Rhye流ダンスミュージック?
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Musician:Rhye
カナダ出身の男性シンガーソングライター、マイク・ミロシュによるソロプロジェクト、Rhyeのニューアルバム。毎回、官能的なボーカルに美しくメロウなメロディーラインを聴かせ、大きな話題を呼ぶRhyeですが、今回のアルバムでも非常に魅力的な歌を聴かせてくれているアルバムとなっています。ちなみにこの官能的なボーカルを聴かせるのは、ゲストの女性ボーカル、とかではなく、マイク・ミロシュその人だそうで、要するに男性ボーカルによる歌声。男性ボーカルがメロウな女性的な歌声で歌うからこそ、中性的でかつ官能的なボーカルが展開されるのでしょう。
そんな彼のニューアルバムですが、特徴としてはエレクトロサウンドでリズミカルなナンバーが目立つという点。「Beautiful」はファルセット気味のボーカルで、リズミカルな打ち込みのリズムが展開されていきますし、「Hold You Down」も、メロウな歌声で聴かせるナンバーなのですが、打ち込みのリズムはリズミカルに展開していきます。
リズミカルという点ではもっとも印象的だったのは「Black Rain」でしょう。ファルセット気味のボーカルで憂いを帯びた感じのボーカルはいつも通りなのですが、リズミカルな打ち込みのサウンドが印象に残るナンバー。決してライブなどで軽快に踊るといった感じではなく、静かに体を揺らす、といった感じになるのでしょうが、Rhye流のダンスミュージック、といっても過言ではない楽曲となっています。
ただ、そんな打ち込みでリズミカルなポップの中に、「Need A Lover」のようなアコギでしんみりと聴かせる楽曲が入ったり、「Sweetest Revenge」のような、ストリングスを入れて、哀愁感たっぷりに聴かせる楽曲があったりと、打ち込み以外で聴かせる要素も入れ、全体としてはバランスを感じさせる構成に。最後までしっかりと飽きさせない構成のアルバムに仕上がっています。
とはいえ、全体的にはいままで聴いてきた彼の3枚のアルバムの中では、一番物足りなかったかな、といった印象も残りました。一番の理由は、打ち込みのサウンドにチープさを強く感じてしまったという点。作品全体としては、ちょっとひと昔前のなつかしさを感じさせる部分もあり、チープさを感じる打ち込みの音はわざとだったようにも感じます。ただ、結果としてエレクトロサウンドは後ろでただ鳴っているだけ、という印象も受けてしまい、若干物足りなさも覚えてしまいました。
官能なボーカルは相変わらずですし、メロウなメロディーラインも魅力的。そういう意味ではRhyeの魅力はしっかりとつまったアルバムであることは間違いないと思います。そういう意味では良作であるとは思うのですが・・・惜しい印象を受けるアルバムでした。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
Live at the Royal Albert Hall/Arctic Monkeys
2018年6月7日にロンドンのアルバート・ホールで行われたライブの模様を収録したライブアルバム。当日のライブは、収益をすべて、子どもたちを戦争から守る運動を行うWar Child UKに寄付されたそうですが、そのWar Child UKがコロナ禍で損失をかかえ、今回のライブアルバムは、そのWar Child UKを救う意図で、リリースされたアルバム。収益はやはりWar Child UKに寄付されるそうです。
もともとのライブ自体、特別な意味を込めたライブということもあってセットリストはほぼベスト盤のようなセット。基本的にメランコリックなメロディーとバンドサウンド、ギターサウンドをゴリゴリ聴かせるロックチューンが非常に魅力的。Arctic Monkeysの実力と魅力を存分に感じられるアルバムになっていました。
評価:★★★★★
ARCTIC MONKEYS 過去の作品
Humbug
SUCK IT AND SEE
AM
Tranquility Base Hotel & Casin
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