岡聖恵や宮本浩次、三浦大知やクレイジーケンバンド横山剣などといった豪華なメンツが参加している中、異色と言えるのがなんとB'zが参加している点。この手のアルバムにあまり参加するイメージはないだけに、彼らが参加しているのは少々驚きました。ただ、松本隆へのトリビュートアルバムは、40周年、45周年でも同様の企画が行っており、いくら日本を代表する作詞家だからといって、乱発しすぎでは?と思ってしまうのですが。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2021年7月22日 (木)

苦労を経た6年ぶりの新作

Title:Moon Valiant
Musician:Hiatus Kaiyote

オーストラリアはメルボルンで結成されたソウルバンド、Hiatus Kaiyote。過去にグラミー賞最優秀R&Bパフォーマンス賞に2度ノミネートされるなど高い評価を得ているバンドで、日本にもサマソニとフジロックに出演するなど、人気を集めています。そんな彼女たちの新作は、前作「Choose Your Weapon」から約6年というインターバルで届けられた新作となります。また今回のアルバムは、かのFlying Lotusが主催するブレインフィーダーからのリリースという点も大きな話題となりました。

そんなちょっと久々となってしまった新作ですが、そこには彼女たちの深い事情があったそうです。もともとトラック自体は2018年に完成しており、あとはボーカルのネイ・パームのボーカルの録音を待つばかり、となっていたのですが、ここでなんと彼女の乳癌が発覚。彼女自身、母親を同じ病気で亡くしているそうで、すぐさま母国の病院に直行し、手術を受けることになりました。その後、手術も無事、成功し、リリースを待つばかりとなったのですが、ここでコロナ禍が発生。さらにリリースが延期されたのですが、その最中にもアルバムのさらなる調整が加えられ、ここで無事、リリースに至ったそうです。

個人的には実は彼女たちのアルバムは本作がはじめて聴くのですが、これだけ時間をかけた作品にふさわしく、全体的に実に凝った内容に仕上がっていたように感じました。まず本作で印象に残ったのはネイ・パームのボーカルでしょう。ソウルバンドにありがちなパワフルなボーカルを聴かせるゴッド姉ちゃん・・・・・といった感じとは少々異なるのですが、清涼感あるボーカルで伸びやかに聴かせるボーカルが実に魅力的。ハミングを聴かせる「Slip Into Something Soft」でまず魅了的なボーカルを披露しますし、「And We Go Gentle」でも清涼感ある歌声の中、微妙にかすれて聴かせるボーカルがまた味があって見事。さらに終盤「Stone Or Lavender」ではゴスペルの要素を入れた正当ななソウルをピアノとストリングスをバックに表現力豊かに歌い上げており、ボーカリストとしての底力も感じさせますし、さらにラストの「Blood And Marrow」ではうってかわってファルセットボイスでかわいらしいボーカルを聴かせてくれます。バラエティーある表現力を持った彼女の歌声も大きな魅力に感じます。

また、ユニークなのはトラックのバリエーションの多さで、「Slip Into Something Soft」はネオ・ソウル的なシンプルな打ち込みのサウンドですし、逆に前述の通り、「Stone Or Lavender」はピアノとストリングスで王道とも言えるソウル路線。「All The Words We Don't Say」ではギターサウンドを前に出してきて、ロックテイストを感じさせますし、「Chivalry Is Not Dead」はエレクトロサウンドにヘヴィーなビートが重なるダイナミックな曲構成に。最初から最後まで、実に凝った曲調のトラックが楽しめる内容になっています。

なにげにバンドとしての強度も強く、「Slip Into Something Soft」や「And We Go Gentle」では複雑なサウンドを聴かせつつ、リズムからはファンクの要素を感じるなど、ロック的な耳で聴いてもかなり魅力的なサウンド。ソウルやジャズ、ロック、ゴスペルなどの様々な音楽性が重厚に重なるあい、独特のサウンドを構成するアルバムに仕上がっていました。

ちなみに彼ら、前作ではかの「天空の城ラピュタ」からインスパイアされた「ラピュタ」なる曲や、「もののけ姫」から着想した「プリンス・ミニキッド」など、宮崎駿に捧げる曲を収録しており、日本との親和性も高かったりします。そもそも、彼女たちが所属するブレインフィーダーを主宰するFlying Lotusも日本のアニメが好きだったりと、そういう意味でも親近感のわくバンド。コロナ禍がおさまったらまた来日公演が期待できそうですし、彼女のドリーミーな歌声をライブで聴いたら気持ちいいんだろうなぁ、という想像もふくらんできます。

そんな訳で非常に心地よいボーカルに複雑なサウンドが実に魅力的だった傑作アルバム。ソウル好きならもちろん、ジャズやロック好きも含めて、幅広くお勧めしたい傑作です。

評価:★★★★★

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2021年7月21日 (水)

今週は日本の男性アイドルグループが1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ここ最近、BTSの活躍が目立つチャートが続いていましたが、今週は日本の男性アイドルグループが1位獲得です。

今週1位はジャニーズ系の男性アイドルグループSnow Man「HELLO HELLO」が獲得。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で1位獲得。ラジオオンエア数でも11位を獲得しているほか、ジャニーズ系では珍しく、You Tube再生回数も6位と上位にランクインしています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上80万5千枚で1位初登場。前作「Grandeur」の初動売上80万2千枚から若干のアップです。

で、2位3位にはBTSが2曲並んでランクイン。2位は「Permission to Dance」が先週と変わらず、3位には先週1位の「Butter」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。「Butter」はこれで9週連続のベスト10&ベスト3ヒットに。ストリーミング数及びYou Tube再生回数は「Butter」が1位から2位にアップ。ただし代わって「Permission to Dance」がそれぞれ1位を獲得しています。また、「Dynamite」も先週の10位から8位にアップ。こちらはこれでベスト10ヒットを48週連続に伸ばしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず9位にmillennium parade×Belle「U」がランクイン。ダウンロード数で見事1位を獲得。ラジオオンエア数3位。ただし、ストリーミング数40位、Twitterつぶやき数39位、You Tube再生回数36位と全体的に奮わず、総合順位は9位に留まりました。millennium paradeはKing Gnuのボーカルで、作詞作曲も担当している常田大希によるソロユニット。本作は細田守監督の最新映画「竜とそばかすの姫」のメインテーマで、同作の主人公、Belleを演じる最近話題のシンガーソングライター、中村佳穂がボーカルとして参加しています。

10位は桑田佳祐「SMILE~晴れ渡る空のように~」がランクイン。ダウンロード数3位、ラジオオンエア数1位。民放テレビ局5系列の東京オリンピック共同企画「一緒にやろう2020」のテーマソング。もともと、まだコロナ禍が話題になる前、2020年1月24日に音源が公開になったものの、その後のコロナ禍の影響によりリリースが延期。ここに来て、ようやくのリリースとなりました。ある意味、コロナ禍に翻弄された1曲。こんな状態でのオリンピック開幕じゃなければ、もっともっとヒットしたんでしょうけどね・・・・・・。

さらに今週はベスト10返り咲きも。Official髭男dism「Cry Baby」が先週の11位から7位にランクアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。ここ最近、ダウンロード数が8位→6位→5位、ストリーミング数が8位→8位→7位、You Tube再生回数も17位→12位→10位といずれも徐々にランクアップしており、さらなるヒットも期待できそう。今後のロングヒットにつながるのでしょうか?

そしてロングヒット組はまず優里「ドライフラワー」はここに来て6位から5位にアップ。4週ぶりのベスト5ヒットに。特にYou Tube再生回数が5位から4位にアップ。また、カラオケ歌唱回数も24週連続の1位となり、これでベスト10ヒットは35週連続に伸ばしています。

YOASOBI「夜に駆ける」が5位から6位にダウンしたものの、これで通算62週目のベスト10ヒットに。また「三原色」も先週から変わらず4位をキープしています。しかし一方「怪物」は今週9位から11位にダウン。ベスト10ヒットは25週連続でストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Album!

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2021年7月20日 (火)

コロナ禍の中での新作

Title:moana
Musician:踊ってばかりの国

前作から約1年半ぶりとなる踊ってばかりの国のニューアルバム。前作からはさほど長いスパンのあるアルバムでないのですが、このコロナ禍の中で、彼らとしては苦労の末に生み出されたアルバムになっていたそうで、特にいままでの楽曲はライブの中で徐々に完成していく、というのが彼らのスタイルだったのえすが、コロナ禍の中でライブが行えず。そんな中、メンバーの間でいままでにない状況の中、試行錯誤していき、ようやく完成されたのが今回のアルバムだったそうです。

さて、いつもサイケデリックなサウンドを聴かせる彼らですが、今回のアルバムは特にサイケな感じの強いアルバムに仕上がっていたように感じました。冒頭の「Hey human」から、ドリーミーでサイケ感の強い楽曲になっていますし、続く「Notorious」もドリーミーな感触の作品になっています。

その後も「Mantra song」「風」とサイケな作風の曲が並び、最後を締めくくる「ひまわりの種」もサイケなギターサウンドで埋め尽くされている楽曲で締めくくられています。もっとも、決してサイケ一辺倒といった感じでもなく、爽やかなギターサウンドでフォーキーに聴かせる「Hello good-bye」やループするサウンドを聴かせる「凪を待つ」、ダウナーなサウンドでアングラフォークといった様相の「I was dead」などバリエーションも豊富。今回の作品は、逆にライブという形ではなく、みんなで試行錯誤した結果生まれた楽曲になっていたからこそ、これだけのバリエーションに富んだ作品が生まれたのかもしれません。そういう意味ではコロナ禍でライブが出来なかったことは必ずしも本作に関してはマイナスに働かなかったどころか、新たな可能性を広げた結果になったようにも思います。

そしてもうひとつ特徴的だったのが、そんなバラエティー富んだ作風の中で、意外なほどメロディーラインはポップにまとまっていたという点でしょう。「Lemuria」も爽やかなポップスを聴かせてくれますし、フォーキーでポップなメロを聴かせる「Hello good-bye」のような曲もあったり、さらに「Orion」もポップで爽やかと、意外とポップな曲も目立っていました。

さらに今回のアルバム、コロナ禍からの影響を感じさせる点がもうひとつありました。それは歌詞の世界。このどこか鬱々とした現状の中で、彼らの描く歌詞の世界も、どこかデストピアを彷彿とさせるような世界観が見て取れました。

「神様が死んだ後は大体想像がついて
憎しみ争いが残って太陽も朽ちて
人間は現実を捨てて電波と
チューブに繋がれて
何も愛さなくなって
空の色も捨てて」
(「風」より 作詞 下津光史)

なんて、まさにデストピア的な歌詞ですが、一方でどこか今の世界の現状を描写したようでもありますし、

「MayDay 地球の皆様へ
青い星はもう壊れて
すでに手遅れです」
(「メーデー」より 作詞 下津光史)

なんて歌詞も登場してきたりします。ただ一方で

「死に絶えたはずだった音楽が
今目の前に」
(「Hey human」より 作詞 下津光史)

と歌う「Hey human」は、まさに今のコロナ禍の中での音楽の希望を歌ったような感もありますし、

「争いをやめた優しい人達は
虹の風掴んで
死者を弔った
上空を汚す爆撃機に
立てた中指
僕は土を強く踏んだ
唱えたマントラ」
(「Mantra song」より 作詞 下津光史)

という「Mantra song」の歌詞にもデストピアの中で強く生き抜く彼らの姿に未来の希望を見て取れます。

このコロナ禍の中、現在の状況を作品に強く反映させたアルバムは少なくありませんが、このアルバムも、彼らなりにコロナ禍のリアルが作品にしっかりと反映された作品になっていたように感じました。もちろん、今回のアルバムも文句なしの傑作アルバム。ただ、次はやはり再び、ライブが問題なく行えるようになって、以前の彼ららしい制作過程で新作がリリースできればいいのですが。

評価:★★★★★

踊ってばかりの国 過去の作品
グッバイ、ガールフレンド
世界が見たい
SEBULBA
FLOWER
踊ってばかりの国
サイケデリアレディ
SONGS
君のために生きていくね
光の中に


