« 2020年年間ベストアルバム(洋楽編)その1 | トップページ | 次のロングヒット候補が続々上位へ »

2021年2月 2日 (火)

2020年年間ベストアルバム(洋楽編)その2

昨日に引き続き、年間私的ベストアルバム洋楽編の第2弾。今日は5位から1位までの紹介です。

5位 The Slow Rush/Tame Impala

聴いた当時の感想はこちら

前作「Currents」も大きな評判を得たオーストラリアのミュージシャン、ケヴィン・パーカーによるソロプロジェクト、Tame Impalaの新作。上半期ベスト5でも書いたのですが、ドリーミーなサウンドが非常に心地よく、AORのテイストも感じさせるサウンドも人なつっこさを感じさせる傑作アルバムに仕上がっていました。久々のニューアルバムとなりましたが、前作以上の傑作アルバムに仕上がっていました。

4位 Fake It Flowers/beabadoobee

聴いた当時の感想はこちら

イギリスの新人ミュージシャンの登竜門である「Sound of 2020」にノミネート。本作もナショナルチャートで8位を記録するなど、昨年、大きな話題を呼んだシンガーソングライターのデビュー作です。日本でいえば、the brilliant greenを彷彿とさせるような、キュートなボーカルとポップなメロディーライン、そしてストレートな90年代風のオルタナ系ギターロックのサウンドが心地よく、もともと、スマパンやソニックユース、マイブラからの影響を公言している彼女ですが、その影響を顕著に出しつつ、彼女のキュートさを加味した心地よいポップチューンに仕上がっています。まだまだこれから、どんどんと注目があがっていきそうな、そんな予感のする傑作でした。

3位 folklore/Taylor Swift

聴いた当時の感想はこちら

9位の「evermore」に続き、2枚目のランクイン!7月にサプライズリリースされた本作は、The Nationalのアーロン・デスナーが参加。コロナ禍の中で外出もままならない中で作成された本作は、比較的シンプルでアコースティックな作風となっているものの、いままでの作品とは異なり、インディーロックの色合いが強くなったアルバムとなっています。いままでの彼女とは一風異なる、幻想的なサウンドも心地よく、そして何よりも、シンプルなサウンドゆえに、彼女のボーカリストとしての表現力の魅力がグッと増した作品に。シンプルなだけに、彼女の実力を非常に強く感じることが出来た、間違いなく彼女の代表作となる傑作アルバムでした。

2位 Untitled(Black is...)/SAULT

こちらも7位の「Untitled(Rise)」に続く2枚目のランクイン。こちらもアルバムレビューでは未紹介になるのですが、イギリスのソウル/ファンクバンド、SAULTの作品。「Untitled(Rise)」の紹介でも軽く触れたのですが、2020年に発生した大きな社会的運動のひとつ、BLACK LIVES MATTERに呼応してリリースされた作品で、こぶしを突き上げたジャケットも印象的。ソウルやファンクの要素を取り入れつつ、レトロな雰囲気が漂うサウンドが魅力的なのですが、非英語圏のリスナーにも伝わりやすいシンプルな英語のメッセージも胸に響いてくる作品。間違いなく、2020年を代表するアルバムと言えるでしょう。

そして・・・

1位 Melee/Dogleg

聴いた当時の感想はこちら

上半期1位の作品が、年間ベストアルバムでも1位獲得!アメリカデトロイトの4人組ロックバンド。上半期ベストアルバムでも書いたのですが、どこかシューゲイザーからの影響を感じさせるサウンドに疾走感のあるギターロック、そしてポップなメロディーラインが心地よく、個人的にかなり壺にはまった作品に、かなりはまってしまいました!eastern youthやNUMBER GIRLあたりに通じるようなサウンドがあり、日本でも多くの方が気に入りそうなサウンド。これから注目度も高まりそうなアルバムで、これからの活躍が楽しみです!

そんな訳で、ベスト10をあらためて振り返ると・・・

1位 Melee/Dogleg
2位 Untitled(Black is...)/SAULT
3位 folklore/Taylor Swift
4位 Fake It Flowers/beabadoobee
5位 The Slow Rush/Tame Impala
6位 RINGO DEATHSTARR/Ringo Deathstarr
7位 Untitled(Rise)/SAULT
8位 MORDECHAI/Khruangbin
9位 evermore/Taylor Swift
10位 ULTRA MONO/IDLES

まず感じるのは、ここに来て、非常にロック系の勢いが目立つという点でした。ベスト10のうちでも1位Dogled、4位beabadoobee、6位Ringo Deathstarr、10位IDLESと、比較的ストレートなギターロック勢の活躍が目立ちますし、そのほか、各種メディアで上位に入ってくるアルバムの中でもロック勢が目立ったような印象を受けます。ロック好きとしてはやはりこの傾向は素直にうれしいところ。HIP HOP系に押されてここ最近勢いのなかったロックですが、ここに来て盛り返してくるのでしょうか?

ほかのベストアルバム候補としては・・・

Hotspot/PET SHOP BOYS
Set My Heart On Fire Immediately/Perfume Genius
Rough And Rowdy Ways/Bob Dylan
Punisher/Phoebe Bridgers
A Hero's Death/Fontatines D.C.
Songs For The General Public/The Lemon Twigs
Mama,You Can Bet!/JYOTI
Shore/Fleet Foxes
Song Machine:Season One-Strange Timez/Gorillaz
LIVE/Angle Bat Dawid
Miss Anthropocene/Grimes
R.Y.C./Mura Masa
EVERY BAD/Porridge Radio
It Is What It Is/Thundercat
Fetch The Bolt Cutters/Fiona Apple
græ/Moses Sumney
Notes On A Conditional Form(邦題 仮定形に関する注釈)/The1975
RTJ4/Run the Jewels
Future Nostalgia/Dua Lipa
SAWAYAMA/Rina Sawayama

上半期は「良作は多かったもののどんぐりの背比べ的な」と書いたのですが、年間を通じてみると、今年はベスト盤の選定に悩むくらいの傑作が多い1年だったように思います。どんぐりの背比べと書いてしまうとネガティブな表現なのですが、「ほかのベストアルバム候補」もいずれもベスト10に入ってきても不思議ではない傑作揃い。コロナ禍の中で、ライブ活動が制限されて、かなり厳しい状況に置かれた2020年でしたが、そんな状況に反するかのように、傑作アルバムを数多くのミュージシャンが生み出してきた、そんな1年でした。

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 上半期

|

« 2020年年間ベストアルバム(洋楽編)その1 | トップページ | 次のロングヒット候補が続々上位へ »

音楽コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 2020年年間ベストアルバム(洋楽編)その1 | トップページ | 次のロングヒット候補が続々上位へ »