事実上、the band apartの新作
Title:3
Musician:the band apart(naked)
the band apartのアコースティック編成、the band apart(naked)名義によるタイトル通り、3枚目となるニューアルバム。ただ、今回のアルバム、いままでとはちょっと異なる点がありました。それは、以前のthe band apart(naked)名義のアルバムが、the band apart曲のセルフカバー、もしくは他のミュージシャンの楽曲のカバーだったりするのですが、今回のアルバムは純然たる新曲が3曲収録されているという点。さらに、「Foresight」はもともとthe band apart(naked)名義のシングルとしてリリースされており、そういう意味では全8曲中4曲が、the band apart(naked)の曲ということになります。
さらに今回のアルバムはnaked名義ではあるのですが、決してアコースティックギターやピアノといったアンプラグドな楽器で演奏された感じの曲、でもありません。1曲目「ラブレター」はアコギを用いつつも、エレクトリックギターやベースラインもしっかりと鳴り響いている楽曲。軽快でリズミカルなギターを刻むこの楽曲は、the band apart名義でリリースされても決して不思議ではない楽曲となっています。続く「夢太郎」も、ちょっとユニークなタイトルではあるのですが、軽快なギターが鳴り響く、ちょっとファンキーでダンサナブルなポップ。こちらもthe band apartの王道を行くようなナンバーで、the band apart名義でリリースされていても不思議ではありません。
そして今回のアルバムでうれしいのは、ここで収録されているthe band apartのセルフカバーのうち3曲が、2018年にリリースしたシングル「Falling in Love」の購入者特典としてついてきた無料CD「A LOG」の収録曲という点。シングル曲やアルバム楽曲に比べると、「知る人ぞ知る」的なイメージのある楽曲で、正直言うと、私もこの「A LOG」については未聴でした。それだけに今回、こういう形で聴けるというのはうれしい試みに感じます。
そんな「A LOG」からのナンバー「プリテンダー」は、今では他のバンドの曲のように感じてしまうのですが、the band apartの「プリテンダー」はちょっと切なさを感じるメロディーラインがインパクトのあるメロディアスに聴かせる楽曲。アコースティックなサウンドを取り入れているのですが、そのサウンドにもピッタリとマッチしています。同じく「A LOG」からの曲として、メランコリックな「The Sun」も、その切ないメロと軽快なリズムが耳に残りますし、「Snow Lady」も軽快なアコギのリフが爽やかな楽曲に仕上がっています。
そして、アコースティック編成ならではなのが、the band apartの楽曲「Cosmic Shoes」のリメイク「Cosmic Shoes 2」でしょう。アコースティックテイストの強いアレンジとなった本作は、爽やかなアコースティックサウンドも魅力的ながらも、メロディーラインの良さもより全面に出てきているアレンジに仕上がっていました。
さらにthe band apart(naked)名義でリリースされたシングル「Foresight」も疾走感あるリズムにシティポップ的な爽やかなサウンドとメロディーラインが大きなインパクトに。こちらもthe band apartらしい楽曲に仕上がっています。そして最後を締めくくる「Where the light is」も、□□□の三浦康嗣がピアノで参加。ミディアムチューンの暖かみのあるメロディーラインにピアノの音色がピッタリとマッチした素敵な楽曲に仕上がっていました。
そんな訳で、いままでthe band apart(naked)というと、the band apartのサイドプロジェクトとして、企画盤的な内容が多かったのですが、今回のアルバムは、間違いなくthe band apart(naked)のオリジナルアルバムと言える内容ですし、事実上、the band apartの新作とも言っていい内容になっていました。そして、その内容は、the band apartとしての王道を行くような楽曲の連続。彼らとしては決して目新しい作品ではなく、新たな挑戦といった感じでもないのですが、the band apartの楽曲として、しっかりと壺を抑えた、クオリティー高い良作が並ぶアルバムに仕上がっていました。卒のない・・・という言い方も出来るかもしれませんが、文句なしに名曲が揃った傑作だったと思います。the band apartの魅力がしっかりとつまった1枚でした。
評価:★★★★★
the band apart 過去の作品
Adze of penguin
shit
the Surface ep
SCENT OF AUGUST
街の14景
謎のオープンワールド
1(the band apart(naked))
Memories to Go
前へ(□□□ feat.the band apart)
2(the band apart(naked))
20years
POOL e.p.
ほかに聴いたアルバム
SDR/ZIGGY
約2年半ぶりとなるZIGGYのニューアルバム。ある意味、王道ど真ん中を行くような、ハードロック路線なのですが、その方向性の迷いのなさに一種の清々しさすら感じられるロックンロールのアルバムに。軽快に響くピアノの音色も効果的に用いられており、ロックリスナーなら、間違いなく高い満足感を得られるアルバムだと思います。正直、この令和の時代に目新しさはあまりないのですが、ただ、とにかくロックに対する愛情を強く感じさせる1枚でした。
評価:★★★★
ZIGGY 過去の作品
SINGLE COLLECTION
2017
ROCK SHOW
HOT LIPS
In Dreams/INO Hidefumi
フェンダーローズピアノをメインに、メロウなAORチューンやインスト曲などの楽曲を発表してきたINO hidefumiの最新作。今回も、彼の王道とも言うべきスタイルの、フェンダーローズで軽快に聴かせるメロウなAORが中心の楽曲。良い意味で良質なポップソングという言い方がピッタリとくるような作品で、そういう意味では決して目新しさはないものの、最後までしっかりと楽しめる作品に仕上がっていました。
評価:★★★★
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