ほかに聴いたアルバム

A LONG VACATION 40th Anniversary Edition/大滝詠一

日本を代表するポップミュージシャンであり、日本のポップスシーンに数多い爪痕を残しながらも2013年に65歳で急逝した大滝詠一。その彼が1981年にリリースした、これまた日本のポップスシーンを代表する名盤「A LONG VACATION」。節目節目に記念盤がリリースされていますが、今年はその40周年ということで、「40th Anniversary Edition」がリリースされました。

その本体自体はポップスの名盤中の名盤であり、いまさら説明するまでもありません。今回は新たなマスターテープからリマスターされた、2021年の最新音源を利用しているそうです。さらに今回注目したいのがDisc2。大滝詠一自らがDJのスタイルにより、「A LONG VACATION」がいかに誕生したかを語る「Road to A LONG VACATION」という企画で、「A LONG VACATION」収録曲の元となった、他のミュージシャン等への提供楽曲やデモ音源などが収録されている、非常に貴重な音源集となっています。「A LONG VACATION」の名曲の数々が、実はいろいろな提供楽曲等を再構築して出来上がったというのは、とても興味深く、楽しむことが出来た音源になっていました。

そんな中で本筋とはちょっと異なるのですが、興味深かったのは、1980年頃に声優ブームが起きていて、声優のアイドルグループに楽曲を提供して、それが「恋するカレン」の元曲になったというエピソード。てっきり声優がアイドル的な扱いを受けたのは、90年代くらいからかと思っていたのですが、もっとはるか昔から、アイドル的な人気があったんですね・・・。ちなみにそのグループはスラップスティックというグループだったらしいのですが、調べてビックリしたのはそのメンバー。古川登志夫、古谷徹、三ツ矢雄二、神谷明と、今となっては超大御所の面々が名前を連ねていました。意外な過去ですね(アニメマニアには周知の事実なのかもしれませんが)。

本編はもちろんのこと、40周年ならではのボーナスディスクも楽しめるアルバム。ただおそらくこれからも50周年、60周年とリリースされ続けるんでしょうね。間違いなく、今後も日本のポップスの名盤として燦然と輝き続けるであろう名盤です。

評価:★★★★★

大滝詠一 過去の作品
EACH TIME 30th Anniversary Edition
Best Always
NIAGARA MOON -40th Anniversary Edition-
DEBUT AGAIN
NIAGARA CONCERT '83
Happy Ending

MASS/the GazettE

彼らにしてはちょっと久しぶり、約3年ぶりとなるニューアルバム。前作「NINTH」もハードコア寄りにかなりシフトした作品となっていましたが、今回も前作に引き続き、ヘヴィネスさが前面に押し出された作品になっています。結果として、ヴィジュアル系らしい、耽美的な雰囲気のメランコリックなメロと、デス声も用いたヘヴィーな楽曲が上手く融合され、the GazettEらしさがより明確になった作品になっていました。個人的には、いままで聴いた中では一番の良作だったような感じも。ハードコアリスナーにも十分お勧めできる1枚です。

評価:★★★★

the GazettE 過去の作品
TRACES BEST OF 2005-2009
DIM
TOXIC
DIVISION
BEAUTIFUL DEFORMITY
DOGMA
TRACES VOL.2
NINTH

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2021年7月19日 (月)

シューゲイザー寄りの作品は魅力的だが

Title:再生する
Musician:Ivy to Fraudulent Game

アイヴィー・トゥー・フロウジュレントゲームと読むこのバンドは、本作がフルアルバムとしては3作目となる4人組ロックバンド。いままでのフルアルバムのアルバムタイトルが「回転する」「完全が無い」という、いかにもなタイトルだったり、この奇妙なバンド名だったり、バンドとして「ポストロックやシューゲイザーの影響を受けた」という売り文句になっているのですが、確かにいかにもポストロック系の様相を感じさせます。

今回のアルバム、「再生する」というタイトルは、コロナ禍の中で崩壊してしまった文化を「音楽の力で再生していく」という決意のもとに制作された作品。いかにもなジャケットも印象的で、さぞかしシューゲイザー的な轟音サウンドやポストロック的な凝ったサウンドが楽しめるんだろう・・・・・・と思って聴くと、正直、かなり肩透かしをくらうかもしれません。

彼らの作品を聴くのは私はミニアルバムを含め本作で4作目。特に前々作「回転する」はシューゲイザー的なサウンドが前面に押し出された楽曲も目立つアルバムでした。ただ前作「完全が無い」はかなりポップに振れた作品になっており、シューゲイザー的なサウンドを求める身としては物足りなさを感じてしまったのですが、今回のアルバムに関しても、基本的にはその前作の方向性を踏襲するような作品になっていました。

冒頭を飾る「旅人」も、分厚いギターサウンドが耳を惹くものの、メロディーはJ-POP的で端正なボーカルもあって、良くも悪くも、よくあるギターロックバンドといった印象を受けます。「檻の中から」も同様に、ノイジーなギターサウンドはそれなりに印象に残るものの、疾走感あるギターロックは、よくあるオルタナ系ギターロックバンドといった印象を受けます。終盤の「共鳴」も、ゆっくりノイジーに聴かせるギターサウンドは心地よいのですが、端正なボーカルもあって、メロディアスなそのメロは、良くも悪くも売れ線といった印象を受けてしまいます。

そういった売れ線ギターロック路線も、ポップなメロディーで聴きやすく、それなりに魅力的ではあるものの、正直、Ivyとしての個性はさほど感じず、これだけだとちょっと厳しいなぁ、という印象を受けてしまいます。ただ、そんな印象がガラリと変わるのが中盤、シューゲイザーやポストロックの影響を強く受けたような作品が並んでおり、特に「Twilight」などはファルセットボイスとシューゲイザー系の影響を顕著に感じるギターサウンドで幻想的な作風が大きな魅力となっていますし、さらに「番」に関しても、同様にストリングスも入ってドリーミーな雰囲気が魅力的な楽曲。ほかの作品で感じたポップなメロディーラインもしっかりと展開されており、これらの作品こそがIvyの真骨頂では?と感じました。

ポップなオルタナ系ギターロック路線も、決して悪いわけではないのですが、Ivyとしての個性に欠けているような印象を受けます。これでメロディーラインについて、圧倒的な美メロとか書いてくるのであれば、それはそれで良いし、実際、ラストを飾る「御伽」については、それなりに魅力的なメロディーラインを聴かせてくれているのですが、アルバム全体としては残念ながら、そこまでIvyとしての圧倒的な個性を感じるようなフレーズはなかったように感じます。

そういう意味でも、もうちょっと全体的にシューゲイザー、ポストロック寄りにシフトした方が、他のギターロックバンドとIvyとの差を出せたように感じるのですが・・・全体的にポップ寄りの作品が続いているのは残念。次の作品には期待したいところですが・・・。

評価:★★★★

Ivy to Fraudulent Game 過去の作品
継ぐ
回転する
完全が無い

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2021年7月18日 (日)

コロナ禍でも強烈な主張で

Title:NINGEN GOKAKU
Musucian:あっこゴリラ

Akko

女性の本音をストレートに綴ったラップが大きなインパクトとなっている女性ラッパー、あっこゴリラの最新作はミックステープという形で配信リリースされた作品。ある意味、ミックステープによる配信ということで、変な忖度抜きにして、彼女の叫びをストレートに表現できた、ということかもしれません。今回もまた、かなり強烈なメッセージ性あるアップがつまった作品になっています。

まず強烈なのが冒頭の「TOKYO BANANA 2021」。彼女の1stアルバムの表題曲「TOKYO BANANA」の2021年バージョンというこの曲。「自己啓発 陰謀論 手まねきする」「正義のヒーローさえ勝ち負けの奴隷」と東京の現状を皮肉りつつ、「でもワクワクは止まりません!」「俺のど真ん中にいくぞ」と前向きな歌詞も同時に見られるこの曲。東京という大都会に対する悲喜こもごもの感情を、彼女なりに詰め込んだ曲、と言えるかもしれません。

そして注目したいのが「SayHello」。こちらは非常事態宣言で外出もままなかなかった昨年の5月に配信リリースされた曲。「コロナ禍で今、吐き出したいこと」をテーマに制作したZINE(=個人やグループが自由な手法、テーマで制作した冊子)「#SayHello」に収録された楽曲。こちらもある意味、コロナ禍の中でのフラストレーションを歌詞にストレートに反映させたような内容。今よりも、より閉塞感が強く、イライラがたまっていた昨年5月頃の状況が伝わってくる(そして、今でも通用する)歌詞が印象的です。

さらにエロ歌詞の「神器dig it」も印象的。おそらく自慰行為をテーマとしていると思うのですが、かなりドギツイ表現も聴かせつつ、こういうネタでストレートにラップするのも彼女ならではといった感じ。そして忘れてはいけないのがMoment Joonをゲストとして迎えた「DON'T PUSH ME」。出だしからしてかなりストレートで

「怒ったらダメ
この国じゃ負け
言いたいこと言えば貼られるラベル
泣いたら負け
『女だからって許されるとは思わないでね?』
上司ほくそ笑む」
(「DON'T PUSH ME」より 作詞 あっこゴリラ/Moment Joon)

と、ストレートに感情むきだしに表現することが嫌がられる日本の現状を鋭く描写するなど、日本で生きることの窮屈さを描き出しています。

そんな現状に対するフラストレーションをむき出しにラップで表現しているあっこゴリラ。トラックもそんなフラストレーションをストレートに反映するような、強いビートのエレクトロサウンドがメイン。レゲエ的なリズムを入れつつ、彼女のドスを効かせたような力強いラップも印象的ですし、何よりも彼女のラップスタイル、サウンド、歌詞が見事にマッチした楽曲になっています。

もっともそんなラップを通じて、彼女自体、必ずしも怒りを表現しているだけではなく、そもそも今回のアルバムに関して、彼女はこのようなコメントを残しています。

「自分も他人も社会も矛盾もクソもぜんぶ目を逸らさないで向き合って、そのうえでまるごと愛したくて、ジタバタした記録たちを詰め込みました。

あわよくば、そのプロセスごと美しいって証明したくて、「NINGEN GOKAKU」なんてタイトルにしました。」

この「NINGEN GOKAKU」というタイトルも含めて、ある意味、フラストレーションの中で生きる人たちの感情をそのまま受け入れ、愛情をもって包み込む、それが彼女のスタイルであり大きな魅力と言えるでしょう。

ただ一方で、以前の彼女の作品から気になっているのですが、そんなストレートな表現のラップなのですが、いまひとつ、「これ」といったフレーズが前に出て来ておらず、インパクトが弱い点が今回も気になってしまいました。「DON'T PUSH ME」も、むしろMoment Joonのラップの部分がより目立ってしまっている感も否めず。聴き終わってから、歌詞を確認するとあらためてその主張に触れることが出来るのですが、ラップを聴いている最中だと、どうも言葉のインパクトが薄く感じてしまう・・・そんなマイナスポイントは正直今回の作品でも感じてしまいました。

またトラックについても、ラップの主張にマッチしているとは、若干一本調子なのが気になるところ。もうちょっとバラエティーがあった方がおもしろいとは思うのですが・・・バラエティーがあればよいという訳でもないので難しいところなのですが。

そんな感じで、彼女の独特の主張が楽しめる反面、以前から気になっていた弱点は本作でも感じてしまった、そんな作品になっていました。ただ、これだけストレートに主張を表現する女性ラッパーは日本ではほとんどいないだけに、もっともっと期待したいところ。まだ彼女の強烈な主張は続きそうです。

評価:★★★★

あっこゴリラ 過去の作品
GRRRLISM
ミラクルミーE.P.

