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2021年4月19日 (月)

コーラスグループとしての原点

Title:アカペラ2
Musician:ゴスペラーズ

途中、ベスト盤のリリースを挟み、オリジナルアルバムとしては約2年半ぶりとなるゴスペラーズのニューアルバムは、タイトル通り、全編アカペラによるアルバム。全編アカペラによるアルバムは2002年にその名もズバリ「アカペラ」というアルバムをリリースしているので、それから実に約18年4ヶ月ぶりとなるアカペラアルバムとなっています。

そんなアカペラアルバムの本作は、まず1曲目の冒頭「INFINITY」で全員のハーモニーからスタートするあたり、これがメンバー5人の歌声だけで作り上げたアルバムである、ということを力強くアピールするような出だしからスタートしています。そしてそんな5人の歌声だけで作られたアルバムなのですが、ただ、これが実にバラエティー豊かな作品に仕上がっていたあたり、彼らの実力を感じさせてくれます。

先行シングルともなった「VOXers」は、「ケンカアカペラ」なる異名を持つ曲らしいのですが、ヒューマンビートボックスを多用しつつ、メンバー5人がそれぞれアカペラを繰り広げ、まさにメンバー同士が対峙するような形になった楽曲で、まさに彼らの実力を最大限に発揮された曲になっています。

その後も軽快なリズミカルなリズムをバックに、ハイトーンボイスのボーカルをメランコリックに聴かせる「雨あがり」、コーラスラインだけで美しいハーモニーを聴かせる「I Want You」、フィンガースナップのリズムをバックに伸びやかなコーラスラインを聴かせるバラード「離れていても~Wherever you are~」、ちょっと切なく爽やかでメロディアスなメロディーラインが印象的な「OVER&OVER」と様々なタイプの楽曲を聴かせてくれます。

後半でインパクトがあったのが、ハンドクラップでリズムを取りつつアカペラを聴かせる「マジックナンバー」。歌詞はまさにアカペラをテーマとした歌詞となっており、今回のアルバムを象徴するような楽曲になっています。さらに「嘘と魔法」は和風な雰囲気を感じつつ、楽曲に幻想的な雰囲気が加わっているのがユニーク。ラストの「インターバル」は伸びやかなアカペラをゆっくり聴かせるナンバーで、荘厳さも感じさせるナンバー。最後の曲らしく、5人のハーモニーをしっかりと聴かせて、曲は幕を下ろします。

そんな訳で、まさに5人の声だけでバリエーション富んだアルバムを作り上げた本作は、ゴスペラーズの実力をフルに発揮した1枚と言えます。昨年、デビュー25周年を迎え、ベストアルバムをリリースした彼らですが、その直後のアルバムとしてこのようなアルバムをリリースする、ということは、このデビュー25周年で活動を一区切りして、あらためて彼らのコーラスグループとしての原点に立ち返ったアルバムをリリースした、という意味のあるアルバムだと思います。このアルバムを25年目以降の彼らのスタートして、あらたな一歩を踏み出した彼ら。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
G20
Soul Renaissance
What The World Needs Now
G25 -Beautiful Harmony-


ほかに聴いたアルバム

2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs/RADWIMPS

2011年3月11日に発生した東日本大震災。その後、義援金プロジェクト「糸色」を立ち上げたRADWIMPSですが、その後、毎年3月11日に、被災地への想いを馳せた新曲をリリースしてきました。本作は、ちょうど震災から10年後の2021年3月11日にリリースしたアルバムで、いままで発表してきた楽曲8曲に新曲2曲を収録したコンセプトアルバムとなります。

そんな被災地への想いのこもった楽曲が収録されたアルバムになるのですが、ただ、彼らとしても相当力の入った楽曲群ということになるのでしょう。ギターをメインに楽曲によってはピアノやストリングスも取り入れた作品はスケール感と、ある種の荘厳さも感じされるのですが、一方で聴いていて非常にヘヴィー。歌詞もそうなのですが、サウンドも全体的に、ある種の「思い」ばかりが先走っている感じがしてしまい、聴いていてドッと疲れがくるようなアルバムでした。「想い」も重要ですが、ポップソングとしては同時にエンターテイメント性も重要な訳で、その観点が若干欠けているような感じがして気になります。どうも野田洋次郎って、思いが強すぎると、若干暴走気味になるような印象を受けるのですが・・・。

評価:★★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。
人間開花
Human Bloom Tour 2017
ANTI ANTI GENERATION
天気の子
天気の子 complete version
夏のせいep

大阪城ホール単独公演”拝啓、少年少女たちよ”/Hump Back

コロナ禍の中、昨年11月に大阪城ホールで開催されたライブの模様を収録した、配信限定でのライブアルバム。同タイトルの映像作品から7曲をピックアップした形となっています。コロナ禍の中での開催で、観客も十分盛り上がれない中、かなり健闘してがんばっている姿が、音楽作品を通しても伝わってくるよう。途中、かなり「青臭い」MCも収録されているのですが、こういう「青臭さ」も含めて嫌いじゃないです(笑)。ガールズロックバンドが最近は増えた中でも、比較的まだめずらしいパンクロック路線を主軸に人気を獲得している彼女たち。一度ライブも見てみたいな、と思えたライブアルバムでした。

評価:★★★★★

Hump Back 過去の作品
人間なのさ

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