スカの万能さをアピール
Title:SKA=ALMIGHTY
Musician:東京スカパラダイスオーケストラ
スカパラ約1年4か月ぶりとなるスカパラのニューアルバム。ゲストボーカルが参加し、様々なタイプの楽曲に挑戦するスタイルがすっかり板についた感のある彼ら。今回のアルバムも様々なゲストが参加した歌モノの楽曲がズラリと並ぶ作品になっています。また、今回は、ほぼインスト曲と歌モノ曲が交互に並ぶ作品になっており、インストと歌モノがバランスよく配された構成になっています。
そして、今回の大きな特徴としては、「SKA=ALMIGHTY」というタイトル通り、スカという音楽が、どんなタイプのジャンルにもマッチするということを主張するかのような、いままで以上にバラエティー富んだ作品が並んでいます。ムーディーでダークな、ある意味、「昔からのスカパラ」と言えるインストチューン「Salavation Ska」からスタートし、パンキッシュな「9」、[Alexandros]の川上洋平がゲストボーカルで参加する「ALMIGHTY~仮面の約束」「多重露光」はいずれも「仮面ライダーセイバー」関連の曲ということもあり、哀愁感たっぷりの歌謡曲テイストの強いナンバーになっています。
インストチューンの「Together Again」はメロウなAOR調のナンバーですし、「This Is My Life」は軽快なラテン調のナンバーかと思えば、中盤に一転、ハードコアなサウンドが入ってくる点がユニーク。ラストの「Ribbon」ではチリのバンド、Moral Distraídaが参加した本場のラテン風の楽曲に仕上がっています。
インパクトという面で言えば、中盤のタイトルそのまま「仮面ライダーセイバー」。タイトル通りテレビ朝日系「仮面ライダーセイバー」エンディングテーマで、コテコテの特撮主題歌といった感じのナンバー。良くも悪くもスカのオールマイティーさを見せつける楽曲になっています。もう1曲、注目曲なのが新進気鋭のミュージシャン、長谷川白紙をフューチャーした「会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。」でしょう。エレクトロサウンドを挑戦的に聴かせる長谷川白紙の世界をスカの世界と融合させた曲で、こちらもスカのオールマイティーさを見せつける曲になっています。
このように、スカというジャンルの万能さを主張するような今回のアルバム。まさに「SKA=ALMIGHTY」というタイトルそのままのバラエティー富んだ作品に仕上がっています。ただ、全体的には仮面ライダーセイバー系の楽曲が目立った影響でしょうか、「会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。」みたいなおもしろい曲もありつつ、売れ線の、悪い意味でのベタなJ-POP路線が目立ってしまったような感もあります。長谷川白紙とのコラボのような、もうちょっと挑戦的な作風の方がおもしろいとは思うのですが。良くも悪くも「売れ線」狙いなのがここ最近のスカパラの特徴なので、ちょっと微妙な気持ちにもあるアルバムでした。
評価:★★★★
東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
TOKYO SKA Plays Disney
The Last~Live~
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~
Paradise Has NO BORDER
GLORIOUS
2018 Tour「SKANKING JAPAN」"スカフェス in 城ホール" 2018.12.24
TOKYO SKA TREASURES ~ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ~
ほかに聴いたアルバム
REAMP/ヒトリエ
2019年4月、バンドのボーカリストで、ほぼ全曲の作詞作曲を手掛けていたwowakaがわずか31歳という若さで急逝。多くの音楽ファンにショックを与えました。そんな中、バンドとしての動向も注目されたのですが、ギターのシノダがギターボーカルに変更。バンドとして続行ということになりました。また作詞作曲も主にシノダが担当し、2期ヒトリエがスタート。そしてリリースされた約2年ぶりのアルバムが本作となります。
楽曲は、基本的にはwowakaの路線を引き継ぐようなスタイル。ハイテンポなリズムとマイナーコード主体のメランコリックなメロディーラインはいままでと大きな変化はありません。正直、個性が薄くなり楽曲のインパクトは薄くなってしまった感はあります。ただ一方、特に後半は、いままでの彼らではあまり出会えなかったようなタイプの曲も聴くことが出来、楽曲のバリエーションは今までより増えたように感じます。特にヒトリエは少々楽曲のバリエーションに乏しかったことが課題だっただけに、この点はむしろよい方向にシフトしたとすら言えるかもしれません。バンドのメインライターが若くして亡くなり、その後、残されたメンバーでバンドを続けるという点はフジファブリックに似たスタイルですが、フジファブリックも志村正彦亡き後にメインのライターとなった山内総一郎は、その後、ライターとして成長していきました。ヒトリエも同じようにメインライターのシノダの成長が期待されるところ。楽曲のバリエーションの広がりから、これで個性とインパクトが出てきたら、むしろ以前よりおもしろいバンドにまで成長できるのでは?という予感もした1枚でした。
評価:★★★★
ヒトリエ 過去の作品
イマジナリー・モノフィクション
モノクロノ・エントランス
DEEPER
IKI
ai/SOlate
4
NEW WORLD/大橋トリオ
大橋トリオ15枚目となるオリジナルアルバム。上白石萌音とのデゥオ「ミルクとシュガー」やみやぞんとのデゥエットで話題の江崎グリコキャンペーンCMソング「何処かの街の君へ」(音源ではみやぞんは起用されていないようですが・・・)も収録。相変わらず、ジャズをベースとした非常に良質なポップソングが魅力的なのですが、良くも悪くもいつも通りといえばいつも通り。もうちょっと目新しさも・・・とは思ってはしまうのですが、ただ、このスタイル、変に変えない方がいいんでしょうね・・・。
評価:★★★★
大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R
FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS
植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS
THUNDERBIRD
This is music too
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