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2021年7月17日 (土)

早くも10年

Title:BACK THE WAY WE CAME:VOL.1(2011-2021)
Musician:NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

ご存じ90年代から2000年代にかけて世界中で大旋風を巻き起こしたロックバンドoasisのメインライターとして活躍し、oasis解散後も、ソロ名義「NOEL GALLAGER'S HIGH FLYING BIRDS」として活躍を続けるお兄ちゃんことノエル・ギャラガー。解散直後は若干、失速気味だった弟、リアムも、最近はソロアルバムで高い評価と人気を獲得しており、兄弟そろって活躍を続けるあたり、ギャラガー兄弟のすごさを感じてしまいます。そして、HIGH FLYING BIRDSの活動開始から早くも10年が経過したところにも、時間の速さを感じてしまいます。そんな活動開始から10年の区切りとして、初となるベストアルバムがリリースされました。

ベスト盤リリースの区切りとして10年というのは決して短くはないのですが、ただ、その間、彼がリリースしたオリジナルアルバムは3枚。で、デラックス盤だと3枚組・・・ちょっとベスト盤のリリースとしては早くないかい??という感もしたのですが、3枚のうち1枚はボーナスディスクとしてリミックスや、日本盤だとフジロックの音源が収録された内容で、ベスト盤としては事実上、2枚組。また、長さも2枚まとめて80分弱という、無理をすればCD1枚に収録できた内容を無理やり1枚にまとめた内容。また、HIGH FLYING BIRDSの新曲のリリースとしても、2019年以降、3枚のEPをリリースしており、今回のベスト盤にはこちらのEPも収録されており、そういう意味では、ベスト盤とオリジナルアルバムのバランスとしてはちょうどよいと言えるかもしれません。

また、今回のベスト盤、2枚組にした理由も明確で、ほぼリリース順に並んでいるのですが、1枚目はoasisのイメージを引き継いだようなギターロックの作品が並んでおり、一方、2枚目はoasisのイメージをグッと変えるような作風の曲が並んでいます。レコード盤のA面、B面を意識したのかもしれませんが、この2枚のCDでHIGH FLYING BIRDSの音楽の多様性を、より強調したような構成になっています。

特に1枚目に関しては、初期の作品が多く、当初はoasisに提供することを想定した曲もあるそうなので、余計「oasisらしい」と感じさせる曲が目立つのでしょう。「The Death Of You And Me」のレトロ感あふれるサウンドから、抜けるようにポップなサビに展開していく構成もoasisらしいですし、「If I Had A Gun...」のようなメランコリックに聴かせるメロディーラインも、oasisのノエルボーカル曲としてピッタリきます。「Ballad of the MightyⅠ」などリズミカルでグルーヴィーなナンバーなど、リアムボーカルで聴いたら・・・なんて想像もしたくなります。

ただ一方で「AKA...What A Life!」のようなリズミカルなナンバーも収録されており、ここらへん、四つ打ちのリズムはノエルの次へのステップへの布石としても感じることが出来ます。1枚目では、oasisを彷彿させつつも、どこかoasisとは異なる雰囲気も、随所に感じることが出来ました。

そしてグッとoasisのイメージから異なるのが2枚目。冒頭の「Black Star Dancing」からいきなりエレクトロの四つ打ちダンスチューンからスタート。「This Is The Place」「It's a Beautiful World」はいずれも打ち込みのサウンドが前に押し出されたエレクトロポップに仕上がっています。新たな一歩としてエレクトロ路線、というのはよくありがちな手であるのですが、やはりoasisとは異なる方向性に新鮮味を覚えます。

さらにこの新たな方向性はエレクトロ路線だけではありません。「Holy Mountain」ではホーンセッションなどを取り込んだ分厚く、祝祭色の強いポップ路線が気持ちよい作品。oasisといえばシングアロング路線の楽曲でライブで大盛り上がり…という魅力を持ったバンドでしたが、この曲はこの曲で、スタジアムレベルでのライブでの盛り上がりを想像できる、あらたなライブでの定番曲といった印象を受けます。さらに「A Dream Is All I Need To Get By」はメロウでラテンの雰囲気もあるムーディーなナンバーに。ここらへんもoasis時代の曲とはちょっと異なる味わいがあり、ノエルの音楽的な新たな挑戦を感じさせます。

ちなみにボーナスディスクは、リミックスやアコースティックバージョンなどを収録。リミックスはトランシーなエレクトロアレンジが多いのですが、そもそも原曲がエレクトロアレンジなので、さほど目新しさは感じません。むしろアコースティックアレンジの、例えば「The Man Who Built the Moon」などはまんあoasisといった感じで、oasisとして聴いてみたかったな…という(ちょっと後ろ向きな)気分に感じさせる楽曲になっていました。

そんな訳でデビューから10年。いまだにoasis復活を待ち望む人は私を含めて多いのですが、ただこのベスト盤を聴いていると、ノエルは確実に前に進んでいますし、万が一oasisの復活があったとしても、すぐに喧嘩別れしそう。やはりノエルのあのたぐいまれなメロディーセンスを持って、oasisにとらわれない新たな音楽性をどう模索していくのか、今後のソロ活動が楽しみに感じるベスト盤になっていたと思います。とはいえ、やはりoasis復活は待ち望んでしまうのですが・・・。

評価:★★★★★

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
CHASING YESTERDAY
Who Built the Moon?
Wait And Return EP
Black Star Dancing
This Is The Place
Blue Moon Rising


ほかに聴いたアルバム

Jordi/Maroon5

約3年7カ月ぶりとなるポップスバンドMaroon5のニューアルバム。軽快なエレクトロのビートに本作ではよりメランコリックさが増したメロディーラインが印象的。デビューから20年近くが経過したベテランバンドの彼らですが、そのエレクトロサウンドを含めて、楽曲的には、いかにも「今風」のポップスにちゃんとまとめ上げている点はさすが。しっかし時代に対してアップデートしていく彼らの姿を感じることが出来ました。

評価:★★★★

Maroon5 過去の作品
OVEREXPOSED
V
Red Pill Blues

CultureⅢ/Migos

Migos

「Culture」「CultureⅡ」がいずれも高い評価を集めたアメリカのHIP HOPユニットの、「Culture」シリーズの第3弾。いままでの作品と同様、終始軽快なトラップのリズムとダークなサウンドが印象的。また、全編にわたるメランコリックな雰囲気も大きな魅力となっている作品。基本的にいままで2作から大きな変化はなく、そういう意味ではあまり目新しさはなかったのですが、ただそのリズミカルなサウンドとメランコリックな雰囲気に惹かれた1枚でした。

評価:★★★★★

Migos 過去の作品
Culture
CultureⅡ

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2021年7月16日 (金)

人気女優によるカバーアルバム

現在、女優といて人気上昇中の上白石萌音。以前から歌手としても活動を続けていましたが、このたび、70年代から90年代の日本のヒット曲をカバーしたアルバムが2枚同時にリリースされ、話題となっています。

Title:あの歌 -1-
Musician:上白石萌音

こちらは70年代の歌謡曲を中心に収録したカバーアルバム。全編、鳥山雄司がアレンジャーをつとめています。

Title:あの歌 -2-
Musician:上白石萌音

こちらは90年代のJ-POPを中心として収録したカバーアルバム。こちらは曲によってアレンジャーをかえており、そのアレンジャーの仕事ぶりの比較も楽しめます。

さて、この2枚のベストアルバム、なぜかMusic Magazine近辺では表紙を飾るなど、大絶賛で迎え入れられているのですが、率直な印象としては、事務所に大切に育てられている女優さんが、ちゃんとお金をかけてしっかりとしたスタッフをつけられた結果生まれた、よい仕事ぶりのカバーアルバム、以上でも以下でもない、という感想を抱きました。

「あの歌-1-」は全編、歌謡曲の選曲なのですが、全体的にはおなじみのヒット曲を無難にそろえた、良く言えば卒のない、悪く言えば無難な選曲といった印象を受けます。上白石萌音のボーカルは、清涼感あるボーカルなのですが、良くも悪くも癖のないボーカルなので、さらっと聴いていると、さらっと聴きながせてしまうボーカル。それだからか、鳥山雄司のアレンジは、全体的に原曲の良さをいかしつつ、アコースティックテイストを残してさらっとまとめた感のあるアレンジになっており、彼女のボーカルを殺さないような配慮を感じるアレンジにプロとしての仕事ぶりを感じました。

逆に「あの歌-2-」は、比較的最近の曲だから、ということもあって、彼女のより強い思い入れのある選曲なのでしょう、おなじみのヒット曲もある一方、「知る人ぞ知る」的な選曲もあったりして、ここらへんは彼女のこだわりも感じます。また全10曲のうちユーミンの曲が3曲もあり(「制服」「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」「まちぶせ」)、何気に彼女の好みも垣間見れます。

ただ、「歌」がメインであった70年代の歌謡曲と比べると、90年代のJ-POPは原曲を誰が歌うか、誰が演奏するのか、という「意味」がより強い曲が増えた結果、彼女の卒ないボーカルが、良くも悪くも「違和感」を生じていました。

具体的に言うと、Fishmansの「いかれたBABY」。GLIM SPANKEYによるアレンジなのですが、原曲の持つ独特の浮遊感やグルーヴ感は皆無。Fishmansの持っていた原曲の魅力が出ていたか、と言われるとかなり疑問なカバーになっていました。また、ブルハの「青空」のカバーも、やはりヒロトが歌うことにより生まれる独特の味わいがなくなっており、かなり薄味という印象は否めませんでした。

もっとも逆に、原曲の持つ雰囲気から無理やり「歌」が無理やり切り離されたことにより、癖のないポップソングとして新たに生まれ変わった、という解釈も出来、そういう意味では原曲の持つメロディーラインの良さが、シンプルなボーカルとアレンジゆえにしっかりとあらわれていた、というポジティブな解釈も出来るといえばできるカバーになっていたように感じます。

そんな訳で、良くも悪くも「癖」がなく、女優として求められるスタイルにしっかり答えることが出来る上白石萌音のボーカルにより、良く言えば聴いていて純粋に「歌」が楽しめるカバーに、悪く言えば、無難に仕上がっているカバーにまとまっていた作品に仕上がっていました。全体的にアレンジャーの優れた仕事ぶりは目立ちますし、彼女の清涼感あるボーカルも魅力的ですし、純粋に歌が楽しめるカバーアルバムとしてよく出来た仕上がりだとは思いますが・・・悪い意味で癖がなく、斬新な解釈もなく、そういう意味で「アーティスティック」な部分があまり感じられないカバーなのは、良くも悪くも主軸が「女優」だからなんだろうなぁ、とも感じてしまいました。

評価:どちらも★★★★


ほかに聴いたアルバム

スキマスイッチ TOUR 2020-2021 Smoothie/スキマスイッチ

おなじみスキマスイッチのライブアルバム。昨年12月24日に行われた東京・中野サンプラザでのライブ音源をCD化しています。コロナ禍の中、なかなかライブも行えず、ライブでも声出し禁止という制限された状況の中でのステージなのですが、基本的に彼らのステージはいつもと一緒。原曲と比べてさらにスケール感も増し、さらに楽しげなアレンジにバージョンアップしています。また、MC集も収録。何も注釈もなく「今池」という名古屋の地名も登場してくるので、おそらく名古屋でのライブのMCなのでしょう。MCも含めて楽しめるライブ盤でした。

評価:★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"
SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~
スキマスイッチ TOUR 2019-2020 POPMAN'S CARNIVAL vol.2
スキマノハナタバ ~Smile Song Selection〜

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2021年7月15日 (木)

今週もK-POP系が目立つチャートに・・・

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ここ最近、K-POP系やアニメ系が目立つチャートが続いていますが、今週も同じような傾向が続きました。

ただ、先週まで3週連続1位を獲得してきたBTSのベストアルバム「BTS,THE BEST」は今週3位にランクダウンしています。そして代わって1位を獲得したのが浦島坂田船「L∞VE」。主に動画サイトへの投稿で活動している4人組ユニット。CD販売数1位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数3位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上6万6千枚で1位初登場。前作「RAINBOW」の5万8千枚(3位)よりアップ。

2位には先週10位にランクインした韓国の男性アイドルグループNCT DREAM「Hello Future:NCT DREAM Vol.1」が大きくランクアップし、ランクイン2週目にしてベスト10入り。特にCD販売数が9位から2位にアップしています。オリコンでも2万2千枚を売り上げて、今週2位にランクイン。ちなみにNCT DREAMは今週、「Hot Sauce: NCT DREAM Vol. 1」が5位にランクアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。結果、アルバム2枚同時ランクインとなっています。ただ、いまひとつよくわらかないのが、同作は先々週、CD販売数で4位にランクイン。先週はCD販売数が圏外となり、今週、再び5位にランクイン。なんでこんな動きをしているのでしょうか?輸入盤でもCD販売数がカウントされるケースとされないケースがあるし、いまひとつ、ビルボードチャートの基準もわかりにくい部分も・・・。

