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2021年6月20日 (日)

軽快なポップがとにかく楽しい

Title:FREAK
Musician:ネクライトーキー

バンド名ってどういう意味なんだろう??と思いつつ、微妙なインパクトのある名前は前から知っていたのですが、本作ではじめて音源を聴いてみたネクライトーキー。もともと、「石風呂」名義でボカロPとして活動し、コンテンポラリーの生活というバンドも組んでいた朝日を中心とした5人組バンド。ボーカルのもっさも、もともとニコニコ動画で「歌い手」として活動していたらしく、ある意味、「今どきのバンド」といった感じもします。本作はメジャー2作目となるフルアルバム。オリコンでは最高位14位を記録するなど、まさにブレイク寸前といった感のあるバンドとなっています。

また「今どきのバンド」といった感は、その楽曲のタイトルからも感じさせます。「はよファズ踏めや」「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」「俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ」など、微妙にタイトルが長めでかつ口語的。コミカルな感じも含めて、「軽さ」を感じさせます。ちょっとヤバイTシャツ屋さんっぽいかな??まあ、あそこまでのコミカルさはさすがにないのですが・・・。ボーカルのもっさの声質がハイトーンで、いわゆるアニメ声っぽい感じなのも、いかにも今どきっぽさを感じます。

ただ、このいかにも今どきの若者バンドらしい(・・・といってもメインライターである朝日は30歳を超えているようですが)軽さが、楽曲に対して非常にいい形で作用しているように感じます。彼らの魅力は、とにかく1にも2にも、難しいこと抜きで楽しめる、底抜けに楽しいポップチューンという点。典型的なのは「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」でしょう。「CHAKAPOCO」という響きも楽しいのですが、とにかく底抜けに楽しいポップチューンに仕上がっています。

ギターロック的な要素を入れて楽しいという意味では「はよファズ踏めや」でしょうか。シンセの音色も楽しい軽快なギターポップチューン。「はよファズ踏めや」の歌詞からファズギターがはじまるという、メタ的な楽曲構造も楽しいポップチューンになっています(この「メタ」的な部分も、今どきのバンドらしい感じが・・・)。

ほどよくノイジーなバンドサウンドとポップなメロディーラインという構造は、いかにもなJ-POPバンドといった感じもありますが、そういった点も含めて、良い意味で聴きやすさも感じます。「俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ」などは疾走感あるギターロックは、いかにも下北系のオルタナ系ギターロックバンドといった感じ。節回しがちょっとチャットモンチーっぽさも感じるかも?「豪徳寺ラプソディ」などはヘヴィーなギターリフからスタートし、意外とロックバンドとしてのタフネスさも感じつつ、メロディーは至ってポップという点も彼らの魅力といった感じでしょうか。シンセを加えて、ほどよくトリッキーに展開していく楽曲構造もまた、楽曲にユーモアさを加えており、彼らの大きな魅力に感じました。

そして最後は「夢を見ていた」は、しっかり聴かせるバラードチューンで締めくくり。軽快でコミカルに展開しつつ、最後、聴かせるべき部分はしっかりと聴かせるという意味では、バンドとしての底力も感じさる楽曲に仕上がっていました。

最初は、そのいかにも若者的な部分に、オジサン的にはちょっと引いてしまった点もあるのですが、もともとポップス好きの私にとって、聴いていってどんどんはまっていき、気が付けばすっかりお気に入りの1枚になっていました。メロディーラインにもインパクトがあり、さらにブレイクも期待できそう。間違いなく、これからが楽しみなバンドです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

赤裸々/ポルカドットスティングレイ

ポルカドットスティングレイの新作は4曲入りのEP。アニメ「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」のエンディングテーマ「青い」や、神風動画と組んだタテヨコ動画により、彼女たちの代表曲が再アレンジされた「トゲめくスピカ(タテヨコver.)」などが収録された作品。疾走感あるギターロックを聴かせる中、ちょっとアイドルポップっぽさを感じる「トーキョーモーヴ」など、全体的にはポップな色合いの強いアルバムに。全体的にはいい意味で聴きやすい作品となっていました。

評価:★★★★

ポルカドットスティングレイ 過去の作品
大正義
全知全能
一大事
有頂天
ハイパークラクション
新世紀
何者

HELP EVER HURT COVER/藤井風

今、最も注目を集める男性シンガーソングライターのひとり、藤井風の新アイテムはカバーアルバム・・・なのですが、もともとアルバム「HELP EVER HURT NEVER」の初回限定版に付属していたカバーアルバムを、評判の高さから復刻したもの。カバーしているのは「Close To You」「Back Stabbers」「Beat It」「Time After Time」など、有名曲ばかりなのですが、基本的にほぼピアノのみのカバーにも関わらず、多種多様なタイプの曲を見事歌いこなしています。ボーカリストとしてもしっかりと表現力ある歌声をしっかりと聴かせてくれており、彼のボーカリストとしての実力を感じさせる内容に。個人的には下手したら本編以上に出来がいいのでは??とすら思わせる傑作カバーに、彼の実力を再認識させられた1枚でした。

評価:★★★★★

藤井風 過去の作品
HELP EVER HURT NEVER

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アルバムレビュー(邦楽)2021年」カテゴリの記事

コメント

ゆういちさん、こんばんは。

遂にネクライトーキーを聴いてくださいましたか!内容も高評価みたいでうれしいです!もっさのアニメキャラみたいなボーカルはゆういちさん的には気に入らないかなって一抹の不安があったのですが、その不安は杞憂に終わったみたいでよかったです。彼らはこれからもいい作品を作り続けてくれると信じてますので、ゆういちさんもチェックの方よろしくお願いいたします。

投稿: 通りすがりの読者 | 2021年6月21日 (月) 23時56分

>通りすがりの読者さん
確かにアニメ声はあまり好みではないのですが、ただそれがいい意味で曲調の明るさとマッチしていたように思います。これからも楽しみですし、一度ライブにも行ってみたいです!

投稿: ゆういち | 2021年8月 4日 (水) 22時13分

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