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2021年5月18日 (火)

ラップ+タブラ=?

Title:たのしみ
Musician:U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS

タブラ奏者として多岐にわたり活躍を続けるU-zhaanとラッパー、環ROYと鎮座DOPENESSのユニットによる初のアルバム。いままでのこのユニットで継続的に活動を続けていましたが、ここに来て初のアルバムリリース。タイトルもそのままストレートに「たのしみ」なのですが、気の合う3人が肩の力を抜いて音楽を楽しんでいる、そんなアルバムに仕上がっていました。

楽曲はどれもタブラの奏でるリズムにラップが重なるスタイル。非常にシンプルながら、普通のドラムスともパーカッションとも、もちろんリズムマシーンの4つ打ちのリズムとは異なるタブラのリズムがとても独特で、気が付いたらそのタブラのリズムにグイグイと惹きこまれ聴きこんでしまいます。さらにこのタブラのリズム、単なるビートではなく、抑揚のあるサウンドには表現力があり、まるで歌っているようにも感じます。この歌っているようなタブラの音色とラップの絡みが実にユニークながらも見事にマッチしています。

また、さりげない日常を綴ったラップもとてもユニーク。この点もメンバーが肩の力を抜いており、純粋にラップを楽しんでいることが伝わってきます。「最近脂モノが食べられなくなった」と率直にラップする「七曜日」からスタートし、ビスケットのギンビスへの愛情を綴った「ギンビス」、なぜかあの世の温泉をテーマとしつつ、素直に温泉の楽しさをラップした「地獄の温泉」に、タイトル通りのおでんをテーマとしつつ、ほっこりとした歌も聴かせる「おでん」など、身の回りをテーマとしたラップにユニークさを感じます。

ただ、そんな中、耳を惹くのが「BUNKA」。ラップでHIP HOPの歴史とタブラの歴史を重ねて綴る内容に、ラップされる通り、先人達へのリスペクトを感じると同時に、メンバーのHIP HOPやインド音楽への愛情を感じさせる作品になっています。さらに「にゃー」では矢野顕子も参加。タイトル通りの猫をテーマとした音楽なのですが、矢野顕子がかわいらしい猫の歌声で参加しています。ラストの「星の下、しばし」ではボーカルでSalyuが参加。暖かい雰囲気の歌を聴かせるポップスに仕上がっています。

肩の力を抜いた、身の回りをテーマにしたユーモア感覚あふれるラップ・・・というとスチャダラパーを彷彿とさせます。もともと鎮座DOPENESSはスチャダラパーからの影響によりラップをはじめたようですし、その影響はかなり顕著。というか、本作ではスチャダラパーの「サマージャム'95」もカバーしていますし、スチャダラが好きなら間違いなく楽しめる1枚だと思います。

歌うようなタブラのリズムとラップの相性は抜群。3人のメンバーは楽しく音楽を演奏していますし、シンプルでユニークなラップは聴いただけでタイトル通り、楽しくなってくるようなアルバム。独特なリズムが非常に楽しめる1枚でした。

評価:★★★★★

U-zhaan 過去の作品
TABLA ROCK MOUNTAIN
2 Tone(蓮沼執太&U-zhaan)
HENCE(OREN AMBARCHI,JIM O'ROURKE AND U-ZHAAN)

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