続いて4位以下の初登場盤ですが、今週は新譜リリースの谷間ということもあり、初登場盤は1枚のみ。それが10位に初登場した七海ひろき「FIVESTAR」。CD販売数8位、ダウンロード数14位。元宝塚の男役スターで、宝塚引退後は、主に俳優や声優として活躍しているそうです。宝塚出身の声優というのは、ある意味すごい経歴だな・・・。男役スターということで中性的なルックスで、確かに人気は出そうな印象を受けます。オリコンでは初動売上2千枚で7位初登場。前作「KINGDOM」(17位)から初動売上は横バイ。

また、今週はベスト10返り咲き組も。それがおなじみ米津玄師「STRAY SHEEP」。今週19位から9位にランクアップし、5週ぶりのベスト10返り咲き。通算29週目のベスト10ヒットとなりました。Hot100にランクインしている「Pale Blue」は早くも失速気味ですが、こちらは根強い人気を見せています。特にCD販売数が28位から18位にアップしており、いまだに多くの新規リスナーを獲得していることをうかがわせる結果となりました。

さらにYOASOBI「THE BOOK」が先週の9位から4位にランクアップ。ベスト10記録を通算23週に伸ばしたほか、8週ぶりのベスト5返り咲きとなりました。特に今週ダウンロード数がなんと1位を獲得。こちらも8週ぶり通算11週目の1位獲得となっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2021年7月14日 (水)

BTSが目立つチャートに

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はBTSが目立つチャートとなりました。

まずBTS「Butter」が2週連続の1位獲得。ストリーミング数及びYou Tube再生回数は7週連続で1位、ダウンロード数は6位から5位にランクアップ。これで通算8週目のベスト10ヒットとなりました。さらに今週は2位に新曲「Permission to Dance」がランクイン。ダウンロード数1位、ストリーミング数6位、You Tube再生回数2位、ラジオオンエア数24位、Twitterつぶやき数24位。BTSが1、2フィニッシュという結果になっています。さらに彼らは10位に「Dynamite」がランクイン。さすがにこちらは8位から2ランクダウンで後がなくなってきましたが、これで47週連続のベスト10入り。今週はBTSが3曲同時ランクインという結果になっています。

さらに今週3位もK-POP勢。男性アイドルグループENHYPEN「Givin-Taken」が初登場でランクイン。本作が日本でのデビュー作。CD販売数は本作が1位。PCによるCD読取数8位、Twitterつぶやき数2位にランクインしたものの、ダウンロード数36位、ストリーミング数85位、You Tube再生回数41位とネット系で伸び悩み、総合順位は3位に。オリコン週間シングルランキングでは同作が収録されているシングル「BORDER:儚い」が初動売上20万枚で1位を記録しています。

続いて4位以下の初登場ですが、新曲は1曲のみ。8位に女性アイドルグループNiziU「Super Summer」がランクイン。コカ・コーラCMソング。ダウンロード数3位、ストリーミング数13位、ラジオオンエア数10位、Twitterつぶやき数3位。配信限定のシングルとなります。

今週はBTSが3曲同時ランクインと目立つチャートとなりましたが、もう1組、3曲同時ベスト10入りさせたグループがありました。それがYOASOBI。先週4位に初登場した「三原色」は今週も4位をキープ。ダウンロード数は2位にダウンしたものの、ストリーミング数が21位から2位に、ラジオオンエア数も16位から1位に一気にアップ。You Tube再生回数が圏外になっていますが、今後、さらに上位をうかがう予感もあります。さらに「夜に駆ける」も先週と変わらず5位をキープし、ベスト10入りを通算61週に伸ばしているほか、「怪物」も先週の7位からダウンしたものの9位にランクイン。こちらはベスト10ヒットを25週連続に伸ばし、3曲同時ランクインとなっています。

そして優里「ドライフラワー」は今週も先週から変わらず6位をキープ。こちらはストリーミング数が4位から5位にダウンしていますが、You Tube再生回数は6位から5位にアップ。カラオケ歌唱回数は23週連続の1位となっており、これで34週連続のベスト10ヒットとなりました。

ただ一方、米津玄師「Pale Blue」は今週7位にダウンと失速気味。特にストリーミング数が9位から15位にダウンと伸び悩んでいます。また先週まで10週連続のベスト10ヒットとなり、しぶとい人気を見せていたAdo「踊」は12位にダウン。ベスト10ヒットは10週連続でストップしました。

そんな訳でBTSとYOASOBIの強さが目立つチャートですが・・・うーん、正直、ここ最近のHot100はどうも代わり映えしないというか、ロングヒット系が強すぎるというか・・・ストリーミング系に力点を置きすぎているような気がしてしまうんですよね・・・なんかすっきりしない印象を受けてしまう、最近のHot100でした。音楽の聴き方が多様になりすぎて、何をもってヒットとするか、つかむのが難しいんでしょうね。明日はHot Albums!

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2021年7月13日 (火)

人生を旅に例える

Title:ゴー・トゥー・アール・フォーティーファイブ
Musician:花*花

2000年にシングル「あ~よかった」「さよなら大好きな人」が大ヒットを記録し、紅白にも出場を果たすなど一躍、時の人となったものの、2003年に活動を休止した女性2人組デゥオ花*花。ただその後、2010年に活動を再開。残念ながらその後は以前のような大きなヒットはないもののコンスタントに活動を続け、昨年はメジャーデビュー20周年を迎えました。そんな昨年はベストアルバムをリリースしましたが、今回、リリースされた約4年ぶりとなるニューアルバムが本作です。

そんな久々となるニューアルバムは5曲入りのミニアルバムなのですが、短い中で花*花らしさがつまった作品に仕上がっていました。花*花の大きな音楽的な特徴としては、まずひとつにソウルやブルース、フォークなどの要素を包含しつつ、基本的には日本人に耳なじみやすい歌謡曲テイストと上手くバランスさせた曲調だと思います。今回のアルバムでも、そんな彼女たちの深い音楽的な素養を随所に感じられる楽曲が並んでおり、ブルージーに聴かせる「茜空テールランプ」からスタートし、フォークやカントリーの要素を感じるアコースティックなポップ「happy」、さらにボブ・ディランのカバー「I shall be released」はソウルやゴスペルの要素を入れつつ、彼女たちの絶妙な節回しがゆえに、どこか歌謡曲的な要素も同時に感じます。

さらになんといっても大きな魅力なのが彼女たちの書く歌詞。何気ない日常や身の回りの出来事を暖かく描く彼女たちの歌詞は、大ヒットした「あ~よかった」などでも顕著ですが、今回のアルバムでもそんな魅力的な歌詞があふれており、もっとも印象的なのは「happy」でしょう。歌詞のテーマはタイトル通りなのですが、それも大上段に構えたような幸せではなく、ふとした日常の幸せを描いた歌詞で、「新しい洋服」「甘いコーヒー」「ほどよく冷えた生ビール」「気心の知れた友達」と、日常の中でのちょっとした幸せを感じさせるアイテムが次々と登場。最後も

「隣で寄り添って眠る黒い犬と大きな窓
そんな些細なことが私の幸せ」
(「happy」より 作詞 おのまきこ)

と、まさに些細な日常の中の幸せが大きなテーマであるとはっきりと示されています。

また「新しい今日」でも、いつもと違う新しい今日というのが歌詞のテーマですが

「いつもと違う方向の電車に乗って 行き先も決めずに気ままに行こう」
(「新しい今日」より 作詞 おのまきこ)

というように、あくまでも日常の中でのちょっとした冒険がテーマとなっており、あくまでも日常の立脚した、ほっこりとした歌詞が大きな魅力となっています。

ただ、そんな中でも印象に残る歌詞といえば、なによりもアルバムの冒頭「茜空テールランプ」の一番最初でしょう。

「昭和に生まれて
平成を泳いで
令和にたどり着いたよ」
(「茜色テールランプ」より 作詞 こじまいずみ)

同世代としてはかなり心に響いてくる歌詞ですが、人生を旅に例えた上で、あらためて彼女たちの歩みを振り返りつつ、先を見据えた歌詞が印象的なこの曲。アルバムタイトルも、そんな「旅」を彷彿とさせますし、おそらく「アール・フォーティーファイブ」とは「R45」で、「45」とは彼女たちの年齢をあらわしているのでしょう。人生の後半戦に入り、いままでの自分たちの歩みを振り返りつつ、まだまだ先の長い人生を見据えた歌詞。それはこのアルバムの他の曲にも共通としたテーマとして感じられますし、また、あくまでも自分たちの身の回りをテーマとした彼女たちらしい歌詞と言えるかもしれません。また、同年代の私の胸にも響いてきたテーマでした。

基本的に歌謡曲的、邦楽的なテイストの暖かいポップチューンの中に、絶妙に洋楽的な要素を入れるバランス感覚も見事ですし、ある意味等身大の背伸びしない歌詞の世界も非常に印象に残ります。決して派手な楽曲はないものの、どの曲もとても暖かく、聴き終わった後にしっかりと印象に残る良質なポップスばかり。5曲のみのミニアルバムとはいえ、あらためて彼女たちの実力を感じさせる傑作でした。

評価:★★★★★

花*花 過去の作品
2×20

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2021年7月12日 (月)

ANARCHY is BACK!

Title:NOISE CANCEL
Musician:ANARCHY

Anarchy

純粋なオリジナルアルバムとしては、「BLKFLG」以来、約5年ぶりとなるANARCHYのニューアルバム・・・といっても2019年にアルバム「THE KING」(こちらは「フューチャリングアルバム」という位置づけでした)をリリースしているので、それ以来となるニューアルバムとなります。ANARCHYといえばデビューアルバム「ROB THE WORLD」、2枚目「Dream and Drama」が大きな話題となり、一躍注目のラッパーとなりました。

そんな彼も2014年になんとavexに移籍。アンダーグラウンドのラッパーというイメージも大きかった彼が、avexのようなメジャーレーベルに移籍したことにある種の衝撃を受けました。ただ、avexで「THE KING」を含む3枚のアルバムをリリースした後、avexとの契約を終了。本作はavexを離れてから初となる配信限定のアルバムとなります。

本作の大きな特徴は、まずANARCHYがはじめて、自らプロデュースを手掛けた作品であるという点。また、「フューチャリングアルバム」という位置づけだった前作「THE KING」から一転、客演なしの作品となったという点でした。さらに今回の「NOISE CANCEL」というタイトル、ヘッドフォンのノイズキャンセル機能を使って、雑音を聴いて集中して聴いてほしい、という思いからつけられたとか。それだけ彼の強い思いを感じさせます。

そんな集中して聴いてほしい、というサウンドは比較的シンプルな音数のビートがメイン。シンプルがゆえに彼のラップが生かされていますし、トラップの影響を感じるトラックや、メロウなトラック、ダークなサウンドなどバラエティーがあって聴かせます。特に「奇跡」ではギター1本の静かなフレーズを聴かせつつ、ラップを重ねるというナンバー。静かに奏でられるギターの音色も印象的ですし、そこに重なる力強いANARCHYのラップも印象に残る楽曲になっていました。ちなみに本作のトラックは、なんとRIZEのJESSEが担当しています(おそらくギターも彼でしょう)。

力の入ったトラックも印象的ですが、本作でそれ以上に力が入っていたのがリリックでした。ANARCHYといえば、自らが生まれ育った地域のリアルをそのまま描いたリリックが大きなインパクトを持って受け止められました。特に彼がデビューした頃、「下流社会」という言葉が登場。彼の描いた地元は、まさにそんな「下流社会」のリアルを描いており、厳しい現実を描いたリリックが彼の大きな特徴ともなっていました。

しかし、avex移籍後の彼の作品からは、そういったリアリティーあるリリックは薄れ、良くも悪くも、もっと「マス」をターゲットした曲が増えたように感じます。その結果として彼の持ち味が薄れ、正直なところ、avexでリリースされた彼のアルバムはいずれも今一つな出来だった、ということは否めませんでした。

そんな彼のリリックですが、本作では一転、再び彼の「リアル」がストレートに表現されたリリックになっています。1曲目「Nice kicks」は、買い物の楽しさを綴った・・・というシンプルでほほえましさがありつつ、彼のある種のリアルがしっかりと描かれている作品からスタート。そして中盤「la familia」は、彼が生きる世界をストレートに描いた、ギャングスタ風の歌詞が印象的。さらに本作で一番印象的な歌詞と言えるのが「I'm here」「Dog town」の流れ。「I'm here」は彼の住む街から出て行った仲間に対する哀別。街から出て行き、別の道を歩みだした仲間に対して「俺はいつでもここにいる」というメッセージを送っています。

