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2021年6月13日 (日)

圧巻のライブ盤

Title:AMAZING GRACE:THE COMPLETE RECORDINGS(邦題 至上の愛~チャーチ・コンサート~<完全版>)
Musician:ARETHA FRANKLIN

さて、先日、アレサ・フランクリンの映画「アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン」を紹介しましたが、本作はその時の教会コンサートの模様を収録したライブアルバム。映画での紹介の時にも書いたのですが、映画自体は技術的な問題から当時、お蔵入りしたのですが、ライブ音源の方はアルバムとしてリリース。ゴスペルアルバムとしては異例となるミリオンヒットを記録し、アルバム自体も彼女を代表する名盤として、今なお多くのゴスペルファン、ソウルファンに愛されつづけている作品となっています。

ただ、オリジナルとなる1972年のアルバムはそのコンサートから一部を抜粋し、再構成した内容。それを本作では、映画公開にあわせて当時のコンサートを完全収録。オリジナルでは一部オーバーダビングをほどこしたり、再レコーディングをした部分もあったそうですが、今回はそのような装飾も取り除き、当日の模様がそのまま収録されているライブ盤となっているそうです。

映画でも紹介したとおり、この教会コンサートは2日間にわかっておこなわれました。今回のアルバムでも2日間のライブを2枚のアルバムにわたって収録。完全版であるがゆえに、冒頭のグリーヴランド師の挨拶やアレサの紹介、さらにDisc2では映画の中でも印象的なシーンであった、アレサの父親、C.L.フランクリン師の説教も収録されています。映画でもカットされた曲もしっかり収録されているので、こちらもさながらドキュメンタリーのようなアルバムになっています。

もともとのオリジナルの「AMAZING GRACE」で収録されていたのは2日目の演奏がメインで、そこに一部、1日目の演奏が加わる構成になっていたそうです。一方、映画では、2日目に関してはC.L.フランクリン師や当日、観客として参加していた、アレサに影響を与えたというクララ・ウォード、さらには同じく観客であったローリングストーンズのミック・ジャガーとチャーリー・ワッツの姿が印象に強く残る構成になっており、アレサのボーカルの迫力という側面では、1日目の方が強く印象に残ったように感じます。

ただ、このアルバムで2日間通して聴くと、間違いなく1日目のパフォーマンスにも素晴らしいものがありますが、2日間を比較すると、間違いなく2日目の方がアレサのボーカル、会場の雰囲気などを含めて圧巻という印象を受けました。特に圧巻だったのがDisc2の「Mary Don't You Weep(マリアよ泣くなかれ)」で、彼女のパワフルなボーカルはもちろんのこと、コーラスとの一体感が強く感じられる鳥肌が立つパフォーマンスで、まさに奇跡が起きたようなステージングになっていました。ちなみにこの曲はオリジナルだと1曲目に収録されているようですが、その理由も納得できます。さらにC.L.フランクリン師の説教に続く「Precious Memories(尊きおもいで)」もまた、ブルージーなギターをバックにしんみりと歌い上げる彼女の歌声が強く印象に残るナンバー。事実上のラストナンバーとなりますが、父親の言葉の後に、感慨たっぷりに歌い上げる彼女の心境がこちらにも伝わってくるようです。

もちろん1日目の方も素晴らしいパフォーマンスだらけで、特に映画でも胸に響いてくる歌声を聴かせてくれた「Amazing Grace」はもちろん、CDの音源でも彼女の歌声は心に突き刺さってくるでしょう。1日目のベストパフォーマンスであったことは、このアルバムからもあらためて実感させられます。

映画で感じた興奮を思い起こさせるようなアルバム・・・と言いたいのですが、個人的には映画を観るよりこちらを先に聴いたので、アルバムもよかったけど、やはり映像のある映画でさらに圧倒されました。とはいえ、もちろんこちらのアルバムも文句なしの傑作で、アレサのすごさをあらためて感じさせられました。オリジナルはアレサの名盤として名高い作品ですが、これからはこちらの完全版があらたな彼女のスタンダードとなっていくのでしょうか。圧巻の作品です。

評価:★★★★★

Aretha Franklin 過去の作品
Aretha Franklin Sings the Great Diva Classics
A BRAND NEW ME: ARETHA FRANKLIN WITH THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA


ほかに聴いたアルバム

Delta Kream/The Black Keys

The Black Keysのニューアルバムは敬愛するブルースの楽曲をカバーしたカバーアルバム。原曲のブルースのイメージそのままに、彼ららしい骨太のサウンドをのせカバーしているアルバムに仕上がっており、あくまでも原曲への敬意を感じさせるカバーに、彼らのブルースへの愛情を感じさせます。

評価:★★★★★

The Black Keys 過去の作品
EL CAMINO
"Let's Rock"

Fat Pop/Paul Weller

前作からわずか10ヶ月というインターバルでリリースされたニューアルバム。御年63歳ながらも、いまなお積極的な活動が目立つ彼ですが、そんな新作も、そんな年齢を全く感じさせない、現役感あふれるアルバムに。前作は比較的アコースティックテイストの強かったアルバムでしたが、本作は1曲目「Cosmic Fringes」からエレクトロサウンドを取り入れた作品となっており、その後もギターロック路線やアコースティックな楽曲、哀愁感たっぷりの作品などバラエティー富んだ内容に。大ベテランの彼ですが、今なお感じる攻めの姿勢が垣間見れたアルバムになっていました。

評価:★★★★

Paul Weller 過去の作品
22 DREAMS
Wake Up The Nation
Sonik Kicks
A Kind Revolution
True Meanings
In Anohter Room

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