フーファイ流パーティーロック
Title:Medicine at Midnight
Musician:FOO FIGHTERS
最近のロックの動向といえば、すっかりHIP HOPにメインストリームの座を追われ、「売れない」ジャンルに・・・・・・というほどの感じではさすがにないですし、昨今ではIdlesみたいなポストパンクの注目バンドも話題になっていて、ともすれば「活況を帯びている」といった感すらある今日このごろ。ただ、様々なロックバンドはあれど、泥臭く、ヘヴィーなギターリフを主導とするバンドサウンドを聴かせてくれる、いかにも昔ながらのロックといった感のあるバンドで、なおかつ現役感あるバンドというのは数少なくなってしまっているような感じもあります。しかし、彼ら、FOO FIGHTERSは、そんな「昔ながらの泥臭いロック」を奏でつつ、しっかりと現役感を覚える、数少ないバンドのひとつではないでしょうか。
約3年半ぶり通算10枚目となる本作ですが、ただ単純に愚直にロックを聴かせるだけではなく、まずアルバム冒頭の入りに、構成の上手さも感じます。最初はドラムスの力強いリズムからスタート。そこにヘヴィーなギターリフがかさなり、否応なくロックチューンへの期待が高まります。そんな1曲目はミディアムチューンながらもシャウト気味のボーカルが重なる、まさにロックなカッコいい楽曲。アルバム全体への期待も高まるスタートとなります。
今回のアルバムはフーファイ流のパーティーロックだとか。もともとこのコロナ禍の前に制作が終了しており、アルバムをリリースし、いざワールドツアーへ・・・となる矢先にコロナ禍の前にすべての計画が中止。アルバムもリリース延期になっていたのですが、とにかくいいアルバムが出来たのでみんなに聴いてほしい、というデイヴ・クロールの思惑もあり、無事、アルバムリリースにこぎつけたようです。
ただ、フーファイ流のパーティロックといっても、よくありがちな「打ち込みを入れて四つ打ちでリズミカルな」といった感じではありません。あくまでもヘヴィーなバンドサウンドとノイジーなギターをメインとしたリズミカルで陽気なロックチューンが並ぶアルバムになっています。軽快なギターリフとカウベルも活用した陽気なドラムでリズミカルに聴かせる「Cloudspotter」。テンポよいリズムながらもメランコリックに聴かせる表題曲「Medicine At Midnight」は同じくテンポよいリズムながらもメランコリックなメロが印象的なDavid Bowieの「Let's Dance」のフーファイ版だとか。
さらに強いインパクトを残したのが後半で、ダイナミックなバンドサウンドでアップテンポに一気に攻めてくるような「No Son of Mine」は、シャウト気味なボーカルと共に、いかにもヘヴィーロックといった感じのサウンドとリズミカルで意外とポップなメロが印象的ですし、続く「Holding Poison」はリズミカルなギターリフを主導とした、まさにパーティーロックにふさわしいナンバー。さらにラストを締めくくる「Love Dies young」もポップなメロと疾走感あるバンドサウンドが心地よいポップスロックな楽曲に仕上げてくるなど、最後まで陽気で楽しいロックチューンをヘヴィーなバンドサウンドにのせて聴かせる、まさにフーファイらしいパーティーロックチューンの連続となっています。
聴いている最中にも聴き終わった後にも、まさにヘヴィーなギターロックのサウンドを身体中に浴びて、「ロックを聴いた」という心地よい満足感に浸れるアルバムになっていました。ある意味、「王道」ともいえるロックチューンなのですが、今の時代、逆にここまでストレートなロックを奏でるバンドが珍しくなってしまい、FOO FIGHTERSらしさがよく出ているアルバムになっていたようにも感じます。既にベテランの域に達している彼らですが、なおバンドとして脂がのっているように感じる1枚でした。
評価:★★★★★
FOO FIGHTERS 過去の作品
ECHOES,SILENCE,PATIENCE&GRACE
GREATEST HITS
WASTING LIGHT
Saint Cecilia EP
SONIC HIGHWAYS
Concrete and Glod
02050525
00959525
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