そして、この「I'm here」と対極的と言えるのが「Dog town」「抜け出したい 抜け出したい/俺は育った街が大嫌い」からスタートする本作は、ひょっとしたら「I'm here」で街を出て行った仲間の視点なのかもしれません。本作は、まさに彼の生まれ育った地域のリアルを描いたリリックが強いインパクト。特に

「日本にゲトーはない
世間知らずの幸せ者が言うんだ
銃が無くても人は死ぬんだ
100万くらいで簡単に」
(「Dog town」より 作詞 ANARCHY)

というリリックは、今の社会の「世間知らずの幸せ者」に対して衝撃を与えるような、かなりヘヴィーな切り口の内容になっています。

まさに、デビュー当初のようなANARCHYのリリックの世界が戻ってきた本作。まさにANARCHY is Back!!と叫びたくなるような内容になっていました。さらにそんな印象的なリリックのとどめをさすのがラストの「Lisa」。おそらくかつての恋人に向けたメッセージで、「何も無かったあの頃は幸せだったな」と切なく綴るリリックが胸をうちます。特に

「夢は叶ったはずなのに
胸が痛い
まだ
あの日から今
なんにも変わらない物を
僕は探してた」
(「Lisa」より 作詞 ANARCHY)

というリリックは、ひょっとしたらavexというメジャーレーベルに移籍し、それなりに成功を収めた彼が、今感じる心境をそのまま綴ったのかもしれません。それだけ最後の最後に非常に胸にグサリと突き刺さるような内容になっていました。

avex移籍後の彼が失ったものを、本作ではすべて取り戻した感のある傑作アルバム。ノイズキャンセル機能のヘッドフォンで集中して聴きたいのはトラックももちろんですが、それ以上にこの彼の思いのつまったリリックなのかもしれません。年間ベストクラスの傑作だと思いますし、ANARCHYの底力をあらためて感じさせる内容だったと思います。前作「THE KING」はその売り方で若干ケチがついてしまったアルバムでしたが、そこで落としてしまった評判をしっかりと音楽で倍返ししてきた、そうとも感じさせてくれる傑作でした。

評価:★★★★★

Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
Diggin' Anarchy
DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)
NEW YANKEE
BLKFLG
THE KING

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2021年7月11日 (日)

バラエティー富んだ久々のフルアルバム

Title:4Wheels 9Lives
Musician:Ken Yokoyama

ここ最近、Hi-STANDARDとしての活動も目立ったため、Ken Yokoyama名義としては久しぶりとなるフルアルバム。直近作がミニアルバムで、その前がコンピ盤だったので、純粋なフルアルバムとしては実に約5年8ヶ月ぶりとなるアルバムとなります。タイトルの「4Wheels」とは、Ken Yokoyamaのバンド4人組をあらわした言葉、「9Lives」はしぶとく生きるという決意を表した言葉で、このコロナ禍の中での彼の、というよりも彼らの決意を感じることが出来ます。

そんな彼の久々となるニューアルバムですが、いままでの彼のアルバムの中でも、突き抜けてポップで、そして聴いていて心地よくなる傑作に仕上がっていました。まず序盤ですが、Ken Yokoyamaらしいパンキッシュなナンバーからスタート。1曲目「I'm Going Now,I Love You」はエッジの効いたギターのイントロからスタートすると、ハイテンポで疾走感あふれるパンクチューンが展開。さらに続くタイトル「4Wheels 9Lives」も、その分厚いサウンドが聴いていて心地よくなるメロコアなナンバーへと続いていきます。

ここらへんはいかにもKen Yokoyamaらしいヘヴィーなナンバーが続きます。もちろん、これらいかにも彼らしいナンバーも魅力的なのですが、このアルバムの良さはこれから。3曲目「Spark Of My Heart」はメロコアやパンクというよりはパワーポップの様相も感じるメロディアスでポップなメロディーが魅力的なナンバーに。「Helpless Romantic」もミディアムチューンで、ヘヴィーなバンドサウンドに心地よさを感じさせつつ、基本的にはメロディアスな歌を聴かせる楽曲となっています。

さらにグッと雰囲気が変わるのが後半。「Cry Baby」は軽快なスカパンクのナンバー。カラッとしたサウンドが魅力的な爽快な楽曲に仕上がっていますし、「Forever Yours」もメランコリックなメロディーラインの疾走感あるギターロックに。さらに「On The Sunny Side Of The Street」では前半、ちょっとブルースの要素も感じる軽快なギターインストでスタート。後半は歌も入ってくるのですが、こちらもルーツ志向の軽快なギターポップに仕上がっています。

そんな訳で、全体的にはしっかりとKen Yokoyamaらしいパンクロック、あるいはメロコアの路線を聴かせつつ、一方でバラエティーに富んだ作品を聴かせてくれた本作。そのため、最後までまったくダレることなく疾走感あるサウンドもあって、一気に楽しめるアルバムに仕上がっていました。また、全編で流れるメロディアスでポップなメロディーラインも大きな魅力。意外とベタさも感じるメロディーラインが大きなインパクトにもなっていました。

そしてバラエティー富んだ作品を聴かせつつ、最後は彼らしいパンクロックナンバー「While I'm Still Around」で締めくくりという構成も見事。Ken Yokoyamaに求められるファンからの要望にきちんと応えつつ、ミュージシャンとしてそれだけではないという面をしっかりアピールできていたアルバムに仕上がっていたと思います。パンクロック好きはもちろん、それ以外の音楽ファンにとっても幅広く楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★★

Ken Yokoyama 過去の作品
Four
Best Wishes
SENTIMENTAL TRASH
Ken Yokoyama VS NUMBA69(Ken Yokoyama/NAMBA69)
Songs Of The Living Dead


若いながらも歴史あり 96.3.2@新宿LIQUID ROOM/Fishmans

90年代後半に活躍し、レゲエやダブなどを取り入れた独特の音楽性が、今なお高い評価を集めているバンドFishmans。ボーカルで、ほぼすべての曲の作詞作曲を手掛けていた佐藤伸治が、1999年にわずか33歳という若さで急逝したこともあり、半ば「伝説のバンド」と化している彼ら。その後も残ったメンバーである茂木欣一を中心としてFishmans名義でのライブが行われているなどバンドとしては活動を続けているのですが、当然のことながら、ライブ以外の音源のリリースはありません。

本作はタイトル通り、1996年に行われた新宿LIQUID ROOMでのライブの模様をおさめたライブ盤。もともと2005年にDVD化されていた映像の音源をリマスターしてライブアルバムとして収録した作品となります。アルバム「空中キャンプ」リリース後のツアーで、今から振替えると、これから彼らの音楽はさらなる成長を遂げるのですが、このころの作品ももちろん、既に圧倒的な個性を獲得し、独特の浮遊感を覚えるライブパフォーマンスが大きな魅力。収録されているMCは時代を感じられて、ある種ほほえましさと興味深さを感じるのですが(ジュンスカと対バンしていたというのはかなり意外・・・)、音楽の魅力は今でも新鮮味すら感じられ、今聴いても、全く衰えていません。あらためてFishmansの魅力に触れることの出来るライブ盤。今の若い世代にも聴いてほしいなぁ・・・という感想はいかにもおじさんっぽいのですが・・・。

評価:★★★★★

Fishmans 過去の作品
LONG SEASON '96~7 96.12.26 赤坂BLITZ
BLUE SUMMER~Selected Tracks 1991-1995~
Night Cruising 2018




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2021年7月10日 (土)

今も色あせない魅力

Title:8-9-10!!!(Ver.3)
Musician:Jitterin'Jinn

おそらく、40代中盤から50代あたりの方にとっては「懐かしい」という印象を抱くのではないでしょうか。80年代に一世を風靡し、バンドブームの火付け役となったオーディション番組「三宅裕司のいかすバンド天国」通称「イカ天」に出場し、6代目キングを獲得したJitterin'Jinnのベストアルバム。1989年から翌年にかけて「エヴリデイ」「プレゼント」「にちようび」「夏祭り」と続けざまに大ヒットを記録しました。特に「夏祭り」は2000年にWhiteberryがカバーしヒットを記録していますので、もうちょっと下の世代の方も、この曲はご存じの方は多いのではないでしょうか(・・・といっても、もう20年も前の話になるんですね・・・)。さらに同じ頃、スカパンクブームの流れで、スカパンクの先駆者として彼らが再注目・再評価されたりもしたので、30代の方でもご存じの方も少なくないかもしれません。

今回のアルバム、「Ver.3」というサブタイトルの通り、実はベストアルバムとして「8-9-10!!!」を冠したアルバムはこれが3作目となります。第1弾は1999年にデビュー10周年を記念してリリースされたアルバムで、Ver.2は2007年にリリース。そして今回リリースされたのが第3弾となります。この3枚のベストアルバム、1曲目から10曲目までは同じ選曲、曲順。こちらに「エヴリデイ」「プレゼント」「にちようび」「夏祭り」などといったヒット曲がズラリと並んでいます。レコード盤で言えば「A面」にあたる前半は、Jitterin'Jinnの表の顔、とも言えるのかもしれません。

一方、11曲目からラストの選曲は3枚とも異なります。前のバージョンから次のバージョンの間にリリースされた曲が追加収録されている、という点もありますが、今回のアルバムでもVer.2以前の曲からも再度ピックアップされており、以前のバージョンを聴いた方にとっても、違うJitterin'Jinnの曲を楽しめる(悪く言えば、2度買いさせる)構成になっています。また、アルバムの最後にはボーナストラックが収録されており、今回は2009年に行われた「20th Anniversary day SPECIAL LIVE」来場者特典CDに収録されていた「ラベンダー」が収録されています。

さて、40代中盤世代の私にとっても、Jitterin'Jinnといえば非常に懐かしさを感じるバンドなのですが、今回、このベスト盤で久々に彼らの曲を聴いてみると、懐かしさを感じるのと同時に、楽曲の色褪せなさにも驚かされました。彼らが奏でるサウンドはシンプルな2ビートのスカ。そのためバンドサウンドとしても最小限のサウンドしかなっていないということもあって、良い意味で時代性を感じさせません。時代性を感じさせないがために、ポップなメロディーラインと合わせて、30年以上の月日を経ても全く楽曲が色あせていませんでした。

また、シンプルな2ビートのスカながらもメロディーラインはある種の歌謡性を感じさせるメランコリックなメロディーラインなのも大きな魅力。学生時代の切ない恋愛を思い起こさせるノスタルジーあふれる歌詞にもピッタリマッチしており、そんな彼ららしさが最も魅力的に発揮されたのが名曲「夏祭り」でしょう。

「君は好きな綿菓子買って 御機嫌だけど少し向うに
友達見つけて離れて歩いた」
(「夏祭り」より 作詞 破矢ケンタ)

という歌詞も、いかにも学生らしい初心な恋愛模様にキュンキュンしちゃいますし、これが過去の思い出として歌われているのも、その後の2人を想像して切なくなってきてしまいます。

さらに今回の彼らのアルバムでもうひとつ、彼らの曲が持っていたユニークな要素を感じました。それがアルバム後半「PLEASE DON'T CRY」「週間天気予報」「夕暮れ」などの曲に感じた、和風で郷愁感あふれるトラッドの要素。静かに奏でられるアコーディオンのメロディーがより楽曲に哀愁感をあたえ、かつ、どこかトラッドの要素も感じさせます。前半の曲に関してもメランコリックなメロディーラインが大きな魅力と感じたのですが、これらの曲に関しては、彼らの楽曲の哀愁感という側面が、より強調されており、彼らのヒット曲からはあまり感じなかったトラッド的な要素も強く感じました。

また一方「プリプリダーリン」ではロックンロールの要素を強く全面に押し出したりしており、スカを基調した音楽性の広さも感じさせます。今回のアルバムで彼らの代表曲を通じて聴くと、あらためてJitterin'Jinnというバンドが実力のあるバンドだったんだ、ということを再認識することが出来ました。

残念ながら現在彼らは、2009年以降、ライブも行っておらず、新譜のリリースもなく、活動休止状態が続いています。ただ、その楽曲は時代を超えて色あせておらず、是非、活動を再開してほしい、そう強く感じてしまいました。そんな活動休止状態の中での今回のベスト盤リリース、ひょっとしたら活動再開の嚆矢だったりするのでしょうか?そうであったらうれしいのですが・・・。

