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2021年4月13日 (火)

シンプルながらも魅力的な軽快なギターロック

Title:When You See Yourself
Musician:Kings Of Leon

アメリカ・ナッシュビル出身の4人組ロックバンド、Kings of Leonによる約4年半ぶりとなるニューアルバム。アメリカ出身のバンドながらもイギリスから火がつき・・・という書き方は、前作「Walls」の感想と全く一緒な訳で、その前作はアメリカビルボードチャートで1位を記録するなど、本国でも飛躍の1枚となりました。ただ、残念ながら久々となる本作はイギリスでは公式チャートで1位を記録し、変わらぬ人気ぶりだったのに対して、アメリカビルボードでは最高位11位と、前作に比べると若干残念な結果となっています。

楽曲的には奇をてらわない、シンプルでちょっと泥臭さも感じられるギターロック路線、というのはいままでと同様なのですが、今回のアルバムはそんな中でも比較的、軽快でポップに聴かせるような楽曲が目立ったように感じます。冒頭を飾る「When You See Yourself,Are You Far Away」はシンセも入った軽快なサウンドが特徴的ですし、先行シングルになった「The Bandit」もメランコリックなメロが印象的な、疾走感あるギターロック。同じく先行シングルの「100,000 People」も、伸びやかで郷愁感あるメロとサウンドが胸をうつ作品になっているのですが、サウンド的には至って軽快な音を聴かせる曲になっています。

その後も「Golden Restless Age」のような軽快なギターロックや、さらには「Echoing」のような、Kings Of Leon流のダンスチューンまで登場。全体的に軽快でポップなギターロックというスタイルがアルバム全体に流れています。前作「Walls」も比較的軽快でポップな感覚のナンバーが多かったアルバムになっていましたが、今回のアルバムもその路線が貫かれ、さらにもっと軽快なポップ路線が強くなったアルバムのように感じます。

また、そんな中でも「Stormy Weather」のような軽快なビートを前に押し出したような楽曲や、ピアノとシンセで伸びやかに聴かせるバラードナンバー「A Wave」、アコギの音が入って爽快にしんみりと聴かせる「Claire&Eddie」のように全体的にはバラエティー富んだ作風も魅力的。どの曲も比較的シンプルなサウンドと、しっかりと歌を主軸に据えた楽曲が特徴的で、飛び道具のような手法を使った作品はないのですが、シンプルなギターロックという枠組みの中で様々なバリエーションの曲を入れてきており、リスナーを飽きさせません。

「Supermarket」のような比較的泥臭さを感じさせる楽曲もあったり、「Claire&Eddie」のような郷愁感たっぷりの曲も目立ったり、どこかアメリカンロック的で、なおかつ私たちが聴いても、どこか懐かしさを感じさせる楽曲は、もちろん本作でも健在。メロディーラインについては地味さを感じさせる部分はあるのですが、聴けば聴くほど味が出るような魅力的なメロディーをしっかりと聴かせてくれています。結成から20年以上が経過したベテランバンドらしい、いい意味での安定感も覚える作品になっていました。

前作も書いたのですが、なぜか日本では人気がいまひとつの彼ら。メロディーラインは日本人にとっても魅力的に感じる部分も多いですし、もっと有名になってもいいバンドだとは思うのですが・・・。今回も彼らの魅力が存分につまった傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

KINGS OF LEON 過去の作品
Only By The Night
COME AROUND SUNDOWN
WALLS

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