« ボーカリストあべまの実力がわかるカバーアルバム | トップページ | 「勿忘」は撒き餌?? »

2021年4月 5日 (月)

なんと、全英1位を獲得!

Title:As The Love Continues
Musician:MOGWAI

前作「Every Country's Sun」では全英チャートで6位を記録。バンド結成から26年というベテランバンドでありながら、過去最高位の順位を記録した彼ら。それから約3年半ぶりにリリースされたのが本作ですが、なんと彼ら初となる全英チャート1位を記録。いまとなった人気の面ではバンドとして最盛期を迎えている彼ら。正直、決してわかりやすいポップな楽曲を奏でるバンドではないだけに、この人気には驚きです。

特に日本では2001年の「Rock Action」あたりで最も注目を集めていただけに、ここに来てのブレイクというのは意外にすら感じられます。ただ本作を聴くと、確かに今、彼らは波にのっており、特に楽曲は、リスナーがMOGWAIに対して望んでいるサウンドに対してしっかりと応えられており、なおかつクオリティーの高い作品をしっかりと作ってきているといった印象を受けます。本作は、まさに「これぞMOGWAI!」と言いたくなるような、いい意味で実に彼ららしい作品に仕上がっていました。

まず1曲目「To the Bin My Friend, Tonight We Vacate Earth」。出だしはピアノで美しく聴かせ、途中からギターのノイズが入って徐々にダイナミズムさが増していく・・・もう、まさにMOGWAIらしく、リスナーの壺をつきまくるような構成が最高!続く「Here We, Here We, Here We Go Forever」もメランコリックなメロディーラインが心地よいですし、「Dry Fantasy」もドリーミーな雰囲気で美しく聴かせるサウンドが非常に気持ちの良い作品に仕上がっています。

そして前半の核となるのが先行配信曲になっていた「Ritchie Sacramento」。これ、坂本龍一を彼らの友人が言い間違えたことに由来した曲だそうで、疾走感あるギターロックの歌モノなのですが、ノイジーなギターにポップなメロとシューゲイザーの王道を行くようなナンバーとなっており、シューゲイザー好きにはたまらない作品になっています。

中盤以降はダイナミックなバンドサウンドを聴かせる作品が目立ち、「Drive The Nail」は静かにスタートしつつ、後半は力強いバンドサウンドを展開するという、これまた彼らの王道を行くようなナンバー。ノイジーなバンドサウンドにポップなメロディーラインがのり、これまたシューゲイザー好きにはたまらない「Ceiling Granny」、これまたMVが作られている「Pat Stains」もギターリフを主導にメロディアスなナンバーながらも中盤、ダイナミックなバンドサウンドが顔をのぞかせます。

終盤も「Supposedly, We Were Nightmares」もテンポよい明るいメロが楽しめるギターロックナンバーになっており、ラストは「It's What I Want to Do, Mum」もゆっくりメランコリックに聴かせるチルアウト的なナンバーで締めくくり。最後の最後までMOGWAIらしい楽曲が並ぶ、彼らの魅力を存分に味わえるアルバムになっています。

サウンド的には新しい挑戦といった感じではありませんし、いままでのアルバムも、基本的にMOGWAIは彼ららしい作品を多く作ってきました。ただ本作は、そんな中でも特にMOGWAIらしさにきちんと答えつつ、脂がのったともいえるインパクトのある作品をつくってきています。出来栄えはここ数作の中でも一番だと思いますし、それゆえに全英1位という快挙を成し遂げたのでしょう。ベテランの域に達しても、その勢いに衰えのない彼ら。まだまだ彼らの活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

MOGWAI 過去の作品
The Hawk Is Howling
HARDCORE WILL NEVER DIE,BUT YOU WILL
Live at All Tomorrow's Parties,9th April 2000
Earth Division EP
Rave Tapes
Les Revenants
CENTRAL BELTERS
ATOMIC
Every Country's Sun
KIN


ほかに聴いたアルバム

Who Am I?/Pale Waves

前作「My Mind Makes Noises」が日本のメディアでも大きくプッシュされ、一躍注目を集めたイギリスのロックバンドの約2年5ヶ月ぶりとなるニューアルバム。前作で感じられた80年代、90年代的な要素を感じさせる、懐古感あるエレクトロサウンドは薄れ、ちょっとニューウェーヴ的ながらも、これといって特色のないシンセロックになってしまった感が。それなりにポップで楽しく聴かせる楽曲や、軽快なロックチューンなどが楽しめるアルバムではあるものの、Pale Wavesらしさはあまり感じませんでした。

評価:★★★

Pale Waves 過去の作品
My Mind Makes Noises

An Overview on Phenomenal Nature/Cassandra Jenkins

ニューヨーク州ブルックリンを拠点に活躍する女性シンガーソングライターによる2枚目のアルバム。ウィスパー気味のボーカルでしんみりメロディアスに聴かせるポップスがメイン。フォークやブルーズ、ジャズなどの要素を加え、暖かくアコースティックなサウンドと、それにマッチした彼女のボーカルが魅力的な1枚。非常に心地よく聴ける良質なポップスアルバムでした。

評価:★★★★★

|

« ボーカリストあべまの実力がわかるカバーアルバム | トップページ | 「勿忘」は撒き餌?? »

アルバムレビュー(洋楽)2021年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ボーカリストあべまの実力がわかるカバーアルバム | トップページ | 「勿忘」は撒き餌?? »