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2021年3月21日 (日)

昭和のスターたち

Title:ありがとう!石原軍団

石原軍団といえば、ご存じ、昭和の大スター、石原裕次郎が設立した芸能事務所である石原プロモーション所属の俳優の愛称として知られています。「昭和の匂い」を色濃く残したような非常に男臭さを感じさせる俳優を数多く抱えていましたが、今年1月にプロモーション業務を終了し、石原軍団も「解散」したが大きなニュースになったのでご存じの方も多いでしょう。石原軍団は俳優としての活躍だけではなく、曲も多く残していたそうで、その石原軍団にかかわる楽曲を集めたコンピレーションアルバムがリリースされ、話題を呼んでいます。

ただ、このアルバムを聴いた率直な感想としては、純粋に楽曲の出来としてはかなり厳しいものがありました。石原裕次郎の作品にしても、1950年代のヒット曲ではなく、石原プロが設立されてからの作品ということもあって、完全に様式化されたムード歌謡曲がメイン。Disc2に収録されている歌モノについても、いわゆる「ど演歌」がメインで面白みはほとんどありません。あえていえば、Disc1の終盤に収録されていた黛ジュンや浅丘ルリ子の楽曲はレトロポップといった感じで楽しめました。また、個人的には舘ひろしの「冷たい太陽」は、「あぶない刑事」のエンディングテーマということもあって懐かしく聴くことが出来ました。

Disc2は西部警察のテーマ曲や大都会のテーマ曲が収録されています。こちらも楽曲によっては意外にファンキーなレアグルーヴ的なサウンドが入っていたりして楽しめる部分もあるのですが、いかんせん、シンセの音がチープで、平凡なフュージョンといったイメージも否めず・・・。太陽にほえろのメインテーマも収録されているのですが、こちらはサスペンスチックなサウンドが今聴いても非常にカッコいいオリジナルのバージョンではなく、1986年のバージョン。こちらも正直なところシンセの音が時代を反映しすぎていて非常にチープ。太陽にほえろは石原プロ制作のドラマではないだけに、このアルバムに収録すべきだったかどうかという話もあるのですが、どうせ収録するのなら、オリジナルのバージョンを聴きたかったなぁ。

石原プロのヒット曲といえば、AORの名曲として今でも名高い、寺尾聰の「ルビーの指輪」がありますが、こちらも同曲のヒット後に寺尾聰が石原プロを抜けた影響なのか、それとも歌手といて現役であるという自負からなのか、オリジナルではなく「Re-Cool ルビーの指輪」というリメイクバージョンを収録。こちらも悪くはなかったけど、正直なところ、オリジナルの方がよかったように思います。

そんな感じで楽曲的には収録曲のセレクトも含めて微妙なのですが、一方で、このアルバムでそんな楽曲の出来を払拭するほど魅力的だったのは石原裕次郎の歌声。昭和の大スターとして今でも語り継がれる彼ですが、包容力があり、なおかつ大人の色気を感じさせるその歌声は、このアルバムの中でもずば抜けています。私のようなおじさんでも、素直に彼の歌声をいつまでも聴き続けていたいと感じるような魅力があり、大スターとして多くの人たちを惹きつけたその魅力は、その歌声を通じても十分に感じられました。そんな石原裕次郎の魅力に触れられるだけでも、このアルバムは意義深いといえるかもしれません。

なお、そんな石原裕次郎の大ヒット曲「夜霧よ今夜も有難う」は、こちらも石原プロ設立前の曲ということもあってか、石原裕次郎のバージョンではなく、金児憲史によるカバー。ただ、石原裕次郎のカバーを任されるだけあって、ボーカリストとしての表現力もあり、元曲の良さも相まって、非常に魅力的なカバーに仕上がっていました。

そんな訳で、純粋に楽曲の評価としたら、★★に近いかもしれませんが、石原プロの作品をまとめた意義を考えて1追加。さらにあと1つは石原裕次郎の歌声の魅力に。正直、石原プロ全盛期は私が物心つく前だったのでさほど思い入れがあるわけではありませんが、石原裕次郎の魅力に触れられた、そんなコンピレーションアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

PHYSICAL/夜の本気ダンス

以前のアルバムはいまひとつピンと来なかったのですが、前作「Fetish」でグッと内容がよくなり、今後の展開を期待していた夜の本気ダンス。そしてリリースされた6曲入りのミニアルバムが良い!前半はダンサナブルなナンバーが続き、後半はヘヴィーなギターリフを展開する、彼らの「ロック」な側面にスポットをあてた作品が並び、いい意味でインパクトあるサウンドの曲がほどよく配置されています。わずか6曲入りのミニアルバムだからこそ、変にダレずに最後まで一気に聴き切れた、という面はあるかと思いますが、バンドとしての成長を感じられるアルバムに。次のオリジナルアルバムが楽しみです。

評価:★★★★★

夜の本気ダンス 過去の作品
DANCEABLE
INTELLIGENCE
Fetish

次世界/宮沢和史

約1年8ヶ月ぶりとなるソロアルバム。「次世界」というタイトルチューンもそのままですし、「未来飛行士」というタイトルもわかりやすいのですが、非常に未来志向で前向きな曲の並ぶアルバムとなっています。ただ、どうもそれらの楽曲が正直言って理屈っぽく、ちょっと頭でっかちに感じてしまいます。サウンド的にも分厚くて、のっぺりとする感じのサウンドになっており、悪い意味でJ-POP的。THE BOOM時代に強く感じたワールドミュージックへの憧憬もあまり感じられず、お決まりのように沖縄民謡が1曲あるだけ・・・。ベテランらしいある種の安定感は感じるのですが、宮沢和史らしさが出てるかと言われると少々微妙に感じてしまいアルバムでした。

評価:★★★

宮沢和史 過去の作品
寄り道
MIYATORA(宮沢和史&TRICERATOPS)
MUSICK
留まらざること 川の如く

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