評価:★★★★★

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2021年7月 9日 (金)

自然の音色をバックに

数多くのCMソングや映画音楽などを手掛けるミュージシャン、高木正勝。2018年から2019年にかけて、「Marginalia」と名付けたプライベイトなピアノ曲集を2作リリースしましたが、続けて今年、第3弾と第4弾をまとめてリリースしてきました。

Title:MarginaliaⅢ
Musician:高木正勝

Title:MarginaliaⅣ
Musician:高木正勝

前作「Marginalia」「MarginaliaⅡ」と同様、バックに自然の音が流れるフィールドレコーディング的な録音状態に、ほぼピアノの音だけが静かに流れるという作品。京都の山村を拠点にしているそうなのですが、彼の身の回りの音を録音したということなのでしょうか。「#61」「#66」などでは女の人の声が入ってくるのですが、それ以外はピアノの音色が流れるのみ。静かな森の中で、高木正勝のピアノの演奏会を静かに聴いている、そんな感覚に陥るようなアルバムでした。

今回のアルバムも前作同様、楽曲は全て「Marginalia #〇」と、「〇」の部分に数字が入るスタイル。「MarginaliaⅢ」は「#48」からスタートし、数字はほぼ順番に並んでいるのですが、所々番号が飛んでいたり、ラストはなぜか「#76」の次に「#83」と飛んだあと「#57」と戻る構成になっています。一方「MarginalⅣ」では「#89」からスタートし、連番が続き、最後は「#103」で終わります。

ピアノ曲といいつつバラエティー富んだ作風になっていた「Marginalia」「Ⅱ」と比べると、「Ⅲ」「Ⅳ」は比較的シンプルなフレーズの曲が並んでいました。ただ、だからといって飽きてくるということは全くなく、美しいピアノのフレーズが強く印象に残る作品になっています。そんな中でも異なる2つの旋律が交差し、ちょっとフリーキーな要素のある「#59」は印象に残りますし、「#68」のようなメランコリックなフレーズ、さらには「#71」のような軽快でポップな作風のピアノ曲と、そのフレーズが印象に残るピアノ曲も少なくありません。

一方、「Marginalia」「Ⅱ」ではちょっと物足りなさを感じていたフィールドレコーディングという要素があまり生かされていなかった点ですが、今回の作品では、これでもかというほと自然の音が多く録音されています。森の葉音や風の音、虫の声や川のせせらぎ、さらには鳥の鳴き声など・・・これらの自然の音が、ピアノと同じく楽器のように、演奏の一部として機能しているようにすら感じられました。

特に「Ⅳ」の方では、この自然の音の方が前に押し出されたようになっており、むしろ、この音の方が「主」であり、ピアノのフレーズの方が「従」であるような、そんな錯覚に陥るようなバランスになっていました。そのため、正直言うと、「Ⅳ」の方に関しては自然の音がただ流れる環境音楽のような感じになってしまい、美しいピアノ曲を楽しめた「Ⅲ」と比べると、最後まで聴きとおすにはちょっと辛い部分があった点も否定できません。

もっともそんな中でも「#98」のような美しいフレーズが流れる曲があったり、「#102」のような蝉の声が流れる夏を彷彿とさせる曲の中で清涼感あるピアノの音色が流れるといった、爽やかな曲があったりと、聴かせる曲ももちろん少なくありませんでした。今回もその美しいフレーズに聴き惚れるピアノアルバムに仕上がっていました。ボリュームたっぷりのチルアウト的なアルバムですが、最後まで楽しめたアルバム。このシリーズ、まだ続くのでしょうか?次の作品も楽しみです。

評価:「Ⅲ」★★★★★
「Ⅳ」★★★★

高木正勝 過去の作品
Tai Rei Tei Rio
TO NA RI(原田郁子+高木正勝)
おむすひ
かがやき
Marginalia
MarginaliaⅡ

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2021年7月 8日 (木)

今週もK-POPとアニメ/ゲーム系コンテンツが目立つチャートに

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

これで3週連続の1位となりました。

1位は韓国のアイドルグループBTSのベストアルバム「BTS,THE BEST」。今週、ダウンロード数は5位にダウンしましたが、CD販売数及びPCによるCD読取数でも1位を獲得し、3週連続の1位獲得となりました。オリコン週間アルバムランキングでも2万6千枚を売り上げて、1位を獲得しています。

そして2位3位はアニメ系。2位にはRoselia「劇場版『BanG Dream! Episode of Roselia』Theme Songs Collection」がランクイン。ゲームやアニメによる架空のガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!」に登場するバンドによる、映画「劇場版『BanG Dream! Episode of Roselia』」主題歌集のミニアルバム。CD販売数2位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数5位。オリコンでは初動売上1万6千枚で3位初登場。「Bang Dream!」からのアルバムとしての前作「バンドリ! ガールズバンドパーティ! カバーコレクション Vol.5」の1万5千枚(6位)からは若干のアップ。Roselia名義の前作「Wahl」の3万9千枚(3位)からはダウンしています。

そして3位は「Vivy -Fluorite Eye's Song- Vocal Collection ~Sing for Your Smile~」が初登場。テレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」に登場した劇中音楽を収録したアルバム。CD販売数は6位、PCによるCD読取数で16位ながらもダウンロード数で2位を獲得し、総合順位ではベスト3入り。オリコンでは初動売上9千枚で7位初登場。

続いて4位以下の初登場ですが、今週もやけにK-POP勢が目立つ結果となっています。4位にSEVENTEEN「Your Choice」が先週から2ランクダウンながらもベスト10入りしているのをはじめ、まず5位に元東方神起のジェジュンによる「映画『J-JUN ON THE ROAD』オリジナル・サウンドトラック」がまずはランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数36位。ジェジュンのドキュメンタリー映画「ジェジュン:オン・ザ・ロード(ON THE ROAD an artist's journey)」のサントラ盤だそうです。オリコンでは初動売上1万1千枚で6位初登場。前作「Love CoversⅡ」の4万4千枚(1位)よりダウンしています。

さらに7位には同じく韓国の男性アイドルグループSHINee「SUPERSTAR」がランクイン。こちらは7月28日リリース予定のミニアルバムの先行配信。ダウンロード数で1位にランクインし、総合順位もベスト10入り。8位には韓国の男性アイドルグループ2PM「Must:2PM Vol.7」が初登場。こちらは韓国盤のため、ビルボードではダウンロード数3位にのみランクイン。オリコンでは初動売上8千枚で9位初登場。直近作は日本でのベスト盤「THE BEST OF 2PM in Japan 2011-2016」で、同作の7千枚(7位)より若干アップ。そして10位には、同じく韓国の男性アイドルグループNCT DREAM「Hello Future:NCT DREAM Vol.1」がランクイン。こちらは先週5位にランクインしていた「Hot Sauce:NCT DREAM Vol.1」のリパッケージ盤。CD販売数9位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数52位。こちらも韓国盤のはずなのですが、なぜかCD販売数にランクインしているのですが・・・なんでなんでしょうか?

初登場盤はもう1枚。6位に刀剣男士 team新撰組 with蜂須賀虎徹「ミュージカル『刀剣乱舞』~幕末天狼傳~」がランクイン。ゲーム「刀剣乱舞」を元としたミュージカル「刀剣乱舞」~幕末天狼傳~の曲を集めたアルバム。CD販売数5位、ダウンロード数31位、PCによるCD読取数23位。オリコンでは初動売上1万1千枚で5位初登場。同シリーズの前作刀剣男士 formation of 葵咲「ミュージカル『刀剣乱舞』~葵咲本紀~」の1万7千枚(2位)からダウン。

さらに今週、ベスト10返り咲き組としてYOASOBI「THE BOOK」が先週の13位から9位にアップ。「三原色」リリースの影響と思われます。これで4週ぶりのベスト10返り咲き。ベスト10ランクイン記録を通算22週に伸ばしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2021年7月 7日 (水)

再びBTSが1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

4週ぶりの1位返り咲きとなりました。

今週は、BTS「Butter」が先週の2位からワンランクアップ。4週ぶりに1位に返り咲きました。ストリーミング数及びYou Tube再生回数は7週連続で1位。ただダウンロード数は4位から6位にダウンしています。BTSは今週「Dynamite」もワンランクダウンで8位をキープ。こちらはこれで46週連続のベスト10入りとなっています。

2位は日本のジャニーズ系アイドル。NEWS「BURN」が初登場でランクイン。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数は1位を獲得。ラジオオンエア数20位、そのほかはランク圏外。オリコン週間シングルランキングでは初動売上14万7千枚で1位初登場。日テレ系アニメ「半妖の夜叉姫」オープニングテーマ。ロックテイストの強いナンバーで、若干ワンオクっぽい感じがするんですが、こういう曲をワンオクのTakaが提供した日にゃ、大きな話題になるんでようが、ジャニーズ系にそんな包容力はないんだろうなぁ。

3位は先週2位の米津玄師「Pale Blue」がワンランクダウン。CD販売数12位、ダウンロード数3位、ストリーミング数9位、ラジオオンエア数4位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数89位、You Tube再生回数5位、カラオケ歌唱回数77位と、全チャートにランクイン。幅広い人気のほどがうかがわせます。

続いて4位以下の初登場曲ですが、4位以下の初登場曲は1曲のみ。それが4位初登場のYOASOBI「三原色」。ダウンロード数1位、ストリーミング数21位、ラジオオンエア数16位、Twitterつぶやき数8位。NTTドコモ「ahamo」CMソング。「もう少しだけ」がめざましテレビのテーマ曲になるなど、やけにメディア系の受けがよい印象があります。ただ、「もう少しだけ」はアッという間にベスト10から消えてしまうなど、いまひとつ、YOASOBI自体の人気は測りかねる部分が。ただ今週、「三原色」のヒットに合わせて「夜に駆ける」が先週の12位から5位にランクアップし、3週ぶりにベスト10返り咲き。通算60週目のベスト10ヒットとなりました。さらに「怪物」も9位から7位にアップし、24週連続のベスト10ヒットに。今週はYOASOBIが3曲同時ランクインという結果になっています。

さらに今週は返り咲き組がもう1曲。Official髭男dism「Cry Baby」が14位から10位にランクアップし、7週ぶりのベスト10返り咲き。テレビアニメ「東京リベンジャーズ」オープニングテーマ。派手なヒットはないのですが、ベスト10からランクダウンした後も15位以内をキープし続けており、根強い人気を感じさせます。特にストリーミング数は、ここ3週で11位→10位→8位と徐々にランクアップ。今後の動向が期待されます。

ロングヒット組は、優里「ドライフラワー」は先週と変わらず6位をキープ。ストリーミング数が3位から4位にダウンする一方、You Tube再生回数は8位から6位とアップ。カラオケ歌唱回数も今週で22週連続の1位をキープしています。これで33週連続のベスト10入り。

さらに意外としぶとい人気なのがAdo「踊」。今週は10位から9位にランクアップ。ダウンロード数は13位から22位にダウンしたものの、ストリーミング数は先週と変わらず7位をキープ。さらにYou Tube再生回数が5位から4位にアップしています。これで10週連続のベスト10入りとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2021年7月 6日 (火)

奇妙礼太郎の人生賛歌

Title:ハミングバード
Musician:奇妙礼太郎

奇妙礼太郎のビクター移籍第1弾となるのは全6曲入りとなるミニアルバム。彼の作品を聴くのは、前作「More Music」に次いで2曲目となります。奇妙礼太郎というと、決して派手さはないものの朴訥とした雰囲気のボーカルを、時としてエモーショナルに歌い上げ聴かせるそのボーカルスタイル。また、ロックンロール、ブルース、フォーク、ネオアコなどの要素を取り込んだ音楽性も大きな魅力です。ただ一方、メロディーラインについては若干インパクトの弱さは否めず、奇抜な歌詞などが飛び込んでくるのですが、それを差し引いても、少々薄味という印象は否めませんでした。

そんな中、今回のアルバムではプロデューサーにベベチオの早瀬直久を起用。全楽曲、彼が作詞作曲を手掛けており、奇妙礼太郎はボーカルに徹したアルバムになっています。そして、その結果は大成功。奇妙礼太郎のボーカルを生かしつつ、暖かみのある身近な素材を読み込んだ歌詞の世界観はそのままに、前作で物足りなかった楽曲のインパクトがグッと増した傑作に仕上がっていました。

