ちょっと懐かしいポップソングが魅力的
Title:Future Nostalgia
Musician:Dua Lipa
今回聴いたアルバムも、2020年に各種媒体でベストアルバムとされている中で、聴き逃したアルバムを後追いで聴いた1枚。今回は、主要メディアのベスト盤を集計し、トップ50リストを作成した、というニュースを参考に、ベスト10のうち、まだ聴いていないアルバムをチェックしました。1位のFiona Appleから4位のTalor Swiftまでは既にチェックして、ここのサイトでも紹介していますので、今回聴いたのは5位にランクインしたDua Lipaの「Future Nostalgia」。イギリスのシンガーソングライターによる2枚目のアルバムとなります。
2015年のデビュー後、2016年には新人ミュージシャンの登竜門ともいえるSound of 2016にノミネート。2018年にはグラミー賞の最優秀新人賞にノミネートされるなど、デビュー当初から高い評価を集めているシンガー。2枚目となる本作も、本国イギリスでチャート1位を記録したほか、アメリカでも最高位4位を記録。その他、各国で大ヒットを記録し、その人気を確固たるものとしています。
そんな彼女のアルバムですが、確かに、これはヒットを記録するだろうなぁ、という感想を抱く、聴いていて素直に心地よいポップチューンの並ぶアルバムになっています。1曲目はタイトルチューンの「Future Nostalgia」という曲からスタートするのですが、そのタイトルチューンそのまま。ちょっとメランコリックさもある軽快なエレクトロポップなのですが、イメージとしては90年代あたりのR&Bポップを彷彿とさせるナンバー。途中、ラップが入ってくるスタイルなどは、もうちょっと今どき寄りなのですが、聴いていて、懐かしさを感じるようなポップチューンが非常に耳障りの良さを感じます。
その後の曲も、どこか80年代や90年代初頭あたりの雰囲気を感じさせるポップチューンが並びます。力強いボーカルでロック調となっている「Physical」なんかは、まさにPVがMTVあたりに流れて、そのバックに流れてピッタリ来るような・・・まさに80年代的な匂いを感じる楽曲になっています。
特に懐かしさを感じるのは、哀愁感漂うメロがもろ80年代なダンスチューン「Love Again」。ほどよく入るストリングスも、あの時代の空気を感じさせますし、続く「Break My Heart」もリズミカルでメランコリックなナンバーなのですが、打ち込みのサウンドもどこかチープさも感じ、80年代っぽさを感じさせます。
メロディーラインもフックが効いていて、いい意味で非常に聴きやすさを感じさせますし、懐かしいメロディーラインが耳なじみやすく、ちょっと聴くつもりがついつい聴き進めてしまうような、広い層に支持されそうな、ポピュラリティーを持ったポップチューンが並びます。また、もちろん単純な80年代90年代の真似といった感じではなく、「Levitating」などは最近話題のラッパーDaBabyが参加するなど、単純な懐古趣味といった感じでもありません。そのため、懐かしさを感じるサウンドやメロディーながらも、古臭さはほとんど感じられず、しっかりと「今の音」として響いてくるアルバムになっています。
彼女、例によって日本ではまだまだ知名度が高くありません。ただ、これだけポピュラリティーある楽曲を書いて、メロディーラインも非常にわかりやすいものですから、日本でも十分ヒットが狙えそうな感もあります。というより、日本でこれだけ注目されていないことが不思議になるような、日本人の耳にもなじみやすい、ポップで楽しいアルバムになっていました。ま、もっとも私もこれがはじめて聴いた彼女のアルバムなんですけどね。これからさらに注目を集めそうな、そんな予感のある傑作アルバムでした。
評価:★★★★★
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