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2021年3月28日 (日)

注目の7人組大所帯バンド

Title:For the first time
Musician:Black Country,New Road

最近は、サブスクの影響などもあり、以前に比べてすっかりCDショップに行く回数が少なくなってしまいました。以前はよく、CDショップの試聴機でCDを聴きながら、知らない音楽を漁っていたのですが、最近はそういう機会も少なくなってしまいました。まあ、最近はCD売上低迷もあり、タワレコもすっかり「アイドルショップ」に変貌を遂げてしまったので、おもしろそうなCDが試聴機になかなか入らなくなった、ということもあるのですが。しかし、先日CDショップへ行き、時間もあったので久しぶりに試聴機を聴いていたら、これは!というカッコいいアルバムに試聴機経由で久しぶりに出会うことが出来ました。それがこの1枚。まあ、厳密にはこれがはじめての出会い、ではなく、以前、雑誌で紹介されているのを見たことあったのですが、その時はさほど食指が動かず。今回、試聴機で実際の音源を聴いてみて気になったため、さっそく聴いてみました。

そんなことがあって今回紹介するバンドは、ロンドン出身の最近、注目を集めているバンド、Black Country,New Road。男女7人組という大所帯バンドで、本作がデビュー作。デビュー前から元Sonic Youthのキム・ゴードン、RADIOHEADのエド・オブライエンという大物2人とフランスのテレビ番組で共演など話題を呼び、本作もMy Bloody Valentineなどを手がけたアンディ・サヴァースがプロデューサーとして参加するなど、大注目のデビュー作となっています。

そしてはりきって楽しみにしてこのアルバムを聴いたのですが、まず最初に聴いたら試聴機で聴いたほどよくなかった・・・・・・というのは、この手の出会いをしたアルバムでよるある話で(笑)。ただ、これが2度3度聴くうちに印象が変わり、徐々にアルバムの良さにはまっていくというのもよくあるケース。実際、本作も何度か聴いていると、確かに試聴機で感じた直観は間違えではなかった、という印象に変わっていきました。

7人組という大所帯バンドであることを生かした分厚くダイナミックなバンドサウンドが大きな魅力で、まず1曲目「Instrumental」から、分厚いベースラインにテンポのよいドラムス、さらにそれにのるホーンセッションで、全体的にはどこか妖艶でエキゾチックな印象の漂う独特なインスト曲に仕上がっています。続く「Athens,France」はヘヴィーなギターサウンドを前に押し出したインディーロック色も強いナンバー。ただ、こちらもホーンセッションも入れたサウンドが、楽曲に重厚感を与えています。

この分厚く重厚感を醸し出しつつ、一方ではどこかオルタナ系のインディーロックバンドの匂いが楽曲の中から漂ってくるのはその後の楽曲も同様。「Science Fair」「Sunglasses」のどちらも、粗々しくノイジーなギターサウンドにローファイ気味に語るようなボーカルは、まさにインディーロックな雰囲気が漂ってきます。一方では、そこに重なるホーンセッションやストリングスなどの豪華なサウンド構成は、インディーロックではあまり見られないスタイル。荒々しいインディーロックと、重厚なサウンド構成のアンバランスさが、彼らの大きな魅力のようにも感じました。

もう1つの魅力は、冒頭を飾る「Instrumental」でも特に強く感じた、どこかエキゾチックな雰囲気の漂うサウンド。どこかトラッドやワールドミュージックからの影響も感じられ、彼らの音楽に(ジャンル的な)厚みを増している大きな要因になっているように思います。このエキゾチックな雰囲気が魅力的なのがラストの「Opus」で、疾走感あるギターロックなのですが、ホーンやストリングスの音色がどこかエキゾチックで魅力的。このエキゾチックな雰囲気が印象に残る作品に仕上がっていました。

デビューアルバムながらも独特の魅力があり、確かに注目を集めるバンドであることは間違いありません。コロナ禍でなかなか見る機会もありませんが、ライブも魅力的だろうなぁ、と感じるバンド。比較的聴きやすくポップな側面がある反面、どこかインディー的だったり、ワールドミュージック的な要素があったりと、サブカルチャー的な要素を強く垣間見れるのも、マニア心をくすぐられるような部分も。なにげに本国イギリスの公式チャートでは最高位4位を記録するなど、既にブレイクしちゃっている感もありますが、今後、日本でもさらに注目を集めそうです。コロナ禍が落ち着いたら、来日してほしいなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

2020 Grammy Nominees

毎年恒例、グラミー賞のノミネート作を収録したコンピレーションアルバム。今の音楽シーンの動向を知るにはうってつけの1枚なのですが、2020年バージョンを聴いて目立つのが女性陣の活躍。Billie Eilishをはじめ、Ariana Grande、Taylor Swift、Lana Del Rey、さらにはBeyonceと勢いのある女性陣の活躍が目立ちました。全体としても、新時代を切り開くような新しいポップソングの潮流・・・といった感じではないものの、パワフルな女性陣に押される形での勢いのある作品が目立ち、ここ数年では一番の豊作ともいえる出来栄えになっています。この女性陣たちは、これからもポップシーンを引っ張って行ってくれそうです。

評価:★★★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES
2013 GRAMMY NOMINEES
2014 GRAMMY NOMINEES
2015 GRAMMY NOMINEES
2016 GRAMMY NOMINEES
2017 GRAMMY NOMINEES
2018 GRAMMY NOMINEES
2019 GRAMMY NOMINEES

Music – Songs from and Inspired by the Motion Picture/Sia

オーストラリア出身のシンガーソングライターによる新作。いままで数多くのヒットアルバムをリリースしてきた彼女ですが、実は何気に私がアルバムを聴くのは本作がはじめて。そのユーモラスなジャケットもあって、非常にポップで明るいキュートなアルバムを想像していたのですが、思ったよりメランコリックで聴かせるタイプのアルバム。メロウな曲からバラード、トライバルな曲やレゲエ風の曲まで収録され、バラエティーは豊富に感じられるのですが、良くも悪くも今どきの売れ線といったイメージも否めず。あまり目新しさを感じませんでした。

評価:★★★

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