1曲目を飾るタイトルチューン「humming bird」からまずマリンバで軽快に聴かせつつ、メロディアスに聴かせるピアノが印象的。彼のボーカルに相まって、非常に暖かみのあるポップチューンに仕上がっています。そして、ある意味、このアルバム1番インパクトがあったのが続く「お茶を飲もう」でしょう。タイトル通り、「お茶」をテーマに日常を歌った曲なのですが、サビの部分の歌詞が

「踊る千利休が見えた気がしたよ」

とダンサナブルな展開に。コーラスにも「千利休 千利休」のコーラスが・・・・・・千利休は踊りません!個人的にはかなりインパクトのある歌詞でした。

歌詞が暖かく印象的だったのが続く「Life Is Beautiful」で

「冗談でも 言いたくない言葉を
君は人が怖いから 放ってしまうのかな」

という歌詞から、サビのラストでは「ライフイズビューティフル」と締めくくる、そっと優しく人を包み込むような暖かいナンバー。暖かい歌詞やメロも素晴らしいのですが、ここに優しくもエモーショナルな奇妙礼太郎のボーカルが実によくマッチしており、絶妙な名バラードに仕上がっています。

その後も郷愁感たっぷりでフォーキーな「アスファルト」や、暖かいホーンセッションでノスタルジックあふれるメロを力強く聴かせる「思い出の店」など、暖かさを感じるナンバーが続き、そして秀逸だったのがラストの「すぐそばのハッピー」。タイトルそのままのとても暖かい応援歌的な楽曲。ホーンセッションも入ったニューオリンズ風のアレンジも楽しいですし、コロナ禍の中であえて「あなたと飲めばホロ苦ワンダホー」という歌詞も印象的。「Life If Beautiful」同様、人生賛歌な1曲となっています。

全体的にはミディアムチューンで聴かせる楽曲が並ぶのですが、聴いていて思わず楽しくなってくるような楽曲ばかりで、特に「Life Is Beautiful」「すぐそばのハッピー」などのように人生賛歌を感じさせる楽曲が目立つように感じました。文句なしに早瀬直久との相性もバッチリ。今後、この組み合わせでのリリースが続くかどうかはわからないのですが、今後も続くとしたら、奇妙礼太郎はよいパートナーを見つけた、といってもいいのではないでしょうか。このコロナ禍でめげそうになった時にこそ聴いてほしい、聴いていてハッピーになれる、そんな傑作でした。

評価:★★★★★

奇妙礼太郎 過去の作品
More Music


ほかに聴いたアルバム

The Race/AK-69

前作「LIVE:live」からわずか10ヶ月というインターバルでリリースされたAK-69のニューアルバム。ANARCHYやちゃんみな、SALUといった豪華なゲストも参加した本作。ただ、基本的にはいつもの彼と同様、今時のトラップ的なリズムを入れつつ、メランコリックなサウンドでリズミカルに聴かせるラップがメイン。ある意味、いつも通りのAK-69といった感じで、彼のアルバムではいつも思うのですが、目新しいものはないのですが、しっかりとファンの求めるものと押さえている卒のない内容といった感じに仕上がっていました。

評価:★★★★

AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
The Independent King
Road to The Independent King
THE THRONE
DAWN
無双Collaborations -The undefeated-
THE ANTHEM
ハレルヤ-The Final Season-
LIVE:live

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2021年7月 5日 (月)

映像作品としても完成度の高いパフォーマンスに

電気グルーヴ ON THE STAGE~恐怖!!町のブタイ~

会場 Zepp Haneda(オンライン) 日時 2021年6月26日(土)20:00~

先日はマキシマム ザ ホルモンの配信ライブを見たばかりなのですが、今日は続けて電気グルーヴの配信ライブ。昨年のコロナ禍の中の配信ライブは、やはり本当のライブとは当たり前ですが雰囲気が大きく異なっていて、以前ほど参加意欲が起きなかったのですが、それでもホルモンに電気グルーヴとライブを最も見てみたいミュージシャンの配信ライブとなっては見逃すわけにはいきません!ということで2日連続の配信ライブとなりました。

ホルモンとは異なり、電気グルーヴは完全に無観客でのライブ。この日はZepp Hanedaに設けられた狭い円形のステージからのライブ。サポートメンバーを含めて、みんな向かい合っての形のパフォーマンスとなりました。ライブはいきなり「電気グルーヴ10周年の歌 2019」からスタート。例の事件によって、リリース後すぐお蔵入りとなってしまった曲で、ライブで聴くのははじめてなのですが、コミカルな曲調と反してライブで聴くと、かなりのカッコよさを感じさせます。なによりピエール瀧が歌う姿にグッとくるものがありました。

ライブはそのまま「MAN HUMAN」「顔変わっちゃってる。」に進みます。「顔変わっちゃってる。」もコミカルな歌詞なのですが、ライブで聴くと、強いビートのサウンドと合わさり、楽曲のカッコよさがかなり増している印象を受けます。その後も「The Big Shirts」から「モノノケダンス」へ。ここらへんは最近のライブでの定番曲ですね。1曲目から全く切れない演奏で続いていきます。ステージの照明も落とされており、全体的にはライブハウスなどでのライブというよりも、クラブでのパフォーマンスという印象のステージになっていました。

そこから続くのはちょっとレア曲気味な「SHAME」。シングル「SHAMEFUL」のカップリング。彼ららしいシニカルでユニークな歌詞が印象に残ります。さらにこれはかなり懐かしい!アルバム「UFO」からのナンバー「B.B.E.(Bull Beam Express)」へ。こちらも同じく、かなりユニークな歌詞をラップで展開する初期の彼ららしい曲なのですが、強いビートにヘヴィーなギターも流れるロッキンなテイストも強いアレンジに。楽曲がもともと持っていたカッコよさに気が付かされるパフォーマンスになっていました。さらにそのまま「SHAMEFUL」へと続いていきます。

ロッキンな色合いが強かったここまでと一転、「ガリガリ君」ではよりテクノ色が強くなり、さらに軽快なリズムが心地よい「Missing Beatz」から「Upside Down」「Fallin' Down」と軽快で爽やかなリズムの強いナンバーが続いていきます。曲間も途切れることなく、一気にパソコンの前をダンスフロアへと変えていきます。その後もメランコリックな「柿の木坂」から、かなり懐かしい「A」からのナンバー「猫夏」から「Set You Free」へと切れ間なく進んでいきます。ここらへんはリズミカルなナンバーながらも比較的メロウなメロディーを聴かせるチューンが続き、若干チルアウト気味な雰囲気になっていました。

そこから一転「Flashback Disco(is Back)」に進み、再びパソコンの前は即席のディスコフロアへ。そして最後は「ユーフォリック」で締めくくり。約1時間20分程度でライブは幕を下ろしました。

最初から最後までMCは一切なし。曲間もほぼ途切れず、全17曲、一気に展開していくステージで、上にも書いた通り、どちらかというとクラブ志向の、「真面目な」側面を強調した電気グルーヴのステージとなっていたのですが・・・すごくカッコよかった!バックにはVJによる映像も流れる中、円形となっているステージは普段のライブとは異なる雰囲気ですし、またほどよく切り替わるカメラワークも非常によくできていて、配信ライブというよりも、これが一つの映像作品のように完成度の高いパフォーマンスを見せてくれました。これ、ライブ配信なのでアーカイブも数日で終わってしまうのですが、あらためてDVDなどでリリースされないかなぁ。そう感じてしまうほどの配信ライブならではの素晴らしいパフォーマンス映像。コロナ禍にあって配信ライブを何本も見てきましたが、個人的にライブ映像としてはいままででベストだったかも。ここらへん、無観客の配信ライブでもそれはそれで無観客ライブの強みをしっかりと生かした、電気グルーヴらしい素晴らしいライブになっていました。

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2021年7月 4日 (日)

ホルモンらしい最初で最後の配信ライブ

マキシマム ザ ホルモン - 全席・顔面指定席ライブ「面面面~フメツノフェイス~」(オンライン)

会場 オンライン 日時 2021年6月25日(金) 19:30~

先月のZAZEN BOYS/NUMBER GIRLのライブに続く配信ライブ。今回はマキシマム ザ ホルモン初となる配信ライブになります。もともと4月に名古屋・大阪・横浜の3会場で行われていた「全席・顔面指定席ライブ『面面面~フメツノフェイス~』」のベストアクトを編集した配信ライブ。このイベントは、「全席顔面指定席」という試みで、ホルモンが定義した顔のカテゴリーにより場所を指定した彼ららしいイベントライブ。そのライブの模様を編集した模様を配信したもの。個人的に、リアルタイムではなく、過去のライブの編集配信はさほど食指が動かないのですが、それでもあのマキシマム ザ ホルモンの配信ライブ!ということもあり、今回はライブ配信を見てみました。

で、19時半にスタート。最初はメンバー4人が会議室のような場所にあつまってトークからスタート。このライブイベントの概要のVTRが流れた後、まずユニークだったのは今回の配信の構成。マネージャーに復帰したしみゆうが持参した謎の装置をおなじみ便所サンダルに設置すると、会議室の扉がタイムマシンとなって、過去に戻ったメンバーがライブを行うというスタイルでの構成となっていました。

そんな待ちに待ったライブ本編ですが、久々のライブ、かつ特に今回はアルバム等のリリースもない中でのライブということもあり、かなり「ベスト」的な構成になっていました。1曲目の「maximum the hormone」から「F」「maximum the hormoneⅡ」へ最も盛り上がる、かつホルモンの演奏のカッコよさが映える楽曲からスタート。その後も「便所サンダルダンス」「What's up,people?」と一気に疾走感あるナンバーで畳みかけます。

その後も最近は寡作気味なホルモンの久々の新曲となる新曲「Hungry Pride」にポップな「my girl」「falling jimmy」などなど、新旧織り交ぜたナンバーが並びます。後半のおなじみの掛け声「麺カタ コッテリ ズラズラズラ」で声のない中で盛り上がった後は、本編ラストは「恋のスペルマ」。さらにその後はアンコールに突入し、ラストは「恋のメガラバ」でみんなでダンスで盛り上がり、幕を下ろしました。

ちなみにこの日の配信、ライブ映像がそのままではなく、要所要所でエフェクトの映像がライブ映像に重ねられるなど、配信ならではの試みも。ポップな「my girl」では歌謡曲のような字幕が流れたり、「恋のスペルマ」では、「スペルマ」のアニメ映像が流れだしたりと、単なるライブ映像にひと手間が加えられているのもホルモンならではといった感じでしょう。

もちろん肝心な演奏の方も、久しぶりのライブなのですがその力量は全く衰えていません。「上原~FUTOSHI~」で聴かせる上ちゃんの力強いベースといい、ダイスケはんのデス声といい、このライブでもまさに冴えまくっていました。ライブ中、ファンの発声は禁止されていたのですが、その制約を全く感じさせない盛り上がりぶりでした。

この日は彼らが指定した様々な「顔」を持つファンが集まったということで、本編でもおおむね2曲に一度くらいはそんな観客いじり(いじられた観客の多くは仕込み客っぽかったけど)のMCもあり、ファンを盛り上げていました。ただ、この日の配信ライブで特筆すべきは、そんな中で、配信ライブを前提とした演出を入れていたことでした。配信では「6月25日のホルモンが、過去に戻ってライブを行う」というスタイルを取っていたのですが、彼らがタイムトラベルの時に現在から過去、過去から現在に物を持って行ったため、時空のゆがみが起き、地球に隕石が落ちてくるものの、ライブ会場のファンのパワーにより隕石を吹き飛ばす・・・という「物語」が組み込まれていました。ライブ会場に「タイムパトロール隊」を名乗る観客があらわれて、この人が、「6月25日」の会議室も登場してきたりして、「物語」の軸になっていました。これって要するに、4月のライブの段階から、配信を前提とした構成がしっかり考えられていたということなんですよね。ライブに来ていたファンも、後日、配信を見るまで自分たちが何をやらされていたのかはっきりわからなかったということでしょうが、ここらへん、よくよく考えられていて、ホルモンらしいなぁ、という感じがしました。

