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2021年5月 9日 (日)

さらにポップなフラテリスに

Title:Half Drunk Under a Full Moon
Musician:The Fratellis

約2年ぶりとなるフラテリスのニューアルバム。前作「In Your Own Sweet Time」は陽気で楽しい、彼らのポップミュージシャンとしての側面を強調したアルバムに仕上がっていました。今回のアルバムも前作に引き続き、デビュー作「Costello Music」のプロデュースを手掛けたトニー・ホッファーをプロデューサーとして起用。結果として、前作と同様、いや、むしろ前作以上に陽気なポップチューンが楽しいアルバムに仕上がっていました。

1曲目のタイトルチューン「Half Drunk Under a Full Moon」もストリングスの爽やかなサウンドで魅力的なのですが、ポップミュージシャンとしての、本領がまず発揮されているのが続く「Need a Little Love」でしょう。80年代を彷彿とさせるような爽やかなシンセで軽快なポップチューン。ちょっと切ないメロディーラインも非常に魅力的で、この80年代的なサウンドは、ちょっとABBAあたりにつながるような部分すら感じられます。この80年代的なキラキラした雰囲気の爽やかなポップは他にも見受けられ、「The Last Songbird」も同じく、爽快なサウンドに、ちょっと切なさを感じるようなメロディーラインが魅力的。ちょっとノスタルジーな感じを受けるのも大きな魅力です。

80年代的といえば、続く「Lay Your baby Down」もこのノスタルジック感のあるサウンドとメロディーラインが魅力的。こちらは80年代ポップというよりもフォークソングといった感じでしょうか。「Living In The Dark」も同じくフォーキーな雰囲気でノスタルジーな感覚を覚えるポップソング。こちらもメロディーが魅力的なポップチューンとなっています。

「Action Replay」もピアノの音色で美しく聴かせるサウンドが、非常にコッテリとした分厚さがあり、ウォール・オブ・サウンズ的な重厚さと美しさを感じるポップチューンに。さらに「Six Days In June」もホーンセッションも入って軽快で明るいポップチューンに仕上がっており、ワクワク感が増します。

80年代風のポップチューンや、さらに70年代あたりの空気を感じるフォーキーなポップチューンなども並びつつ、全体的には無条件で楽しめる軽快なポップスが並ぶ本作。前作同様、デビュー作「Costello Music」のような突き抜けてキャッチーこそありませんが、それを差し引いても十分ポップなメロディーラインにインパクトがある楽しいポップソングが並んでいました。前作同様、聴いていてワクワクするような、ポップアルバムの傑作。バンドとしてもいい意味での安定感を覚える作品とも言えるかもしれません。これからもどんどんと楽しいポップチューンを聴かせてくれそう。これからも楽しみになる1枚でした。

評価:★★★★★

The Fratellis 過去の作品
Here We Stand
We Need Medicine
EYES WIDE,TONGUE TIED
In Your Own Sweet Time


ほかに聴いたアルバム

Fearless (Taylor's Version)/Taylor Swift

2008年にリリースした彼女の2ndアルバム「Fearless」を再録。同時制作されながらも未発表となっていた6曲を含めた全26曲入りのアルバムとして生まれ変わったアルバム。最近は、カントリーというジャンルを離れて、ポストロック路線にまで近づいてきた彼女ですが、あくまでも彼女の出自はカントリーである、ということを再認識するかのように、再録といってもカントリーの曲のアレンジをガラリと変えるようなことはせず、あくまでも今の彼女が歌うカントリーという体裁の作品となっています。カントリーの、というよりは純粋にシンガーとしての彼女の魅力を良く伝えてくれるアルバムでした。

評価:★★★★

TAYLOR SWIFT 過去の作品
FEARLESS
RED
1989
REPUTATION
Lover
folklore
evermore

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