ただそのため、せっかくリアルタイムでメンバーが揃っての配信となったにも関わらず、リアルタイム感がほぼゼロだったのは残念です(正直、本当にリアルタイムだったのかもかなり疑問)。Twitterのハッシュタグでメッセージを募集していたのですが、それもメンバー本人たちが読むことはほとんどなかったし・・・。ライブ映像のエフェクトといい、非常に手の込んだ演出を行ったのはホルモンらしいこだわりといった感はあります。個人的には変な演出なしのリアルタイムでのライブそのものの配信も見たかった感はあるのですが、そうしないのが彼ら(というか亮君)のこだわりなんでしょうね。

ちょっと「一昔前の民放のバラエティ」っぽい雰囲気もホルモンらしいのですが、その点を差し引いても十分すぎるのほど楽しめた、ホルモンらしい配信ライブでした。基本的にもう配信ライブはやらない、といっていたのでこれが最初で最後になりそう。次はやはりライブ会場で彼らのステージを見てみたい!とはいえ、ライブチケットもなかなか取れないんだよなぁ・・・。

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2021年7月 3日 (土)

これが東京事変の「音楽」

Title:音楽
Musician:東京事変

これは直近のミニアルバム「ニュース」の時にも書いたのですが・・・コロナ禍で特にエンタメ業界が翻弄された2020年において、最も大きなニュースのひとつと言えるのが東京事変復活のニュースでしょう。まだコロナ禍が表面化する前の2020年の元旦に報道されたこのニュース。復活コンサートが、コロナが表面化する中で強行されたこともあり、一部でバッシングも生じてしまいましたが、その後は順調に活動を続け、そしてついに、待望となるフルアルバムがリリースされました。

そんな久々となるニューアルバムですが、2020年に聴く東京事変のサウンドは、しっかりと2020年にアップデートされているな、というのがまずは第一の印象でした。もちろん、椎名林檎をはじめ、メンバーそれぞれ、東京事変の活動が休止している最中も個々で活動していたわけですから、久々のアルバムでもしっかりと現役感を醸し出しているのは当たり前といえば当たり前かもしれません。ただ、ミニアルバム「ニュース」のリリースもあったものの、久々のアルバムでもバンドとしてのインターバルを感じさせないアルバムになっていたようにも感じます。

フルアルバムの冒頭を飾る「孔雀」はまさにHIP HOPやファンクの要素を入れつつ、AORやネオソウルなどの要素を取り入れ、しっかりと現代にアップデートした作品に感じます。シンセとファンキーなベースでレトロフューチャー風な雰囲気を醸し出す「黄金比」も、80年代的な懐かしさを感じさせつつも、同時に今どきな印象を受ける作品になっています。

さらに「闇なる白」はちょっとキリンジっぽい感じもするAORチューンですし、同じく「銀河民」もメロウな雰囲気のAORな要素の強い作品に。全体的に、いままでの作品以上にAOR的な要素を強く感じるアルバムになっていました。

ただ一方では「命の帳」では椎名林檎の感情たっぷりの歌声をしっかりと聴かせるピアノバラードになっていますし、「青のID」もアバンギャルドでリズミカルなピアノが軽快なポップチューン。さらに「緑酒」では疾走感あるギターロックとバラエティー富んだ展開に。ラストの「一服」も軽快なエレクトロポップと、「音楽」というタイトル通り、東京事変の様々な音楽がつまったアルバムに仕上がっていました。

今回のアルバムでも、作詞は椎名林檎で統一されている一方、作曲はバンドメンバーがそれぞれ手掛けたアルバムになっており、このバラエティー富んだ展開は、そんな複数の作家陣をかかえているからこその結果とも言えるでしょう。そういう意味でもまさに東京事変らしいアルバムになっていたと思います。しかし一方でちょっと気になったのは、その結果として、全体としてアルバムとしてちょっとバラバラな感が否定できない内容になっていたのも気になりました。メンバーがそれぞれの方向に走ってしまい、アルバムとして若干、核の部分が弱いようにも感じてしまったのも否定できません。

アルバムとしては非常によくできた傑作なのは間違いないと思います。ただ、ここ最近、勢いのあった椎名林檎のソロ作と比べると、ちょっとまとまりのない内容だったような感も否めません。まあ、このゴチャゴチャ感もバンドらしい魅力といえば魅力かもしれませんが・・・。これからの東京事変の活躍も期待しつつ、椎名林檎のソロも並行して活動してほしいなぁ・・・とも感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★★★

東京事変 過去の作品
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2021年7月 2日 (金)

戦後テキサス・カントリー・ブルースを代表するシンガーのコンピ盤

Title:The Texas Blues of Smokey Hogg
Musician:Smokey Hogg

今回紹介するのは、最近リリースされたブルースミュージシャンのコンピレーションアルバム。1914年にアメリカはテキサス州で生まれたスモーキー・ホグというブルースミュージシャン。当初は1937年にデビュー。その後、第二次世界大戦での兵役を経て、1947年に録音を行い、その後1958年までという短い期間に関わらず、モダン、スペシャリティ、インペリアルなど数多くのレーベルから60枚以上のSP盤やシングルをリリース。うち1948年の「ロング・トール・ママ」と1950年の「リトル・スクール・ガール」はビルボードのR&Bチャートでベスト10入りをするなどのヒットを記録したそうです。

彼は相当な酒飲みだったそうで、レコーディングの最中に、バンド全員用だったウィスキーの5分の1ガロン(約750ml)を飲み干したというエピソードもあるそうです。ただ、その影響もあってか、若くして大腸がんにかかり、1960年にわずか46歳で早世。実質的な活動期間は10年ちょっとという太く短いブルースミュージシャン人生と言えるでしょう。

本作は、そんな彼の全24曲入りとなるコンピレーションアルバム。もともと、同名タイトルの彼の伝記本とのタイアップとしてリリースされた作品だそうです。その書籍の方は残念ながら洋書で邦訳もされていないので読んでいないのですが、CDの方はSmokey Hoggというミュージシャンが非常に気になり、彼の音源を聴くのはこれがはじめてなのですが、アルバムを手にとってみました。

彼はいわば戦後すぐのテキサス・カントリー・ブルースを代表するブルースシンガーの一人なのですが、まず聴いてみて感じたのは楽曲として垢ぬけていて、ある種のモダンさを感じさせるという点でした。1曲目から4曲目までは1947年の録音なのですが、ジャジーな感のあるピアノをバックに伸びやかに歌い上げるボーカルも印象的。「Worring Over You」ではホーンがゆっくりとその音色を聴かせてくれますし、「Everybody Gotta Racket」も楽曲の構成やボーカルは展開的なカントリーブルースながらも、ピアノの音色でジャジーな雰囲気を醸し出しています。

5曲目から12曲目は1950年の録音になるのですが、こちらも4曲目と同様、ピアノトリオをバックとした演奏。「No Matter What You Do」のピアノにはメロウさも感じさせつつ、スモーキーのボーカルもどこかセクシーに歌い上げているのが印象的。「Coming Back Home To You Again」ではピアノとギターをバックに歌い上げる彼のボーカルの力強さが印象に残ります。ただどの曲も、4曲目までと同様、演奏にはジャジーさを感じさるカントリーブルースで、どこか垢ぬけたモダンさを感じさせます。

その前半の印象がちょっと変わるのが13曲目以降。こちらは1951年の演奏となるのですが、ギターのみによる弾き語りの演奏。パターン的に似たような曲が多く、そういう意味ではちょっとダレる部分もあるのですが、ただ、12曲目までのモダンな演奏の中ではあまり表に出てこなかった、彼の泥臭いような部分が前に出てきており、前半とはまた異なるスモーキー・ホグの魅力を感じさせます。

彼の演奏と歌自体は比較的王道を行くような、テキサス・カントリー・ブルースだな、という印象を受けるのですが、そこにモダンな雰囲気のピアノトリオの演奏を重ねることにより、またちょっと新たな雰囲気も感じさせる点がユニークに感じました。今回、彼の音源を聴くのはこれがはじめてですが、やはりその魅力的な演奏に惹かれた1枚。わずか10年ちょっとの活動期間で録音された曲は256曲に及ぶそうで、まだまだいろいろ聴きごたえのある楽曲にも出会えそう。彼の代表的なコンピ盤はほかにもいろいろと出ているみたいですので、他のアルバムも是非聴いてみたいです。

評価:★★★★★

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2021年7月 1日 (木)

K-POPが目立つチャート

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週に続き、今週もあのベスト盤が1位獲得です。

今週1位は、韓国のアイドルグループBTSのベスト盤「BTS,THE BEST」が2週連続でランクイン。今週もCD販売数、ダウンロード数、PCによるCD読取数のいずれも1位を獲得。オリコンでも7万5千枚を売り上げて、2週連続の1位となっています。また、2位も先週と変わらず、韓国の男性アイドルグループSEVENTEEN「Your Choice」がランクイン。CD販売数は先週から変わらず2位。ダウンロード数は3位から10位にダウン。一方、PCによるCD読取数は19位から12位にアップ。こちらもオリコンでも4万9千枚を売り上げ、2週連続の2位となっています。

そして3位はようやく初登場。GENERATIONS,THE RAMPAGE,FANTASTICS,BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「BATTLE OF TOKYO TIME4 Jr.EXILE」がランクイン。EXILEの事務所、LDHが企画したプロジェクト「BATTLE OF TOKYO」から2作目となるアルバム。CD販売数3位、ダウンロード数21位、PCによるCD読取数10位。オリコンでは初動売上3万9千枚で3位初登場。同プロジェクトの前作「BATTLE OF TOKYO ~ENTER THE Jr.EXILE~」の6万9千枚(3位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、今週もやはり、韓国の男性アイドルグループが目立つ結果となりました。まず10位にPENTAGON「DO or NOT」がランクイン。日本では4枚目となるミニアルバムで、CD販売数9位、そのほかは圏外という結果に。オリコンでは初動売上6千枚で12位初登場。前作「UNIVERSE:THE HISTORY」の1万2千枚(7位)からダウンしています。

さらにベスト10圏外からの返り咲きとして、5位にNCT DREAM「Hot Sauce:NCT DREAM Vol.1」がランクイン。3週ぶりのベスト10返り咲き。6月27日に同作のリパッケージアルバム「Hello Future」がリリースされた影響でしょうか?

一方、先週と同様、アニメ・ゲーム系も目立ち、まず4位にTRIGGER「VARIANT」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数6位。男性アイドル育成ゲーム「アイドリッシュセブン」に登場するグループによる2枚目のアルバム。オリコンでは初動売上2万7千枚で4位初登場。前作「REGALITY」の3万2千枚(1位)よりダウンしています。

さらに8位にはAZELEA「We'll get the next dream!!!」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数9位、PCによるCD読取数5位。こちらはアニメキャラによるアイドルプロジェクト、「ラブライブ!サンシャイン!!」に登場するアイドルグループ、Aquors内でのユニット。本作がデビューアルバムとなります。オリコンでは初動売上1万5千枚で5位初登場。

そんな訳で先週に引き続き、韓国の男性アイドル勢とアニメキャラ系が目立ったチャートとなりましたが、今週は他にも初登場の多いチャートとなっています。まず6位7位には女優上白石萌音「あの歌-1-」「あの歌-2-」がランクイン。歌手としても活躍している彼女が挑戦したカバーアルバムで、「1」は70年代、「2」は80年代から90年代の邦楽のカバーに挑戦しています。「1」はCD販売数6位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数14位、「2」はCD販売数7位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数16位。CD販売数は並んでいますが、ダウンロード数に差があるところが興味深いところ。「1」はいわゆる歌謡曲、「2」はJ-POPが目立つのですが、歌謡曲のカバーを聴きたいという層が多かったということでしょうか。オリコンでは「1」が初動売上1万5千枚、「2」が1万4千枚でそれぞれ6位、7位にランクイン。ただ前作「note」の1万6千枚(3位)から若干のダウンとなっています。

そして9位にはSTUTS & 松たか子 with 3exes「Presence」がランクイン。フジテレビ系ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌を収録したアルバムで、同作は毎回、エンディングが異なるそうで、それらの曲をあつめた作品。トラックメイカーは今、話題のSTUTSが担当。ボーカルパートはドラマ主演の松たか子が務めるほか、3exesとはドラマに登場する元夫たち(岡田将生、角田晃広、松田龍平)のことで、コーラスとして参加しているそうです。CD販売数10位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数23位。オリコンでは初動売上8千枚で11位に初登場しています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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